意味:第三者が当事者よりも利害が分かること
「あーにぃ、あーにぃ」
とある日、あたしが本を読んでいると見たことのない四文字熟語があったので、近くにいたお兄ちゃんに尋ねてみることにしました。
お兄ちゃんはいつものように「どうした、妹よ」と言ってあたしに意識を向けてくれます。
「岡目八目ってどういう意味なの?」
「それはな……」
とお兄ちゃんが答えてくれようとしたときに、少し離れたところにいたねぇねが「えっ」と驚いた声をあげました。
あたしはその声に驚いてしまいましたが、何とか「どうしたんですか?」と尋ねることができました。
「あ、えっとね。『おかめはちめ』って『おかめはちもく』って読むんだなあ……と思ってね」
ねぇねが少し照れながら言うと、お兄ちゃんがクックと声を潜めて笑います。
「悪かったわね。こんなんで小説家なんて目指して」
お兄ちゃんの言葉にねぇねが拗ねたようにそう言ってそっぽを向いてしまったので、あたしはお兄ちゃんをにらみつけて「お兄ちゃん?」と少し怒った声を出しました。
お兄ちゃんは「悪い悪い」と反省していない様子で言うと、そのまま説明を始めてしまいました。
「岡目八目ってのはもともと囲碁の話らしくてな、岡目ってのは対局をせずに横から見ている人、要するに第三者だな」
お兄ちゃんが話し出すと、そっぽを向いていたねぇねがこちらを向いて感心したように頷きながら話を聞き始めました。
「それで、『もく』ってのは碁盤の目の数え方だな」
「それは知ってるわね。さすがに」
ねぇねがそういったのであたしは首をかしげます。
「ねぇねは囲碁できたんですか?」
「ううん。でもちょっと機会があってね」
ねぇねが首を振ってからそう言うと、お兄ちゃんが「ジェネレーションギャップってやつだな」と笑います。
それに対してねぇねが「そうね」と笑い返しますが、あたしには何のことかさっぱりわかりません。
「それで、岡目八目ってどういう意味なの?」
仕方がないのでお兄ちゃんにそういって話を戻してもらうことにします。
「そうだな、さっきのこいつの状況だな」
お兄ちゃんがねぇねを指しながらそう言います。しかし、すぐにねぇねがそれを否定します。
「どちらかと言うと私のは瓢箪から駒ってところじゃない?」
「寝耳に水かもしれんがな」
そのまま結局、ちゃんと意味は教えてもらえませんでしたが、お兄ちゃんとねぇねが楽しそうだったのでよかったです。
八目よりも岡目の方の意味に戸惑う。




