遅い
あたしの家の良く遊びに来るお兄ちゃんと同じ大学のねぇねは小説家になりたいのだそうです。
それで、お兄ちゃんはその小説を読ませてもらっているらしいのですが、考えてみればあたしは読んだことがありません。そう思ったある日ねぇねに尋ねてみました。
「ねぇねはどんな話を書いているんですか?」
ねぇねは一度「ん?」と言ってこちらを見るとそのまま「んー……」と考え始めました。
それから真剣な眼差しをこちらに向けると頷いて口を開きます。
「今、私に書けるものを……かな」
それはもちろんねぇねが今書いているのですから、当たり前だと思うのですが、恐らく言葉通りの意味ではないのでしょう。あたしが首をかしげていると、ねぇねが話し始めました。
「妹ちゃんは何かを始めるのに『遅すぎた』ってことがあると思う?」
あたしは首を振ります。
「私もそう思う。でもね、『遅すぎた』って事はないけど『遅かった』事なら割と多かったりするのよ」
「妹ちゃんには難しいかもしれないけど」とねぇねが付け加えたとおりあたしにはねぇねが何を言いたいのかわかりません。
「つまりは小学生のうちにしかできないことがあるってことね」
そういった後ねぇねはあたりの頭を撫でながら笑っていましたが、あたしにはねぇねが結局何を言いたいのかよくわかりませんでした。
去年の自分の感性と今の感性はだいぶ違うそんな気がします。




