旅行その2
「と、言うわけでここに行きたいわけよ」
ねぇねが急に一冊のマンガを取り出すとそのマンガの下の方、帯の部分を指差してそう宣言しました。
本当に急に言われたので何が「と、言うわけ」なのかが全く分からず少なからずあたしは困ってしまいます。
お兄ちゃんもそうだろうと思ったのですが、予想とは違い呆れた様な諦めた様な表情をしていました。
「何が『と、言うわけで』何処に行きたいんだ?」
お兄ちゃんの呆れた声にもびくともしないでねぇねは「ほらここ」と帯をあたしたちによく見えるように近づけてくれます。
それには何処か古びた感じの駅の写真にその漫画のキャラクターが書かれています。
ねぇねは駅にある料金表と思われる所を指差すと口を開きます。
「ここに書かれているのってこの町よね?」
言われてよくよく見てみると確かにあたしたちの住んでいる所と同じ名前の駅が見えるような気もします。
「確かに……そうだとは思いますけど……」
でも小さい写真の小さい字、あまり確証はありません。
「それで行けそうだから行ってみたい……と」
「そういうこと」
お兄ちゃんの言葉にねぇねが笑顔で答えます。それを見て、お兄ちゃんが困った顔でこちらを見ました。
「あたしは行ってみてもいいけど……」
おずおずそう言うとねぇねの顔がこちらを向いて目を光らせます。それから気づいたら抱きつかれていました。
お兄ちゃんを見てみると諦めたような顔をしていました。
「到着」
ねぇねの声が誰もいない駅に響きます。
電車に揺られること二時間ほどで例の駅には到着したのですが、その間に見る見る風景から建物が消えて、家の形も変わっていって何となくタイムスリップしたような錯覚に襲われます。
「確かにここなんだな」
お兄ちゃんが携帯に撮っていたねぇねのマンガの帯と見比べながら感心した声を出します。
「それで、この町がその漫画の舞台なのか?」
お兄ちゃんがねぇねに尋ねると、ねぇねは首を振ります。でも顔は楽しそうです。
代わりにお兄ちゃんが微妙な顔をします。
「この漫画の舞台自体は空想上の村何だけど、たまたま見つけたから面白そうだなと思ってね」
そういうねぇねの顔は満足げ。代わりにお兄ちゃんが残念なものを見る目でねぇねを見ていました。
実話が元のお話。偶々見つけてきたんですよ友人が。




