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LOVERSコード  作者: 蒼貴みかげ


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code06:vision04 スリット光

 ドアスリットから漏れる細い灯りが、

 白いTシャツの肩を際立たせていた。

 細すぎず、硬すぎず、目の前にある肩。


 中の様子は、うっすらと見えた。

 靴の一足も出ていない、片づいた玄関。

 腰高のシューズボックスの上に、

 いま高桐が置いた、キーレスの束だけ。

 素早く見まわしても、他には何もない。


 もう一度、高桐の肩が目に入った。

 靴を脱ぎ、中に入ろうとしている。

 

 三朝は――。

 直視できずに、泳ぐ目を足元に落とした。

 後ろ手に、ドアノブを探っていた。

 はじめて目にした、実感した空間が。

 あまりにも高桐らしくて怖くなっていた。


 未処理のまま背後でゆっくり閉じた扉を。

 ふたたび開けようと、ノブを下げた。


 そこにまた、温もりを感じていた。


「……行くな」


 ごく小さく、深く静かに堕ちる、声。

 視界が、さっきより暗くなっていた。


「ちゃんと話そう、立樹」


 重ねられた手が、すこし握り込まれる。

 三朝は、ゆっくり顔を上げ。


 スリットから差し込む光が照らしだす、

 凪いだ、平穏な水面をたたえたような

 高桐の澄んだ目を、はじめて見とおした。


 やがて、ためらうように剝がされた手を、

 今度はしっかりと握り返して。

 

 三朝は高桐に伴われ、上がってすぐの、

 右にあるドアの向こうに、一緒に入った。

『LOVERSコード』および関連作品に掲載されている文章・画像・動画・ロゴ・キャラクター・設定等の権利は、作者・蒼貴みかげに帰属します。

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