code06:vision01 帰りの月
異世界に鳴る音楽、喧騒。
横目に外界を見る思いで、
月岡町を抜けた。
コインパーキングには濃い影が落ち、
街から切り離された静寂があった。
高桐は、清算機にスマホをかざすと、
さっさと車に乗り込み、ドアを閉めた。
三朝だって乗らないわけには行かない。
気後れしながら、助手席に乗った。
すでに電子煙草を手にしていた高桐は、
ベルトを締めると、静かに車を出した。
高速経由で、本部まで40分。
車が市街地を抜け、ETCゲートに入る。
よく晴れた夜空に、うっすら星が見える。
大きな月は、今度は黄色く輝いていた。
蒼い、あの廃ビルの部屋が思い出された。
知り合って2年――。
一目惚れにも近かった、塗りこめて来た、
その想いが、尋問にかけられた。
それも並みの腕じゃない、あの目に。
こうなる予感が、あったか、なかったか。
なかったと言えば噓になると自覚していた。
最初から……と、振りかえる。
再会してからの高桐に、どこか、なにか。
あの頃と違うものを、感じていた。
あの夜、何も話せず、それきり別れた。
触れた一瞬の感触だけが烙印のように。
どちらからも連絡は取らなかった。
無いものになったと思っていた。
それこそが、逆に都合のいい解釈――
だったとしたら。
蒼い部屋で、応えなかった。
逃げてしまった。
それが何をもたらすのか。
どこへ堕ちてしまうのか。
どうすれば――。
熱い感触の残る腕をさすりながら。
三朝は本部までの道を、
窓の外の景色を見て、流れた。
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