↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LOVERSコード  作者: 蒼貴みかげ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/58

code05:vision08 尾行開始

 女性は、友人たちに声をかけ。

 バッグを掴むといそいそと出口へ。

 実は乗り気なのが見て取れて。

 危うさをひしひしと感じていた。


 自分も時にああなのか――と。

 高桐の気持ちが分かった気がした。


「男の方は1人だった」


 入店時からチェックしていたのか。

 高桐は、三朝を伴ってフロアを横切り、

 まっすぐ出口を目指していく。

 単に退店する客にしか見えないだろう。

 絶妙の態度、速度を保っている。


 フロアの白石、倉橋もすでに。

 緊張の面持ちで事態を見守っていた。

 高桐と話していたはずの女性は。

 横目で確認した限りは姿がなかった。


 女性と間を空けずしてドアをくぐる。

 外に出ると、店の前に男がいた。


「早かったじゃん」

「友達も帰る所だったから」


 そんな様子なかっただろ、

 と思う事を言って。

 男女は通りを東へ歩きはじめた。


 少しの間見送って、繋いだ手を解(ほど)く。

 高桐がスマホを取り出した。


「白石、尾行を開始する。

位置情報、見えてるか――少ししたら倉橋と店を出ろ。

裏口からだ。追ってこい」


 ついで、もう1件。

 別行動の班員へ掛けるようだ。


「怪しい会話の男女を尾行する。倉橋と連絡を取って合流しろ」

  

 スマホを仕舞うと、男女を見やった。

 通りの奥へ、どんどん離れていく。

 

 三朝を見下ろした。


「ホテル街と言ってたな。悪いがカップルのふりするぞ」


 さっと手を。今度は指をからめて。

 いつぶりかの、2人での尾行開始。

 人波を縫って、歩み始めた。


 月岡町のメイン通りに見劣りしない、

 華やかな通りだった。

 オレンジの灯りに包まれて、

 クラブにカフェ、居酒屋が並んでいる。

 音楽はないが、人出はそれなりにある。


 ただ、その賑わいも長く続かなかった。

 アリアから離れるほど、灯りは乏しく。

 人の数も少なくなっていく。


「だいぶ寂れて来たな。立樹はうつ向いたまま歩けよ」


 ただ短く頷いた。


 男女はかまわず、まっすぐ歩いていた。

 かなり密着して、睦まじく話している。

 細かく聞き取れないが、声は届く。


 ふたりとも20代半ばだろうか。

 男は、わりと高価なカジュアルスーツ。

 さりげないアクセサリーを合わせている。

 女は上が白、下が黒のパンツスタイルで、

 豊かなポニーテールが優雅に揺れる。

 場慣れしている感じはあり、特に男は。

 近辺地理にも精通している様子だった。


「ここから先は、裏通りの方が賑やかだ。

だいぶ先まで行くかもしれないな」


 囁くように、小声で言った。

 それは周りに聞かれないためだが。

 響き方は、十分身体に悪かった。


「たしかにホテル街があるにはあるが。

廃ビルなんてあったかな」


 それは、周辺をよく知っている人の

 言い方では――。


「誘い文句だとしたら、当たりだけどな」


「もし裏通りに車でもあったら」


「ハイエースか。……ないことを、願う」


「そうですね」


 自分たちが追う、連続事件。

 クラブで女性を連れ出し、

 車に乗せて湾岸へ向かう。

 もし、あの男がそのつもりなら。


「白石さんたちは、どうなったでしょう」


「あいつのことだから、

スマホで見て、裏通りから合流するかもな。

車もカメラもチェックして。

倉橋たちも連携、取らせたから。

適宜、位置取りして動くだろ」


「細かく指示、出来ませんもんね」


 ほんとは、ちがう。

 それだけ信に厚いという事。


「最初からじゃないぞ」


 見透かすように言った。


「半年かけてチームになったんだ。

特に倉橋に任せてから。

まだ班長になったばかりだからな。

ああ見えて苦労は多い」


「そうなんですか」


「慣れてるように見えるんだろ?

倉橋が変えてるからだよ。

出来ないと思われないように、自分を。

言いたくないけど女だからな。

それは数々、覚えてられないほど、

好き放題、言われてきてるはずだ」


 哀しいかな、それが男社会の。

 警察というものの実態かも知れない。

 まだまだ。


「だからこそ引き抜いたってのもある。

実力は間違いないから。班をまとめるのも、あの――」


 そこで男女が交差点に差しかかった。

 街灯が1つだけの、薄暗い交差点。


 笑顔を交わしながら、左へ折れた。

 姿が――完全に角へ消えた。


「急がなくていい」


 トーンを落として、また囁いた。


「すぐ裏通りだ。左右どっちかしか道はない」

『LOVERSコード』および関連作品に掲載されている文章・画像・動画・ロゴ・キャラクター・設定等の権利は、作者・蒼貴みかげに帰属します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。