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LOVERSコード  作者: 蒼貴みかげ


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40/58

code05:vision01 現地到着

「この先だ」


 月岡町の、いつもの通りではない、

 街はずれの通りの角を曲がった。


「……あれだな」


 途端に、あたりが緋色に染まって。

 Club ARIA――。

 上品と言っていいのか、黒地に赤文字の

 明朝体の大きなネオン看板が輝いていた。

 

 その下に、ひときわ目立つ。

 長いウェーブの髪の女性が佇んでいた。

 グレーのセットアップがよく似合う。

 涼しげな美貌の大人の女性――。


 見ていると、すっと高桐が歩き出して。

 まっすぐその女性に向かうから、驚いた。


 ついて行っていいものか、と悩んだが。


「悪い、待たせたか」

「いえ。時間前ですから」


 近づいてみると、女性は倉橋班長だった。

 なんと。

 ふだんの印象と違いすぎる……美しさ。


「あとは白石か」


「一緒に出られたんですよね?」


「そう。

奈守が話があるとかで、俺の車に乗らなかったから」


「じゃあ、もう来ますよね」


「と思うが」


 互いを見かわして、慣れたやり取り。

 どこから見ても成熟した大人のカップル。

 

 倉橋は、いま気づいたように三朝を見て。

 薄く柔らかい笑みを浮かべて、会釈した。

 目を見て返すのが、精いっぱいだった。


「来たな」


 近づいた白石を、高桐が迎えている。


「すぐに分かったか」


「チャットと来ましたから。……お疲れ様です」


 高桐にスマホを見せ。

 ぼそっと倉橋にも挨拶している。

 こちらは見なかった。


「じゃあ夕方、言った手はずどおり。

俺と倉橋が、まず入店する。

白石と立樹は、5分おいて入ってこい。

少しズラして、1人ずつな」


 赤いネオンの下、簡潔に指示を下す。

 周囲の視線が早くも集まる。

 気にも留めない様子で倉橋に目配せし。

 店の入り口に歩き出した。


 かと思うと。

「あ」 

 すぐ振り返った。

 

「白石。立樹、1人にするなよ」


 倉橋が軽く一礼し、2人が入店して行った。

 その入り口を、見つめてしまう。

 白石が見下ろすのが分かった。


「心配なんだね」

「いえ」


 入り口を見たまま、つい言ってしまった。


「司令官補佐ですから。頼りないんでしょう」


 白石が一瞬、黙り、ふっと笑う。


「そうじゃないと思うよ」


 あたりを見まわした。


「けっこう見られてるし。警視もそう思ったからじゃない?」


「そうですか?」


 三朝も、周囲に目をやってみる。

 どちらかというと……。


「白石さんの方が見られてるような」


「そうかな。俺は立樹だと思うけど……

自分の事はあんまり感じないね」


 また薄く笑う白石と過ごして。

 5分が経った。


「少しズラしてって言ってたから……」


 時間を確認したスマホを仕舞い。

 白石が言った。


「立樹が先に入って。1分したら追いかけるから」


「わかりました」


 素直に従い――店の入り口へ。

 通路には数人の男女が散らばっていた。

 間を縫って、奥の扉へ向かう。


 黒塗りの扉の、長い金色のバーを握った。

 壁面の、黒いプレートが目に入る。

 ごく細い、金メッキのイタリック文字。


 ――静かに煽る 大人の熱帯夜――。

『LOVERSコード』および関連作品に掲載されている文章・画像・動画・ロゴ・キャラクター・設定等の権利は、作者・蒼貴みかげに帰属します。

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