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LOVERSコード  作者: 蒼貴みかげ


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code04:vision08 ミーティング

「立樹はそこに座れ」


 高桐に言われ。

 三朝は、パソコンの前に座った。

 捜査部奥――WHITE BASE。

 

 隣の白石が、ちらっとこちらを見る。

 わずかな笑顔で、頭を下げて返した。


 ややあって。


「警視、はじめて下さい」


 背後に立つ倉橋が、言った。


 三係では。

 連夜、クラブ張り込みを行っている。

 被害者の通う店は20代の客が多く。

 潜入員も20代を中心に組まれている。


 ただ1週間の成果はなかった。

 それは予測が正しかったとも言えるし。

 捜査が閉塞している証左とも言える。

 打開策が、どうしても必要だった。


 本日5月3日。

 今夜の総動作戦が、ひとつの山場となる。


「今夜、行くのは、この店。――クラブ・アリアだ」


 高桐が言うと、白石が店の写真を出す。

 画面に、目が痛いほどの赤いネオンが。

 煌びやかにもすぎる、高級――クラブ?


「これまでマークしてきた店とは、90度、路線の違う店だが。

このフロアのトイレ通路にも、カメラの死角が存在する」


 タタタと。

 白石が、あのキータッチを見せると。

 店内図に画面が切り替わった。


「店舗内は、入ってすぐに長方形のカウンター。

中にバーテンが2~3人。

左右にラウンジ席があって、最奥がフロアの間取りになっている。

トイレ通路はこれ」


 ぬっと。

 すぐ横に。すぐ目の脇に。

 高桐の腕が伸びてくる。

 背後に気配、熱気すら、感じてしまう。


「この角からむこうの通路がカメラの死角だ」


 声が、ごく迫って聴こえる。


「カウンターとフロアの、

ちょうど間からトイレに向かう通路が奥に伸びている。

突き当りの角から先に、

男子トイレと女子トイレ。通路は、かなり長い」


 図面で見ても、その通りになっている。


「ずっと通路に張り付いているわけにもいかないから、

出入口を監視。

トイレから出て、すぐ帰るような女性客がいたら……

尾行だ。いいな」


 倉橋の凛とした声が答えた。


「配置は前回と同じでいいですか」


「そうだな」


 腕が引っ込み、声が離れた。


「出入口が見える、

このカウンターの角2か所に、2人ずつ張り付く。

客が多いと、案外見えづらい。

気をそらさないように、適度に監視しろよ」


 続けて、配置などの具体的指示。

 高桐と倉橋の、息の合ったやり取り。

 まざまざと見せられることになる。

 

「カウンターには入口近くから

俺、倉橋、奥の角に白石、立樹の順でつく。

必要なら、適宜、流動して」


「――通路を出て尾行になった場合は、どうしますか」


「入り口に近い俺と倉橋で出る。

店には奈守が話をつけてあるから、

立樹と白石は、このフロア右側の通用口へ行って、

裏手へまわれ」


「万が一の合図は」


「基本は目線しかないな。インカムはつけられないし」


「もし怪しい動きがあったら、近い方のペアでいいですか」


「そうだな、ないとも限らない。

もし動くときは白石、立樹のふたりで動け。

つねに状況は把握しておく」


 的確にやり取りして、手筈が決まった。


「この店に、何かあるという確証はない。

強いて言うなら、第一事件と第二事件の、

ノービスとエージェントを結んだ、直線状にはある店、

ということになるが。あてになるかは分からないしな。

2週間のインターバルが、正しい読みとも限らない。

もっと言えば、月岡町で次も起こる、

そんな保証も、どこにもない」


 そう。

 捜査側は、結局、後手に回るしかない。

 起きたことの対処しか――それが現実。


「が、やるしかない。

カンを持ち出す気はないが、他の店は他の捜査員が張っている。

どこかで掛かれば……

白石と立樹は、とにかく気を抜かず、アリアの張り込みに注力。

何か起きたら、まず身の安全を確保して、対処に当たれ。

俺の目を見てから動くこと。

さっきも言ったが、状況は把握しておくから」


 白石とともに「はい」と返事した。

 高桐が、ひとつ、頷いた。


「2人とも、他の店には行ってもらったと思うが。

こういう店に出入りしたことは?」


 何となく白石と顔を見合わせる。

 先に白石が答えた。


「昔、友達に誘われて……」


 こちらに目線が向けられる。

 数年前、いとこの望に引っ張られ……。


「1、2回くらいなら」


「わかった」


 顔を上げて、壁掛けの時計を見た。


「このあと一時帰宅命令を出す。

立樹も白石も、服装。整えて来いよ」

『LOVERSコード』および関連作品に掲載されている文章・画像・動画・ロゴ・キャラクター・設定等の権利は、作者・蒼貴みかげに帰属します。

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