↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LOVERSコード  作者: 蒼貴みかげ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/58

code04:vision01 司令室解析

 会議は午前11時すぎに終了した。

 

 全員が立ち上がろうという時。

 着信音が鳴り響いた。


 倉橋が応答して、すぐ視線をあげた。

 大城のDNA完全一致の報だった。

 

 即、逮捕状請求手続きが行われ、

 13時半、正式逮捕となった。


     ***


「ちょっとキーボードが輝いてるよ、白石くん」  


「いまどきのゲーミングPCはこんなだよ。

色も変えられるよ、ほら」


「え、青しぶいな。今度、買う時ついてきてよ。

どれ選んでいいか分からないから」


「いいけど。奈守、ゲームしないだろ」


「買ったらするかもよ。おすすめ、あるんだろ」


「あるよ。オンラインでもオフラインでも」


 じゃれつくような会話を。

 三朝は横に座ってい聞いている。

 今から白石が行うスマホ解析を、

 間近で見せてもらえることになった。


「で、それはどこ製なわけ?」


「台湾だね。かなりイジって別物になってるけど」


「いかつい見た目だよなあ。セキュリティも万全?」


「どうかな。標準よりは強いはずだけど」


 涼しい顔で答えつつ、ケーブルを繋ぐ。


「こっちはこれでいいな」


 即座にノートPCに認識される。

 白石がキーを叩くと、画面が流れ始めた。


「とりあえず、これで中身を全部ひろって一覧にする。

ちょっと時間かかるから、そのあいだに」


 白石はもう一台、ノートPCを取り出した。

 「あ」と声が出そうになり、飲み下す。

 奈守が意外そうにのぞき込んだ。

 

「そっちは地味めだね」


「でも中はやっぱり光るよ。

こっちはショップブランドのハイエンド構成。

ガレニアね。やっぱりイジってあるけど。

で、ミラーにして、吸い出したデータを確認していく」


 開けて、ささっと操作すると。

 画面にデータが表示された。


「で、これでまずSNSの履歴とか、メール、

写真フォルダなんかを見ていくわけだけど」


「つか、早いな」


「解析用のはメモリ64とハイクラスCPUに変えてあるから。

他もいろいろね。

ガレニアは、その7割くらいの性能かな。メモリは半分。

……だめだな、SNSは。事件前後、とくに怪しい会話はない」


「予想どおりか」


 そこへ入り口のドアが開いて。


「はじめたか」


 高桐が戻ってきた。

 上条との話は終わったようだ。

 三朝と白石の間に立って。

 画面を見下ろした。


「いまSNSは見ましたが。とくに履歴はありませんね」


「さすがにそこまでじゃないか」


「メールも……消してあるかもしれないですね。

事件前の何日か分、抜けがありそうです」


「拾えるか」


「ログは拾えると思うので、やってみます。

ちょっと時間ください。

完全復元は無理かもしれないですが、あとでまとめてやってみます」


「ちょっとおバカそうだからさ。

メールのスクショとかありそうじゃない?」


 奈守の言葉に、白石が即フォルダを開く。


「……たしかに」


白石が拡大表示してくれたのは。

まさしくメールのスクリーンショットだった。


『4月19日 PM23:45 月岡町第2パーキング』


「ほんとに残してるとは……」


 奈守が自分で言って驚愕している。

 

「ウソだと思ったよ、声かけられたってのは。けど、これは」


「抜けてて助かったな。とりあえず嘘の証言という証明にはなる」


「ああ……まあ、やっぱり指示役がいるってことだよな、これは」


「車のドアを外から閉めた人物もいる。

大城たちは暴行役として集められたって事だろうな」


「闇バイト……か?」


 奈守が腑に落ちない顔をする。

 それはそうだ。

 闇バイトなら報酬が必要だ。

 今度の事件で何を得するというのか。


「カメラでも回してたのかな」


 白石の呟きに奈守が食いついた。

 

「え、裏で流すってこと?」


「いや思いつきだけど。もし組織犯罪って言うならありうる」


「……か。そうだよな」


 奈守は考え、高桐が受けた。

 

「立樹が言う『犯行が目的じゃない』ってやつだな。

そういうサイトなら得るモノもある」


「そうですね、有料会員制ですから。

素材が必要でしょうし」


 高桐が白石を見下ろした。


「闇サイトの方はどうだ」


「見た形跡、ありますけど……やっぱり踏み台ですね」


 踏み台とは。

 海外サーバーなどをいくつも経由して、

 配信元を辿れないことを言う。

 犯罪のプロや組織が使う方法であり、

 素人には簡単にまねできない手口だった。


「それ以上、追えるか?」


「いや……追えないですね。

ここまでが限界です。レンタル期限ごと消されてますね」


 白石の言葉に、苦々しさがにじむ。

 口元に手を当てて奈守が言った。


「やっぱり組織犯罪ってことだよな」


「確定して良さそうだな。動画撮影が目的とは限らないが」

 

 しばらく解析を見守った。

 うん、と白石がうなずく。


「やっぱりスクショ以上の情報はなさそうですね。

SNSも含めて、解析は進めますが。

位置情報では、この『月岡町第2パーキング』には行ってませんね。

直接、クラブ裏路地へ行っています。

通話履歴も金融関係とか個人通話で、非通知の通話とかはなさそうです。

連絡はすべて踏み台経由でメール、DMだったっぽいです。

キャッシュの方も――まあ、根こそぎですね」


「リモートで消してるかもしれないよな、組織がらみなら」


 奈守の呟きに高桐も同意する。

 

「ありうるな」


 つまり――。

 大城がやらかさなければ、

 いまも何もつかめていなかった、

 ということが分かったわけだ。


 相手は犯罪組織で。

 足がつかないよう、きっちり計画していた。


「まあ十分だろう。ここまでやられて何かつかめるわけもない。

大城を叩ける材料があっただけでも収穫だな、奈守」


 ソファに座った奈守が張り切る。

 

「叩かせていただきますよ、夕方から。

どうせモンタージュだって、まともに協力するとは思えないしな」


「もしもの時は、そこも締められるか?」


「いいよ。あいつムカつくから。

俺でよければ行って、できるだけ正直に話せるよう、

お力添えしてやるよ」


 白石は、より深い解析に入ったようだ。

 奈守は考え込んでいる。

 聴取のシミュレーションでも始めたのか。

 

 高桐が三朝のほうを向いた。


「なにか考えてる感じだな」


 三朝は高桐を見上げ。

 テーブルの上のスマホを見た。

 

「けっきょく、

あの被害者においたスマホの意味は何なのかな、と」


「それだよな」


 ソファから奈守が言った。


「あの儀式めいた、もったいぶった動きでスマホ置いて。

その心はってやつだよ」


 第一事件の遺体遺棄現場。

 高架下トンネル内の映像。


「意味がないわけ、ないんだよ。

裏向きってのが、思わせぶりだろ?

別に普通のスマホだったよな?

若い子らしく、きらびやかに飾ってあったけどさ」


 誰も返答しない。

 高桐は考えていて。

 白石は解析を続けている。

 

 三朝は被害者のスマホを思い浮かべた。

 キラキラケースに、ステッカーが何枚か……。

 

 また「あ」と出そうになるのを飲み込んで、

 あとで写真を見てみようと考えていた。

『LOVERSコード』および関連作品に掲載されている文章・画像・動画・ロゴ・キャラクター・設定等の権利は、作者・蒼貴みかげに帰属します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。