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LOVERSコード  作者: 蒼貴みかげ


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26/58

code03:vision06 会議室

 4月25日午前10時。

 汐洲物流倉庫遺体遺棄=第二事件。

 第一回ブリーフィング=捜査報告会。


 捜査部第三係の会議スペース。


 会議出席者は、司令部第三係4名、

 捜査部第三係の各班長、そして――。


「え、どこだろ」


 三朝はひとり、会議の準備をしていた。 

 

 白石にもらったアプリで作った資料を、

 プロジェクタで表示させようとしている。

 が、そのリモコンがない。


 開会15分前。気持ちが焦る。

 間に合わなければ、地味に”コト”だ。

 

『すぐわかると思うよ』


 と白石は言っていたが――。

 

「これじゃないかな」


 突然、声がして、顔を上げると。

 仕立ての良いスーツを着た男が、

 リモコンでプロジェクタを操作していた。


 資料がスクリーンに投影される。

 

 スマートな笑顔を三朝に向けた。


「あ、ありがとうございます……」


 30代前半くらいだろうか。

 高桐と変わらないくらいの長身。

 明るめの髪に少しクセのある、イケメン。

 見覚えがある気が、しないでもない。

 

「立樹くんだよね」

「あ、はい」

「部長の上条です」


 一瞬、なんのことか分からず。

 一瞬で理解して三朝は一礼した。

 

 JPO司令部部長の上条だ。

 初任科生の時に講義でお世話になった。

 見覚えがあるはずだった。

 

「お、おはようございます」


「ごめんね、着任の日に留守にしてたから。

知らないよね」


 なぜか笑っている。

 

「早く体があいたから、

手伝う事はないかと思って来たんだけど。

まだ1人だったね」


「そうですね……」


 なぜだろう。

 驚いてしまって、上手く答えられない。

 上条は変わらず爽やかスマイル……。

 

「どう? もう慣れた?

高桐くんの所はやりやすいメンバーだから、

大丈夫だとは思ってたんだけど」


「あ、はい。よくしていただいてます」


 ようやく言う。

 上条は机に腰かけた。


「前は内勤に近かったから、大変でしょ。

ここは残業も申告制で、

やたらと帰れないってことはないと思うけど」


「はい、すぐ帰れって言われます」


「でしょ。とくに高桐くんはね。

采配うまいから。ムダなく動けてるよね、みんな」


「そう……ですね」


「第一、第二係はね、組織犯罪とか公安でしょ。

夜中の仕事も多い。残業も仕方ないよね。

でも殺人捜査はさ、要所要所で夜、動くだけで、

あとは昼夜交代制とかしけば、そこまで残業いらないでしょ。

本来、そうすべきなんだよね」


 さらっと言って、また笑う。

 笑顔を絶やすことがない。

 

「ていうか一度、会ってみたかったんだよね。

佐木沢官房長にはお世話になってるから。

変な意味じゃなくね」


「それは……こちらこそお世話になってます」


 棒立ちで返すと、もっと笑った。


「いや、だからお世話になってるのは僕のほう。

……でもそうか。なんか分かる気がするよ」


「え?」

 

「あまり心配してないって言ってたから。

現場仕事で前より危いと思ってたけど、うん、

なんか大丈夫そう」


 会話の処理が追いつかなかった。

 かまわず話が進んでいく。

 

「もしさ。何か困った事があって、

高桐くんにも言いにくいことがあったら遠慮なく頼って。

これ渡しておくから」


 スーツの内側から名刺を出した。

 

「立樹くんの仕事スマホの連絡先は、

もう僕のに登録されてるから。

いきなりLINKも電話もくれて大丈夫だよ。

女性ひとり――ああ、倉橋くんもいるけど、

部署がちがうでしょ。僕も上司だから。

何かあったら力になる」


 ようやく名刺を受け取りながら。

 目をしばたくしかできなかった。

 上条はノートPCの資料を見はじめている。

 

 扉が開いて高桐以下、三係が到着した。


 ――え?

 という声が、心の中から聞こえてきた。

『LOVERSコード』および関連作品に掲載されている文章・画像・動画・ロゴ・キャラクター・設定等の権利は、作者・蒼貴みかげに帰属します。

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