code02:vision04 モニタリング聴取
きっちり10分後。
被害者の友人が到着した。
露出の多いデニムのショートパンツ。
チェックのシャツに白いTシャツ。
メイクはしてなかった。
「吉沢理沙さん、19歳。
秋葉さんと同じ学科に通う1年生、ですね」
倉橋が確認を取る。
ゆっくり、やさしい口調だった。
吉沢は、かろうじて頷いている。
泣きはらした赤い目が痛々しい。
しゃべるのは難しそうだ。
「秋葉さんと同じく茶屋坂在住。
入学時からの友人で……ほぼ毎日、会っていたんですね」
ちいさく頷く吉沢につられて。
倉橋もまた、頷いている。
「最後に会ったのが昨夜……
LINKで連絡を取りあって、一緒にクラブへ行ったんですね」
ジッ……と。
イヤフォンから音がした。
『クラブ名』
JPOでは。
聴取に際して確認シートを書かせる。
被害者や加害者との関係性、事件経過。
吉沢が書いたシートに店名はなかった。
丸椅子を寄せて、2人の間に腰掛けた。
「クラブの名前ってわかりますか」
できるだけ、やんわりと訊くと。
吉沢がはじめて三朝を見た。
痛ましい目と、視線がからむ。
消え入るような声で答えた。
「クラブ・エージェント……」
視線を横にすべらせると。
倉橋が目で問いかけていた。
――続けますか?
またイヤフォンから低い声がした。
『倉橋でいいよ』
三朝は倉橋に頷きかけ。
視線を吉沢にもどした。
「ではクラブ・エージェントに22時すぎに着いて。
吉沢さんは23時半ごろ、先に店を出たんですね」
「そう、です……」
ぐずっと鼻を一回すする。
吉沢は上目づかいに倉橋を見た。
「そのあとは連絡、取ってないですか」
目をしばたいて、涙がこぼれる。
うつむき、吉沢は話せなくなった。
時間をあけて――。
今度は三朝が話を聞いた。
エージェントには週に何度も2人で通い、
『男遊び』をしていたと言った。
先に誘ったのは吉沢の方で、
バイト先のガールズバーの客に同伴し、
合コンを開くために被害者を呼んだ。
最初は物怖じしていた被害者も、
すぐに慣れて積極的になっていき。
クラブ通いの資金のために、
吉沢のバーで働くようになっていた、と。
聞き出すたび、今朝の遺体がちらついて、
足元から冷えていく心地がした。
「アタシのせい……アタシが誘ったから……」
とめどなく枯れない涙。
「美波……みな……」
むせる。言葉にならなくなる。
ぐしゃぐしゃになった顔をおさえる。
思わず唇を指で触っていた。
「殺される、なんて……アタシ……
アタシ、一生……つぐない……切れない……」
吉沢が背負った下ろせない重石。
その片鱗が――。
自分の肩にも圧しかかるようだった。
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