第38話
ニナの案内で宿に来てまず、3日分の宿泊手続きと朝晩の食事を頼んだ。夕飯はこれから用意するので先に汗を流してくれと言われ、部屋に荷物を置いて浴室に向かった。
ちなみに精霊のみんなは手の平サイズになって部屋に置いてきた、初めての宿にちょっと燥いでる気はしたけど。
地下に設置された浴室は広く、しばらく客も来てなかったと言っていたが清掃が行き届いて黴臭さなんて全くなかった。湿気が籠る場所だと思うとちょっと身構えたが安心した。浴槽にたっぷり張られた湯にすぐにでも浸かりたい衝動にかられたがそこは日本人公衆浴場のマナー位は心得ている。
「あっ間に合ったみたいでよかった」
頭に湯をかけたところで後ろから声が、
「司さん、お背中流しますね~」
「いや、だ、大丈夫だから」
「まぁまぁ、そういわずに洗われて下さい」
ペタペタと水にぬれた床を歩く音が近づいてくる。いくら街を占拠していた魔物を倒してからといってここまでするようなことは、でも意識はするよ男だもん!
「あっ先に言っておきますけど。服着てるんで」
良かったと思う反面残念に思うところもある、しょうがないじゃん。健全な16歳男子だよ。と心中でどれだけ叫んだだろうか。
「んじゃ背中流しますね、髪はまだ濡らしただけですね、髪先に洗いますね、体洗う前に香油を使うとまた洗わなきゃいけないですから」
香油ってなに?こないだの村では山羊みたいな動物から採った乳から作った石鹸があったのは覚えている。所謂乳性石鹸だ、香油ということはリンスみたいなものか?
「その香油って何?」
「花弁から絞って精製した油で髪に艶とか出るんですよ。うちのお父さんみたいに艶の出る毛が無きゃ意味ないですけど」
「あのぉな、それは言ってやるなよ。男はみんな多少は禿るのを心配してるんだ」
「司さんも?」
「もちろん心配になる。」
「司さんのゴーレムでしたっけ?みんな美人でしたけどあれって」
「それは聞かないでくれ、自分で形が決められたらもっと目の毒にならない様に配慮するよ」
「ですよね~、いやー見てた友達がゴーレム相手に・・・・」
「それは無い、神に精霊にかけて誓ってそれは無い」
「そうですよね、すいません変なこと聞いちゃって。髪流しますよ」
ちょっとした会話を終えあとは背中だけ流して貰って湯船で疲れを取って食堂に向かった。
既にサテラを含め何人かが集まっていた。
「ではこの街の今後について話をしていきたいと思います。」
「サテラちゃん、周辺の村の状況も確認した方がいいかも知れんからな」
「はい、でも私の家の片付けでうちの者は2.3日動けないと思います。今は使われていない地下室もあったと聞いていますし、お父様の安否も確認しなければいけません。」
「まず、いくつか外からの情報を伝えた方がいいかな?」
「お願いできますか?」
ここに来る前に解放した2つの村の事や街道の様子など見てきた内容をそのまま伝えた。街道では魔物の出現頻度がかなり落ちている事、それは占領した村や町に集められている所為だ。この国の中一番魔物が集められていたのがこの街だということ、牧場の様に扱われていた村から出荷された子供たちがこの街に集められていた。
そして選別と消費が行われていた、王都にいる何かに捧げられてもいる。
産まれてくる命を歪められ、搾取されるだけの贄とか周りにいるおっさん達がざわついている。
おいおい、大事なことを思い出したよ。赤ン坊は何処にいる?ここに連れて来られた赤ん坊たちだよ、急いで探さないと不味いだろ。
「サテラさん」
「はい、なんでしょうか」
「赤ん坊を探さないと」
誰もが失念していたようだ。街中を探せ!!
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