第35話
この街は円形に出来ている、ということは戦闘を回避していたら援護に来てくれるかもしれないと期待だけはしておこう。さっきから何度ウィンドウォールを唱えているか解らない、攻防一体といえば聞こえはいいが俺がここで足止めされているのは事実。
とにかく数を減らさないと俺の魔力も無限じゃない、他の精霊達も戦闘を始めれば更に減り方が酷くなる。サラは魔力消費も考慮してくれているみたいだけどゼロは長期戦不向きな魔術や魔法ばかりだから正直戦わずにいて欲しい。
「おやおや、頑張るね~坊や」
「あんだよ、男か。喰えたもんじゃねぇ」
魔物共の攻撃が一瞬止んだと思ったら魔人の登場か、男女それぞれ1人、会話が成立するのは聞いていたが普通に話しかけてくるとは思わなかった。
「魔術士一人でゴーレムを10体も操れるなんてとんでもないマギアナを持ってるんだね、いいわ、あなた私のペットにしてあげる」
「喰っても美味くなさそうだから、好きにしろ」
男の服・・・どう見てもこっちの世界のデザインじゃない。まさか転移者か?!
情報は聞きだせるのかどうかさっぱりだけど、ともかくあの男が転移者かどうか位は確認したい。ボッチのコミュニケーション能力でどこまで通じるかさっぱりだけど。コミュ障ではと言っておこう、じゃないと仕事にならないからな
「ペットかぁ、それは無理だな~」
「あら何でよ、衣食住全部面倒見てあげるわよ」
「俺の自意識無いでしょ」
「そうね、ペットよりオモチャの方が正しかったわね」
「なら無理、この国の王子辺りで満足しときなよ」
「それなら、もうとっくにお人形遊びで使ってるわ」
お人形遊びね、完全に洗脳されいてるかなこりゃ、でも王族に手が出せるとなるとこいつらがこの国を攻めた首謀者かな
「無駄話はどうでもいい、俺は食事の時間を邪魔されたのに腹が立ってしょうがねんだ。冷めちまう前にカタ着けんぞ」
「お兄さん、こっちじゃあんまり見ない服着てるよね」
「あぁ!」
「異世界から来たのかな」
「だったらなんだってんだ!それがどうした、俺は上手いもんが喰えれば牛だろうが豚だろうが、人だろうが関係ねぇんだよ」
今人って言ったか、おいおい待てよ。まさかこいつ人間を食べてるってのか?
異世界に来て俺みたいなチート能力が備わったとしよう、でこいつはその力に飲まれた感じか?それとも魔人と一緒に生活をしていれば食事として出てきてそれを食べてたってだけか?だから関係ない的な事を言ったのか?
「んだよ、急にだまんじゃねよ!さっさとぶっ殺されろや」
男が腰からナイフを抜いて俺めがけて走ってくる、何にも考えてない感じ。ただ突っ込んで来る喧嘩でもするような足取り。
「ちょっとグロース、その子私のオモチャにするんだから壊さないでよ」
「だったら、先にテメェがやれ」
とりあえず、この男は元の世界に戻すのは止めた方がいいだろう。だって絶対犯罪者じゃん。
剣を抜く。
もう相手のリーチの内部にいるけどナイフで、しかも何にも技術の無い奴から簡単に攻撃を食らうわけにはいかないんだ。
何のひねりもなく俺の目を狙ってナイフが突きだされてきたのを剣で払ったところで蹴りが飛んでくる。
こんなのタリアさんの蹴りに比べれば大したことは無い、ただこいつ喧嘩の場数だけは踏んでそうで、隙があまりなくスピードもある。
魔物の囲いはそのままで数は最初の半分くらい広場が闘技場みたいになってる。男を鼓舞する魔物の雄叫びが耳障りだ
最悪殺すことになってもしょうがない、これは真剣勝負なんだからと自分に言い聞かせる。
グロースと呼ばれた男が幾度もナイフを突出し、俺はそれを剣で払う。大振りな攻撃はせず肩や太ももを中心に反撃を狙う。
突然グロースの背後から火球が飛んでくる。魔術!?
【ウィンドウォール】
風の壁で火球を防ぐと女の方が俺に向けいくつかの魔術の準備をしているのが見えた。2対1というか周りの魔物もなだれ込んで来たら俺瞬殺されんじゃね?
「あんまり抵抗せずに、私の物なってくれない?じゃないと私が壊しちゃいそうじゃない」
背中に冷たい汗が流れた。綺麗とかじゃなくて悦に入った顔に正直引いてしまった
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