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第29話

家を出たのはいいがディーネの協力を得てもこの村全員の治療はさすがに魔力が持たない。こんなことならランクを上げてから来ればよかった。でも、テスタロトの解放にはまだ自分の知識も経験も不足している、精霊の助言はまだ必要だ。

ランクアップはある種切り札、基本ステータスの上昇だけでもかなり違う、代わりに精霊との会話が失われる・・・悩ましい。


『あの人達の治療だよね・・・・・、ポーションとか作ればいいのかな?』


異世界なのに魔法での治療しか浮かばない俺とか無いわー。

薬草を煎じて作る物は回復薬で、薬草の種類や煎じ方で効果が変わる。ポーションは水に魔力付与することで作ることが出来るらしい。それも込める魔力量によって効果が変わる。

なら、やることは一つ!

俺自身は回復系の魔術は使えないのでディーネを纏って精霊魔法で最大効果を狙おう、近くの家から大きめの瓶を持ってきて井戸から水を汲んでくる、ミーデとリアには周囲の森から薬草を調達出来ないか相談して、ゴーレムを作って向かってもらう。そこらにある薪で作ったウッドゴーレムにややリアはご機嫌斜めだったが今は急を要する。

それから3時間かけてポーションが完成した。

その間に少量だが薬草も確保してきてくれた。夜中も近い時間で何人かは家の中で眠りに落ちていたし、怪我の痛みで眠れない人の看病をしている人もいた。まず薬草を煎じることが出来る人と重症者からポーションを飲んでもらい、薬草から回復薬を作って貰う間に子供を身籠っておらず、体力的にも余裕のありそうな女性には大量の食事を作って貰うことになった。

しかし、食材が不足している為そう多くの食事は作れないと言われたのでゼロ、シル、ラビに兎や食べられそうな動物を狩りに行ってもらった。

このペースだと相当な時間、村の立て直しにかかる。

そこまで付き合えない、食料だけでも確保できれば大分マシだが、この先の村でも状況は一緒だろう、俺にはその場凌ぎしか出来ない。

ミーデの持ってきてくれた薬草の配合で強制成長させた胎児はその成長を通常の状態に戻せるかもしれないと言っている。

なんだ、この状況でベビーブームか、産めよ増やせよは資本や食料に余裕があるから出来る事だぞ。余裕なんて無いぞ糞!


金は?この村の財力を知らない、金があれば何とかなるか?

なんにせよ村長なりその辺のわかる人に話を聞いて相談せにゃ俺だけが考えてもしょうがない。


翌朝


昨日水攻めにした魔物をそのままにしていたことを思い出し、村の入口にある箱を開封した。

それはそれは見事にフヤケタ魔物の水死体が出てきた。

そういえば昨日仕留めた魔物の死体って全部放置だ(森の中込み)!イカン腐敗臭で魔物を呼びかねない

慌ててバックから魔鉱石を取出しちょっと大きめのゴーレムを作成して精霊のみんなに集めてもらい、目の前の死体から討伐確認部位を剥ぎ取っていく。

???この素材を村人がギルドに納品、国や村で起こった情報をギルドに報告で謝礼!!

金作れるじゃん!情報が金になるのはどんな世界でも一緒みたいだ


集まった部位を抱えて昨日の家に入るとリアがゴーレムで薬草を煎じていた。妊婦用の物みたいだ、ポーションと睡眠のおかげか昨日よりもかなり顔色の良くなった男達がお礼を言ってくれる。

昨日食事を作ってくれた女性達もすっかり回復したようで今は産後で弱った女性や妊婦の面倒を見てくれている。男性を一度家から連れ出し井戸周辺で会議開始。


村長はオーク相手に抵抗して最初に殺され村一番の腕利きだった男も見せしめにコボルト共に喰われていた。

何人かは狩にはいけるし、畑なんかは荒らさずむしろ仕事をさせられていた為なんとか来月位には野菜類は収穫が出来そうだということ。

元冒険者が2人もいたことは幸いだった。

今朝解体した魔物の討伐部位をアミティアのギルドに納品させに行き、小麦等の買い付けをさせる事にした。もちろんマイリさんの商会で購入してもうつもりなので、彼女宛てに俺が紹介状を書いて物資の優先融通をしてもらう必要はあるだろう。

俺が出来るのは正直ここまでだ、なんと無力な事か・・・・。


その日の午後、日の高い内に元冒険者の二人には馬でアミティアに向け出発した。



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