第21話
街に着かなかった、野営の出来そうな場所を探して馬車を止める。食料自体は備蓄があるとかで心配はいらなかった。4人分の食料となるとさすがに先が心配になる。まぁ明日には街で補給が出来るか。
さて、いつもなら精霊のみんなに夜間の警戒を頼むところだが今回はそれは無理だ。順番に夜警をすることになりそうだ、雇い主殿に温かい食事をお届けしますかね。
「マイリさん、食事を」
「ありがとう」
30過ぎの女性とかまともに接することもなかったし、この世界の事なんてそこまで把握してないというわけで会話が続けられない。
そういえば報酬に関して特になんも話してない、金は困らないから別のものがいい。
例えば情報?何の?近隣の国の情報とか?商人は情報が命ってどっかで聞いたことある。
色々教えて貰おう。
「何かしら?」
「いえ護衛の報酬なんですけど、金銭は余っているので別の形でお願いしたいなって思いまして」
「お金が余っているって?どういうこと?」
「魔術具に使っている魔術陣の権利料ってやつですよ」
「なるほど、最近すごい便利な魔術陣が編み出されたって聞いたけど貴方だったの。」
「商品価値は結構な物だったと聞きましたね」
困ったような笑顔をされてもね、メーカーと小売店みたいな関係になるのかな、荷馬車には俺が書いた魔術陣を使った商品もあった。サンプルとして買い付けに行ったのだろう。
「報酬は少し時間を貰ってもいいかしら?お金以外だと何がいいか悩んじゃうわ」
「構いませんよ。情報収集とか色々やりたいこともありますからあの街では」
「情報ね・・・・。」
「さっ、食事が冷めないうちに食べちゃって下さい。警護を代らないといけないんで」
こっちの意図は解ったようで、思案顔になりながら食事を口に運び始めたのでそのまま警護の交代をしながら食事だ。
深夜、一番夜の深い時間帯を受け持つことになった、交代した護衛ももう眠っただろうか、ここからだと森まではさすがに偵察にはいけない、この辺で一番恐れられているのは狼系の魔物だ、特にニードルウルフ。頭に角を生やした狼だそうだ。
深夜、森から街道に狩に出るとギルドでも警戒を呼び掛けていた。
シェーネとリアに頼んで周囲の偵察に行ってもらおう。荷物の中から魔鉱石と質の良い木材を取り出しゴーレムを作る。
リアはウッドゴーレムに乗り込むとやっぱり武器をご所望でした。牽制用にボウガンを渡しておけばいいかな。
二人が偵察に行ってる間は暇だ、他の精霊達も俺の周りで休憩中だ。睡眠とか食事は特に必要なさそうだけど、リールはいつも眠そうだ。
サラとディーネはいつも元気に飛び廻って居る、ミルクとラビは俺の肩に座ってボーっとしているし、シル、ミーデ、ゼロは膝の上だ。
今夜も何事もない一晩を過ごせたらいいなとか思ったらダメなのだろうな、きっとフラグを立てるのだろう。だって今まで全部フラグが立っているんだよ、魔物も俺の事スルーすればいいだろ、ボッチに何を求めてるんだ?戦わずして勝つていうか気づかれずにヤるくらいの状況が出来上がらないとこれ技能ランク詐欺だろう!
そろそろ、リアとシェーネが戻ってくるようです。小1時間位かな、このまま夜明けまで起きていれば良さそうかな。
何事もなく夜が明けた。そこで交代となったので出発までの間仮眠をとる為馬車の荷台に上がりバックから毛布と枕を出して就寝。きっと起きたら体が痛むだろうな・・・。
どうやら、寝過ぎたみたいだ。もう馬車が動き出している。
「すいません、寝過ごしました」
「おはよう、朝飯無いけど我慢してくれ、3時間もすれば街に着くから」
「寝過ごした自分が悪いんで、飯は大丈夫ですよ。」
バックから干し肉を出して、保温用の水筒(魔術陣を書き込んだ薄い鉄板を丸めて筒状にしたり色々加工してもらった特別性:ミーデとサラによる合作)に魔術で作り出した水と一緒に放り込んで塩を少し入れて5分、適度な温度になったらスープの完成。これで朝食は取れる。
これ売れるじゃないか?いや止めておこう、向こうの文化水準に合わせていくとそれこそ火種を作ることになる。魔術の簡略化をしただけであの騒ぎだったんだ、自重しよう。
マイリさんの処の商家サフィニアはアミティアでも5本の指に入る大店らしく結構手広く支店も展開している。各国の情勢とか色々聞いてみて、まずテスタロトを奪還しに行く算段を付けよう。
1人でやれることにも限界がある、なら出来るだけの準備をしていかなきゃいけない、死にたくないし、だからって誰かと何かをするのは無理!協調性とか求められても皆無だよ。みんな俺の事気付かないんだから仕方ない。
『ねぇ、鎧なんだけど、その鎧を下地に私たちで加工しようか』
前にリアが木製ならすぐに用意できるみたいなことを言ってたな、水筒の事もあるから金属の加工もミーデとサラがいれば出来るのかな?ゴーレムに搭乗すれば鍛冶をすることもできるとミーデは言っていたし多少の強化はお願いしようか。
『間に合わせだけど、私たちの加護で魔力に対しての強化はすぐにやっておくよ』
サラは何かと俺の世話というか色々したがるんだよね。まぁそれはそれでありがたいんだが、甘え過ぎるのも良くない。それこそ人の手では作り出せない装備とかになったらマズイ。例えば聖剣の代名詞と言われる剣≪エクスカリバー≫も湖の精霊からもたらされたものだったはずだ、そんなクラスの武器や防具を使ったら自分を見失う、ただの馬鹿に成り下がるだろう。
今の装備ですら過分なのだ、そこは自覚しよう。そして自制と自重だ。
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3話まで一部加筆修正しました




