第一章 新しい取材の許可
こちらの作品は2023年に一度投稿させて頂いた物になります。
七星京采に話している内容を黙って私達は隣で聞き、私は許可を得ていないが稔一朗さんの話をメモに取っていた。
一気に話したからか稔一朗さんは話し終わった後、七星京采が来た時に出した水を飲み干した。
七星京采はそっと空になったコップを手に取ると、新たに水を入れ稔一朗さんの前に置いた。
稔一朗さんはコップの水を再び一口、二口飲むと小さくお礼を言い
「私の妻と息子はやはり呪われているのでしょうか。
何かに取り憑かれているとしか思えないんです!
助けてください!」
と言った。
七星京采は、無表情とはまた少し違った真剣な顔をして稔一朗さんの顔を見る。
そして少しカウンターから身を乗り出すと、稔一朗さんの顔に近づき匂いを嗅いだ。
いきなり目の前にイケメンが近づいてきて驚いたのか、息を止め固まる稔一朗と七星京采のそんな行動を見ていた私達は凝視した。
暫く稔一朗の匂いを嗅いだ後、七星京采は
「息子さんと奥さんを俺の家に連れてくる事は可能ですか?住所は教えますから。」
と言った。
稔一朗は匂いを嗅がれただけでも思考停止状態だったのに、何が何だか分からないという表情で、無言で何度も頷いた。
七星京采は店の名刺に自分の住所をサラサラと書くと稔一朗に渡した。
「明日は少し無理なので、明後日のお昼頃に来て貰えますか?」
と聞いた。
稔一朗はすぐにスケジュールを確認し、有給が取れるか会社に電話すると言ってスマホを取り出し電話をしに席を外した。
私はそんな様子を見てこれはチャンスかもしれないと思った。
稔一朗さえ良ければお祓いの現場を見ることが出来るかもしれない。
そう思い菓子折を再び手に持ち七星京采に渡しながら
「あの、稔一朗さんの許可が下りたらで結構ですので・・・
お祓いの現場を見させて貰えないでしょうか。
また今回の事を記事にさせて貰えないでしょうか?」
と深くテーブルに額をくっつけるようにし、菓子折を両手で七星京采に献上するようにしてお願いをした。
七星京采はどんな顔をしているのか、私はテーブルしか視界に入っていないから分からない。
人の不幸を記事にしようとしているのだ。
呆れているのかもしれない、嫌そうな顔をしているのかもしれない。
分からないがとにかく今しかチャンスは無いと思った。
答えが出るまで心臓が爆発しそうになりながら、菓子折を献上するような姿勢で居るとボソッと頭上から七星京采の声がした。
「・・・このクッキー、姉さんが好きなやつ。」
運良く献上した菓子折はお姉さんの好きなお菓子だったらしい。
ここは畳みかけるしかない
そう思いテーブルに付けていた額を離し、顔を上げて七星京采に一生の願いだと言わんばかりの顔で
「そうなんですね!
今このお菓子若い方を中心にとても人気だとお聞きしまして。
インスタグラムにもよく掲載されていて、七星京采はもちろんのことお姉様もお好きかと思い本日持って来たんです!」
と言うと七星京采はその菓子折を見つめると、無表情の顔から凄く優しそうな顔になり口元が少し笑顔になった。
イケメンの笑顔の破壊力は凄まじかったが、今はそんな邪な気持ちを捨てないといけない。そう思うが身体が言う事を聞いてくれず、冷静な気持ちではいられない。
菓子折を持った両手の震えは止まらなかった。
七星京采は小さい笑顔を浮かべたまま、菓子折を手に受け取ると
「姉さんに聞かないと分からないので。
もう少ししたら5分休憩貰えるので、その時に姉さんに電話して聞いても良いですか?
まぁ、名前はもちろんですが写真とか撮らなければ大丈夫だと思います。
ただ、姉さんがこの辺は記事にしないで欲しいと言う所があったら記事にしないと約束して貰えますか?」
と言ってきた。
「はい!もちろんです!
約束いたします!取材料金もお支払いいたします!
あ、名刺。
名刺を渡すのでお姉様に聞いて頂けませんでしょうか?」
と名刺を急いで名刺入れから出す。
七星京采は私の名刺を見ながら、先程の破壊力抜群の小さな笑顔から無表情に戻りあまり興味が無いという顔でポケットにしまった。
そんな私達やり取りを電話が終わったのか、席に戻ってきた稔一朗さんの視線に私は気が付いた。
稔一朗は少し会話に入りづらそうにしてオドオドしながら
「今会社の者に確認した所、有給取れそうなので行けます。
息子の様子からして車でお伺いする事となると思いますが、近くに駐車場とかありますでしょうか?」
と聞くと無表情のままの七星京采は
「そうですか。駐車場なら俺の家の駐車場に止められるので気にしないでください。」
と言った。
「本当ですか?良かったです。ありがとうございます。」
とお礼を言う稔一朗を横目に見ながらスマホをポケットから取り出し
「これから休憩に入るので。
後、姉取材の件を聞いてきますから。
稔一朗さんに取材をしても良いか許可取りお願いします。」
と言ってスタッフルームに行ってしまった。
取り残された三人。
私は気まずさもありながら稔一朗さんに取材について話をすると、優しすぎる性格なのかまたは頼まれた事に対して拒否が出来ないのかすぐに許可してくれた。
実慎は私の取材の許可が下りたことに対して自分の事のように喜んでくれ、
「やっぱり今日私お酒飲む!すみません!ビール!」
と店員さんに頼むくらいだった。
まだお姉さんの許可が下りていないがお祓いの現場を見られるかもしれないと思うと、私も嬉しさと人の不幸を喜ぶのは如何なものかと思うが抑えきれないワクワク感が勝ち私もビールを頼んだ。
区切り方が正しいのかさっぱり分かりません。
多分間違っているような気がします。




