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なんとか今日も更新できたっ!
良かった…。
「ここは…?」
気づいた時、蒼麟は闇の中にいた。上も下も分からず、きちんと自分が立っているのかさえ分からない。自分の姿を見下ろせば先程まで着ていた巫女装束ではなくシンプルなワンピースを纏っており、手足もはっきりと見えるが、周囲は暗闇に包まれ何も見えない。そして、ここに来る前の記憶が混乱しているのか曖昧にしか思い出せず、首を捻る。それでも何故か不安にはならなかった。なんだか懐かしいという感覚がこの空間からしたからだ。
「ごめんなさい。」
後ろから突然聞こえた声。気配などまったく感じず気を緩ませていたため、蒼麟は文字通り飛び跳ねるように驚き、ゆっくりとした動作で振り返る。そこに一人の女性がいた。
紺碧色のストレートの髪を腰の辺りまでのびており、蒼麟を見つめている瞳は彼女と同じ淡紅色で、整い過ぎた目鼻立ちの表情を微かに歪めながら涙を流している。肌は淡雪のごとく滑らかな白い肌、女性にしては長身でマーメイドドレスのようなものを纏っているため計算して作り出されたような曲線をえがく体型を美しく引き立てていた。そして、蒼麟の視線が自然にいってしまったのは相手の胸元。一度自分の胸を見れば微かな膨らみが服の上からでも分かるが、小さい。また女性へと向けるとマーメイドドレスの胸元から大きな膨らみとその大きさを物語る一筋の谷間が出来ている。Y字に谷間がなっていないことから寄せていないのは一目瞭然で、ここまで違うのかと内心ショックと微かな嫉妬を覚えたが、なんとか表情には出さなかった。
「…どうして泣いてるんですか? 」
「ごめんなさい…。」
自分の邪念を振り払うため声をかけたが、女性は最初と同じように謝るだけで、どうして謝るのか分からず蒼麟は戸惑う。
「貴女のことは、私が必ず守るわ…シルフィ。」
「っ…!どうして、その名前っ!」
しかし、蒼麟の問いに答えることなくゆっくりと女性はゆっくりとその存在が薄くなっていく。慌てて側に行こうと走るがその距離は何故か縮まらない。
「待って!」
手をのばすが女性は完全に消え、蒼麟自身も何かに意識を引っ張られる感覚に襲われ、そのまま抵抗むなしく意識は途切れた。
「ん…。」
次に意識が浮上した時、柔らかな何かの上に寝かされている感覚と胸部に微かな重みに気付き、ゆっくりと瞼を上げる。すぐに彼女の視界を覆ったのはこちらを至近距離で見下ろしながら鼻をヒクヒクと動かしている小型の白い兎の顔だった。
この光景は予想外で何故目の前に兎の顔があるんだろうと曖昧だった意識を一気に覚醒して考えるが、やはり分からない。
〔起きた?〕
〔起きた!〕
〔元気?〕
〔びっくりしてる。〕
〔良かった。〕
〔良かった。〕
様々な声がしたかと思えば視界の両端から違う茶色の兎がこちらの顔を覗いてきた。大きさからして茶色の兎と同じものだろう。聞こえてきた淡々とした声はこの三羽のものだと動物の言葉が転生してから分かるようになっていた蒼麟はすぐに理解したが、何故兎に囲まれているのだろうという疑問が消えない。そして、兎達の後ろに見える見覚えない天井にここは一体何処なのかという疑問も浮上する。
「よっ…。」
胸部辺りに乗っている兎を落とさないように手で支えながら起き上がると自分が大きなベッドに寝かされており、シンプルな女性用の水色の寝間着に着替えさせられていることは理解した。そっと支えていた兎を膝の上に乗せると他の二羽もすかさず乗ってきてこちらをちょこんと同じ姿勢で座りながら見上げてきた。
「あなた達が助けてくれたの?」
〔違う。〕
〔違うよ。〕
〔人間の女の子。〕
「人間の…女の子…?」
人間という言葉に小さく体が反応する。生前が人間だった蒼麟だが、その時のある記憶が今でも彼女を苦しめ、また箱庭に住まう者達の人間から受けた体験を聞いて育ったために人間という存在は彼女にとって畏怖の対象になっていた。
〔大丈夫?〕
〔大丈夫?〕
〔大丈夫?〕
交互に聞きながら同じ動きで首を傾げる兎達の姿に強張った表情をしていた蒼麟の顔に笑みが戻る。大丈夫だというように三羽の頭を順に撫でていけば気持ち良さそうに目を細め、“きゅう”と小さく鳴き声をあげた。第三者から見れば今までの会話は“きゅうきゅう”と鳴く兎達に言葉をかける少女というなんとも微笑ましい光景だったが誰も見ることは叶わなかった。
「ここは…何処なんだろう…。」
扉が開いているのか日の光に照らされた風によって揺れるカーテンを見ながら呟いたとき、ふと開いている扉の隙間から見覚えのあるものが見えた。
「今のって…。」
〔外いく?〕
〔外いこ!〕
〔とっても綺麗!〕
元気良く跳ねながらベッドを降りた兎達は扉の前まで行くとこちらを向き、“早く早く!”とピョンピョンその場で跳ねながら呼んでいる。そっとベッドから降りるように静かに素足を床につける。床に引かれた絨毯の足の裏に感じる触り心地の良さに驚きながらも立ち上がれば一度体の調子を確認するように軽く動かしてみる。特に問題ないが何か違和感を感じた。しかしその違和感に気づく前に次第に思い出してきていた箱庭での出来事で受けた痛みがないという事実に違和感の正体への意識がそれる。同時に親である彩麒やヴェルガ、精霊達と離ればなれになったことに表情に陰が落ちるが、扉の前にいる兎達に急かされたため、気持ちを切り替えるように頭を振ればすぐに兎達の側へと移動する。
兎が一羽だけ通れるくらいに開いていた扉を先に兎達が一列になって出ていくのを見送れば自分が通れるくらいまで扉を開ける。視界を覆っていたカーテンを手で退け、外を見ると足を踏み出すことなく蒼麟はそこで止まった。
視界の先には朝露が日の光を反射しながらキラキラと輝き、精霊達が楽しそうに過ごしている綺麗な庭園が存在していた。
読みづらくないでしょうか…?
そこだけが心配です。




