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偏差値は戦である  作者: 受験孔明
第二部 再構築〜中学生活編
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第二部 第7話「本番運用」

# 第二部 第7話「本番運用」


 中間テスト一週間前。


 教室の空気は、目に見えて変わっていた。


 休み時間。


 聞こえてくる話題も違う。


「範囲どこまで?」


「ワーク終わった?」


「英語やばいんだけど」


 いつもより少しだけ静かだ。


 だが。


 その裏で競争が走っている。


 森岡悠真は時間割表を見ながら考える。


(学校は取る)


(塾は落とさない)


 その二つを同時に成立させる。


 今の課題はそれだった。


 放課後。


 サッカー部。


 いつも通り走る。


 声を出す。


 ボールを追う。


 練習は削らない。


 だが。


(引きずらない)


 そこだけは意識する。


 終了。


 すぐ帰宅。


 風呂。


 夕食。


 机。


 タイマーを置く。


 九十分。


 学校ワークに使う時間。


 最初から決めている。


 英語。


 数学。


 理科。


 社会。


 範囲を確認する。


(出るところだけ取る)


 深追いはしない。


 英語の記述。


 一箇所だけ止まる。


(ここは丁寧に)


 書き直す。


 文法。


 表現。


 自然さ。


 提出物は見せる形で出す。


 字。


 行間。


 整理。


 だが。


(やりすぎるな)


 線は守る。


 数学へ移る。


 学校レベルなら解ける。


 だが。


 油断しない。


 満点を取る作業として処理する。


 符号。


 途中式。


 見直し。


(ここは落とさない)


 終われば閉じる。


 それ以上はやらない。


 主戦場は別だ。


 塾の復習へ移る。


 確率。


 応用。


 問題を見る。


(取る)


(捨てる)


 即断する。


 全問は追わない。


 得点になる問題を優先する。


 解く。


 止まる。


 戻る。


 別解を試す。


 理解が通る。


(固定)


 さらにもう一度解く。


 今度は時間を半分にする。


(迷いを消す)


 翌日。


 学校。


 小テスト前。


 周囲が最後の確認をしている。


 悠真は違った。


 見るのは問題ではない。


 ミス帳。


 そこだけだった。


 符号ミス。


 条件の読み違い。


 桁ズレ。


 自分が落とした場所だけ。


(同じミスはしない)


 開始。


 問題は簡単。


 だが急がない。


 一定の速度。


 一定のリズム。


 最後の一分。


 見直し。


 符号。


 代入。


 条件。


(よし)


 ペンを置く。


 小さな成功だった。


 昼休み。


 テスト範囲の話になる。


「数学余裕」


「英語死んだ」


 温度差がある。


 悠真は乗らない。


 前の席の女子が色分けされたノートを開いている。


 綺麗だ。


 見やすい。


(評価されるのはあれだろうな)


 そう思う。


 だが。


(同じことはしない)


 時間が違う。


 使える資源が違う。


 自分には自分の運用がある。


 放課後。


 塾の自習室。


 空気が変わる。


 静かだ。


 優駿がいる。


 すでに問題に入っている。


 悠真も席につく。


 今日は時間制限を強める。


 一問ごとに上限を決める。


(ここまで)


 切る。


 次へ行く。


 あとで戻る。


 一周目で構造。


 二周目で固定。


 流れが出る。


 だが。


 一箇所ズレる。


(来た)


 焦らない。


 チェックリスト。


 条件。


 代入。


 確認。


(戻る)


 修正する。


 再び流す。


 優駿が小声で言う。


「回ってるか」


「まあな」


「やりすぎてないか」


「ギリ」


 優駿は頷く。


「それでいい」


 一拍。


「最後の見直しだけは固定しろ」


「してる」


「なら減る」


 それだけだった。


 だが十分だった。


 テスト当日。


 教室は静かだった。


 問題用紙が配られる。


 悠真は目を閉じる。


(やることは同じ)


 特別なことはしない。


 開始。


 数学。


 前半を流す。


 速く。


 だが一定に。


 中盤。


 記述。


 一瞬止まる。


(構造)


 分解。


 整理。


 解答。


 最後の大問。


 時間が足りない。


(捨てる)


 即断する。


 部分点へ切り替える。


 式だけでも残す。


(取れる点を取る)


 終了。


 見直し。


 符号。


 条件。


 計算。


(よし)


 英語。


 長文。


 設問先読み。


 戻る。


 拾う。


 記述へ時間を回す。


 終盤。


 少し余る。


(回す)


 全体を再確認する。


 ミスを一つ発見。


 修正。


 終了。


 テスト後。


 廊下。


 優駿と合流する。


「どうだった」


「取るとこは取った」


 優駿が笑う。


「いいな」


 一拍。


「最後捨てたか」


「ああ」


「正解」


 短い会話。


 だが十分だった。


 帰宅。


 机に向かう。


 ノートを開く。


 本番運用


 そう書く。


 その下に並べる。


 取る問題


 捨てる問題


 見直し固定


 さらに。


 迷わない理解


 と書き足す。


 ペンを止める。


(これでいい)


 完璧ではない。


 だが崩れてもいない。


 その時。


 ドアが開く。


 心太だった。


「終わった?」


「ああ」


「どうだった?」


「まあまあ」


 心太は頷く。


「いいね」


 それだけ言って戻っていく。


 相変わらずだ。


 悠真は少し笑う。


 椅子にもたれる。


(まだ足りない)


 そう思う。


 だが。


(方向は合ってる)


 とも思う。


 学校。


 部活。


 塾。


 二つの戦場。


 複数の役割。


 全部を完璧にはできない。


 だから運用する。


 配分する。


 選択する。


 それが今の戦い方だった。


 窓の外を見る。


 夕暮れ。


 街は静かだ。


 だが。


 悠真の中ではまだ何かが動いている。


(やることは決まってる)


 ノートを閉じる。


 次の戦いに備える。


 戦場は変わる。


 だが。


 やるべきことは変わらない。


 積み上げる。


 修正する。


 前へ進む。


 それだけだった。


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