18. 聞いてしまいました
その日の夕食も、酒場で美味しいご飯を食べた。
「今日こそは私も頑張ったんだからお酒を飲んでもいいよね?」
「まぁ、確かに今日はユリナも頑張ったしなぁ。いいだろう!」
「あまり飲みすぎるなよ。」
「やったー!」
飲み過ぎを心配するアレクを他所に、ジャンと私で美味しそうな果実酒を注文して一口飲んでみた。
「おいしーい!これ、甘くて美味しいね。」
「ユリナ、それは甘くて飲みやすいが、飲み過ぎると悪酔いするぞ。」
心配そうに見つめるアレクだけど、ジャンと二人でおかわりしたりして楽しく初めてのお酒を嗜んだ。
――そして結局私は寝落ちした。
「アレクサンドル様、抱っこなんて大丈夫ですか?僕がユリナを背負いましょうか?」
「いや、いい。このくらい大丈夫だ。」
なんかユラユラしてるけど気持ちいい。
「それにしても、ユリナは酒に弱かったんですね。」
「初めて飲んだから加減が分からないんだろう。ジャン、お前が気をつけてやらねばならんだろう。」
「いやー、まさかあれだけで寝ちゃうとは思わなくて……。」
遠くのほうで二人の話し声が聞こえている気がする。
「アレクサンドル様、ユリナにとーっても甘いですけど……もしかしなくても、ユリナのこと好きなんですか?」
「今更か?だからずっと見ていたと言っていただろう。ユリナが異世界にいる時から、魔法でユリナに繋いでいたんだから。あの魔法は誰にでも繋げる訳ではない。所謂運命の相手というやつに繋がる魔法だからな。」
……ん?え?えーーーーーーッ!?アレク、何を急に重大発言してるの?私寝てるんだからそういうこと言わないで!聞いてしまったからには意識せずにいるなんて無理だ!
「へえー……。それで寿命の半分なんて代償をサラリと払ってまでユリナを転生させたんですね。やっと納得できましたよ。いくら好奇心旺盛なアレクサンドル様とはいえ、まさか何の理由もなしにあんなことするなんて頭が狂ったかと思いました。」
「ジャン、今すぐお前の頭を狂わせてやろうか?」
「わわっ!すみません!冗談ですよ。」
多分アレクにお姫様抱っこされてユラユラ揺れながら、聞いてはいけないと思いながらも聞かずにはいられなかった。
「じゃあアレクサンドル様、また明日よろしくお願いします。しっかり休んで回復してくださいね。」
「そうだな。ではまた。」
ああ、宿屋に着いたらしくジャンが自分の部屋へ入って行く音がする。
そのうち多分私の部屋のドアを開けて室内へと足をすすめている気配がして、私は寝たふりを決め込んだままゆっくりとベッドへ下ろされた。




