無敗
ブックマーク増えてる!?
ひゃっほい!
あざっす!ありがとうございます!頑張ります!(ゲンキン)
時間は少し遡る。
「神動君と達花君はいるかい?」
不意に第三闘技場に現れた九十九は、四軍の選手たちを見回しながらそう言った。
呼び出された耀と誠人が、試合を一時中断し《闘技場》から出てくる。
「あたしたちになんの用かしら? もしかして一軍昇格とか?」
「それはないだろうな」
では何だと、誠人は思考を巡らしながら九十九のところまで歩いていく。
「何か用ですか、九十九先輩?」
「いやー久しぶりだね、達花誠人君。秋の入部試験以来かな? あのときは大丈夫だった?入院してたみたいだけど」
「おかげさまで」
誠人は至って冷静に言葉を返す。正直言って敬語など使いたくない相手だ。
「そうかいそうかい、元気そうでなによりだ。それにしても、入院するような目に遭っても砕球を続けるなんてすごいねえ。ボクならやめちゃうよ」
「そうですか? 僕は普通に続けますけど」
「あたしも続けます。痛いとか辛いとかは当り前ですから」
誠人は挑発的に、耀はさらっと意見を述べる。
「そうかい、見上げたもんだね……でも、チーム内のルールは守ってもらわないと困る」
「「?」」
頭上に疑問符を浮かべる耀。
一方で、誠人は言い掛かりを付けてきているのではないかと、眼鏡の奥の双眸をすっと細める。
「気付いてないのかい? これはこれは……イケないねえ」
上向けた顔を片手で覆った九十九は、大人が子どもに言い聞かせるように続けた。
「君たち、此間大会に出たんだって? 上妃先輩と」
「優勝してきました!」
耀はえっへんと胸を張り髪を靡かせるが。
「ダメでしょ。キャプテンの許可も取らないで勝手なことしちゃ。しかも他チームの選手と一緒に出たなんて前代未聞だよ」
「じゃあ、僕たちに地方の大会に出ろっていうんですか? 四軍の選手たちに回ってくるのはどれもこれも県外の大会ばかりじゃないですか」
「それはまあ、強い者が優先されるのは当然だろう?」
取り付く島もない態度の九十九。
うんうんと同意するように頷く耀は、きっと自分の立場を分かっていない。
「そうですか……それじゃあ何ですか、僕たちに罰でも与えるつもりですか?」
「そうだね。勝手に大会に出た上に、他チームの選手との接触したわけだから……」
便所の掃除くらいやってやろうと誠人は心の準備をする――が。
「ボクと決闘だ。負けたら二人とも退学で」
言い渡された処遇は想像を遥かに上回るものだった。
負けたら退学?
単純明快なことなのに、理解ができない。
「え?」
だから誠人の口から出たその言葉は、心から出たものだろう。
「いくらなんでもそれは――」
「そうかい? 四軍の分際でチームの和を乱すようなことをしたんだ。我慢して地方まで足を運んでる他の選手たちに、どう弁解するつもりだい?」
九十九はちらりと四軍の選手たちに視線を送る。
「僕に勝てば不問になるんだよ? 問答無用で退学にしてもいいところを……寧ろ、感謝して欲しいくらいだ」
「でも退学は――」
「君たちの暮らしている一般寮はさあ、本来苦学生に提供されるものなんだ。今回の件は、生徒会長としても見過ごすことはできないね」
それでも食い下がろうとする誠人の肩にぽんと手が置かれた。小さくて綺麗な手だ。
「……神動?」
「達花くん、口で言ってもどうにもならないわ。もう気付いてるでしょう? あの人はなんとしてでも、あたしたちを追い出したいのよ」
耀は九十九の前に堂々と進み出て宣言する。
「分かりました。その勝負、受けて立ちます」
何故か偉そうなのが気になるが、くるっと振り向いた耀は自信満々そうな顔で言う。
「だから、あたしたちの力を見せ付けましょう? 流石に、自分より強い人間を退学にはできないでしょう? この決闘が終わったら一気に一軍昇格よ!」
しかし、前向きな耀とは対照的に、誠人は不安そうな顔で頷く。
彼は知っているのだ。これから自分たちが戦う相手は、あの闘王学園で個人戦で一度も負けたことのない選手であると。




