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砕球!!  作者: 河越横町
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歪み


 ドラフト会議&指名から一週間。

 九十九学園敷地内にある五つの円形闘技場の一つ、第一闘技場にて。

 

 剛羽は早速、九十九のチームの一軍メンバーたちと練習していた。

 九十九がこのシステムをつくって以来、いきなり一軍入りをしたのは剛羽が初めてらしい。

 耀と誠人は九十九のチームの最底辺である四軍スタートなのでこの場にはいないが、彼らのことだ。心配はしていない。

 さあ自分もこれからだと、剛羽は気合を入れてチームの練習に参加したのだが……。

 九十九学園砕球部内序列第一位――チーム義経はそれ以前の問題を抱えていた。

 それは。


「今日も少ないな……」


 一軍の主力となっている高校二年生たちが誰一人として練習に来ていないのだ。

 闘王学園では考えられないような事態に、剛羽は戸惑う。

 今までは実力のあるチームメイトや優秀なコーチ、監督に囲まれ、最高級の環境で練習していた。が、ここではコーチや監督以前に、チームメイトの練習参加率が低いのだ。


「ま、蓮くん、どしたの!?」


 明らかに怯えている閑花に対して、剛羽は「は、なに?」とつっけんどんな態度を取る。


「なんていうか……今にも人殺めそうな顔してるよ?」


「どんな顔だよ、それ。つーか、九十九先輩たちは? 俺、一個上の先輩たちと最初の練習のときしか会ってないんだけど」


「えっと、それは……」


 と、閑花が言い淀んでいると。


「――高二にねんの連中は大会の一週間前からしか来ねえよ」


 横から、四月の入部試験で見事一軍昇格を果たした高校三年生、木礎激破が会話に参加してきた。

 剛羽や山伏という実力者たち相手に孤軍奮闘したチーム駿牙の触腕使いだ。


「二週間前からって……何ですかそれ?」


 おそらく、九十九を初めとする主力選手は、外の大会に出ることで練習代わりにしているのだろうと推察したが。


「まあ、色々あんだよ。九十九は生徒会の仕事で、駿牙はバイクの整備、砂刀は……座禅組んで瞑想でもしてんじゃねえか?」


 砕球に全然関係ないことをなさっているご様子だ。


 闘王ではAチームとBチーム、CチームとDチーム……といった少人数での練習を基本としていたので。

 剛羽はオペレーターなどのサポーターを除いても三十人近くいる大所帯での練習に慣れていない。

 加えて、半数以上が練習に来ないという現状に苛立ちを覚えていた。

 

 一緒に練習する仲間の数が変わっても、チームとして同じ方向を向いて練習することには変わりないはずだ。


「…………やる気ねえな、おい。砕球舐めてんのか。しょうがないから、ふん縛ってでも引き摺ってくるか」


「蓮くん、口に出てる! あとなんか見える! 黒いオーラが出てる! 異型の二色持ちとか反則だって!」


「そうだな、やる気ねえのは間違いないだろうな」


「ちょ、木礎先輩!?」


「でも、九十九たちが来てから、ここは毎年決勝戦まで進んでる。全国大会にだって出た。あいつらが来る前じゃ考えられなかったことだぜ」


「…………」


「全員集合。練習始めるぞ」


 ぐっと言葉を飲み込んだ剛羽は、副キャプテンである山伏の号令に従い、思っていたものと違う集団に溶け込んだ。


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