終盤戦、開始
試合開始から7分経過。
戦死者14名、残り6名。
(爆発音……誰か退場したのか)
少し離れたところから響いた戦死者が出たとき特有の音を耳ざとく拾った剛羽は、その爆発音が誠人のものでないことを祈る。
チームメイトである上に、一緒に合格を誓った仲間だ。
既に少なからず情が湧いている。
「おいおい、よそ見してる暇あんのかよ!」
木礎は闘志を剥き出しにして背面から生え出た触腕を振るう。
「俺じゃ相手にならないってか!?」
「そんなこと思ってないですけど……球操手が一人きりでいいんですか?」
剛羽からすれば、球操手が一人でいるということは心臓が無防備な状態で敵前に転がっているようなものだ。
というのは、球操手は球を動かすことに《心力》と神経を使うポジションなので、基本的には他のポジションの選手より戦闘能力が低いからである。
「余計な御世話だ!」
木礎は隼をデフォルメしたような球――隼球を操って、剛羽の態勢を崩しに掛かる。狙いは雑だが、隼球は全球種の中でもっとも速度の出る球のため、容易に壊しにいけない。
点を取るために欲を出して球を壊しに行こうとすれば、四つの触腕が襲い来る。
俊敏に空中を駆動する球と、パワーとスピードを兼ね備えた触腕。
五つの球を攻撃手段として使うことで、球操手というポジションを上手くこなしていると、剛羽は思った。
相手は高校三年生。二軍という立場もあって、この試験に掛ける思いは他の選手の比ではない。その気持ちが攻撃に乗っているのがびりびりと伝わってくる――しかし。
「球の軌道が単調ですよ」
「は、流石に九十九みたいにはいかねえか」
回避からの一閃で、剛羽は隼球を一つ斬り落とした。
両断された隼球が虚しく四散。これで剛羽のチームに二点入る。
実際、木礎の発想はそんなに悪くない。
しかし、球を攻撃に使うということは、当然それだけ壊されて点を取られるリスクも上がるのだ。
それに球速が速いとはいえ、ずっと同じ軌道を見せ続けられていれば自然と目が慣れてくる。
隼球は速度が出やすい分コントロールが難しいため、センスが必要な球なのだ。
剛羽は《速度合成》を駆使して、木礎を仕留めに掛かる。が、そこで状況が変わった。
「――助けてぇえええええ!」
剛羽が戦っている――砂刀の居合い斬りによって――開けた土地に、密林の奥からやってきたのは果たして、チーム閑花のキャプテン、閑花和姫だった。




