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砕球!!  作者: 河越横町
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20/54

失策

 

 時間は少し遡り、誠人と猪勢、それから砂刀チームのロケットランチャー使いが戦死した後の河川にて。


(くぅ、一歩遅かったか!?)


 川縁に到着した閑花は、誠人が戦死する瞬間を目の当たりにして、悔しそうに唇を噛む。

 これからどうするか。とりあえず剛羽と合流するのが先かとすぐさま判断し、南下しようとするが……。


「「……あ」」


 川を挟んで向こう側にいる砂刀チームの球操手と目が合ってしまった。

 自分も相手も、護衛役の守手が傍にいない。俗に言う「はだか」状態だ。

 球操手同士がかち合ってしまった場合、戦闘はせずに離脱するのが通例。

 

 しかし、閑花は戦うことを選択した。それは受験生には負けないという自信と、約束を果たすため。

 自分は試験官という立場だが、チームメイトである剛羽たちは試合前に行った簡単なミーティングで勝ちに拘ると言っていた。それを尊重する。

 だとすれば、今やることは決まっていた。


「可愛いお嬢さん、球置いてけば命だけは取らないよ!」


「そんなことできるわけないじゃないですか!?」


「ですよねー」


 閑花は大木の枝から飛び降り、五個の球を従えて腿のあたりまで浸かる川を駆け抜ける。

 大丈夫。自分は球操手だが、守手のサポートがなくても戦える方だ。


(武闘派球操手の力、とくと見よ!)


 と、意気揚々と密林へと逃げ出す相手を追っていた閑花だったが、思わず足を止めてしまった。

 原因はどんどん近付いてくる地鳴りのような音。

 そう、例えるなら列をなして走る群馬の馬蹄が響かせるような……。


「「……え?」」


 そして緑のカーテンを突き破って出てきたのは、防具を纏った戦馬に跨る山伏と、彼を先頭に続く十頭以上の馬の群れだった。

 轢かれたら死ぬ。

 閑花はすぐさま遁走しようとするが。


(って、あの子、固まっちゃってる!?)


 途中で方向転換し、目前に迫る脅威に固まってしまった、砂刀チーム最後の一人である球操手の少女に接近する。

 助けるためではない。彼女の操作している残り二個の球を壊すためだ。

 山伏に全部壊されてしまったら、後に響きかねない。


「わっしょい!」


 閑花は渾身の空手チョップで、相手の空中に浮いたまま微動だにしない犬球ドッグボール一個を叩き壊した――しかし、山伏の投擲したランスが閑花の操る球二個を串刺しにする。

 二得点。四失点。


(バッカでぇーい!! 大失策だよこれ!!)


 まだ彼我の距離があると油断したところを攻撃されてしまった。

 突然飛んできたランスをかわすのに精一杯で、球の操作が疎かになってしまった。

 いや、相手の本当の狙いは、ある程度は避けられる球操手――閑花自身――ではなく、配点が高い上に混戦になると操作主の注意力が散漫になって壊し易くなる球のほうだったのだろう。

 しかし、まだ試合が終わったわけではない。

 落ち込む暇はないのだ。

 自分のミスを取り戻す。そのためにまず。


「ここは逃げる!」


【閑花先輩、サポートします!】


【助かったあ! 風歌ちゃん、蓮くんのところまでよろしく!】


 風歌の指示に従い剛羽との合流を急ぐ閑花の背後で。

 砂刀チームの球操手の悲鳴が上がった。もちろん彼女の操作する残り一個の球も壊されただろう。

 砂刀チームを除く残り三チームの内どこが勝つのか、いよいよ分からなくなった。


各チーム獲得点数、途中経過

 1位 チーム閑花11点(内訳:敵選手7人撃破+敵球2個破壊=1点×7+2点×2)

 2位 チーム山伏8点(内訳:敵選手2人撃破+敵球3個破壊=1点×2+2点×3)

 3位 チーム駿牙6点(内訳:敵球3個破壊=2点×3)

 4位 チーム砂刀6点(内訳:敵選手6人撃破=1点×6)


ブックマークが増えてる!?

ありがとうございます!!

夢じゃ……ない


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