その刀、一振りで全てを断つ
入部試験開始から僅か一分。
ヘッドショットされた奥舟は既に戦死し、残された剛羽と誠人は遠距離狙撃に晒されていた。
最初に飛んできた石のような物体は大木に激突して止まったと思われたが、ギュルンギュルンと回転しながら大木をへし折り、剛羽たちを追尾してくる。
獲物を壊すまで追いかけてくる拳大の石。よく見れば、加速度的に石そのものが大きくなってきている。ほんの数秒でそれは岩へと変化した――しかし、迫り来るそれを剛羽は一刀で両断。涼しげな顔で続ける。
「達花、狙撃手は三人だ。次来るぞ」
「さん!? ひゃい!」
相手は風歌が操作する移動型浮遊カメラによる上空からの索敵に引っ掛からないように、大木から生え出る緑のカーテンにでも隠れているのだろう。これでは風歌のサポートは受けられない。
それでも、剛羽は弾道から相手の位置を大雑把に把握していたため、至近のスナイパーを潰しに行こうとする。
しかし、状況は変転を迎えた――銃撃が、止んだ。しかし何故。
その理由を考えようとするも、相手はそれを待ってくれない。
「蓮剛羽、俺と勝負だ!」「いや、俺とだ!」「いやいや俺と!」
盾&片手剣使い、大剣使い、徒手空拳。武器持ちの二人は同じユニフォームを着ているが、手ぶらの選手は他の二人とは違うチームだ。
彼らの目的はただ一つ。即ち、闘王学園からの編入生を自らの手で戦死させること。
私欲丸出しだが三人まとまって攻めてきたあたり、戦力の計算くらいはできるらしい。
一方で、剛羽は今置かれた現状に得心した。
闘王学園からの編入生という看板をぶら下げている自分を倒せれば、合格は確実だろうと。
試験時間、つまりアピールタイムは普通の試合の半分――たったの十分間。
そんな僅かな時間で戦績を残すには、自分は格好の獲物だ。
しかし、真っ先に強敵を狙い返り討ちにあえば、不合格になる可能性もある。だというのに、自分を狙ってきた相手選手たちに心から敬意を表した。
(こりゃあ、こっちから狩りに行かなくて済みそうだ……助かるぜ)
剛羽は不敵に笑いながら、相手三人の攻撃を《心力》を使わずに捌く。回避だけに留まらず、両手の得物で相手の腕や足を斬り飛ばす。
「なんで蓮、こんなに愛されてるんだよ!?」
「そりゃあ……この中で俺が一番強いからだろ」
「戦闘中に喋るな! というか、蓮がそういうこと言うとすごく腹が立つぞ! 調子に乗ってくれるなよ!」
一方、完全にとばっちりを受けて早くも戦死の危機を迎えた誠人は「これじゃ、いくつ命があっても足りん!」と半泣き状態で戦闘地域から離脱した……と、思われたのだが。
「蓮、デカイのが来る!」「ッ!?」
すぐさま引き返してきた誠人が切迫した表情で叫ぶ。
そして、一体何だとその真意を確かめる間もなく、剛羽が強烈な《心力》が発動されたことを感じた瞬間。
剛羽たちのいた辺り一帯が、切断不可能と見ていた大木なども全部まとめて。
赤色の液体のような斬撃によって容赦なく刈り取られた。




