とある平日
「行ってらっしゃい」
「ん、いてくゆ」
「あい、いってきましゅ」
毎朝礼拝を終えると、リーファスと愛深は向こうの世界へと向かいます。
智美に行ってきますのちゅうをし、小さな扉をくぐった二人を迎えるのは、神官達と大勢の参拝客です。
智美の部屋と大聖堂をつなぐこの扉は、人々に『神々の世界へと通じる聖なる扉』と認識されており、そこを行き来する二人は『プリチー神』として崇められているのでした。
供物(主にお菓子と果物)をもぐもぐしながら、飽きるか眠くなるまで存分に拝まれると、二人は智美の部屋へと帰ってきます。
そして、お昼寝をするのです。
まぁるくちっちゃな二人が仲良く並んで寝息をたてている姿はたいへん微笑ましく、こっそり覗き見している神々が思わずハァハァしてしまう程の可愛さです。
天界の片隅でカイロスが「このまま時を止めて良いだろうか」と真顔で言い、クロノスに後頭部を蹴られています。
さて、しばらくして智美が帰宅してきました。
音をたてないようにそっと部屋を覗きこみ、すやすやと安らかに眠る二人を見て、へにゃりと頬をゆるめます。
最近、どうも表情筋がゆるみやすくなって来たようです。
この時天界の奥では、とある神様が悶えながら歯ぎしりするという奇妙な反応を見せていました。智美のゆるんだ顔に萌える半面、今の表情を引き出したのが自分じゃない事が悔しいのですね。
あ、また下界に向かおうとして……見つかって、踏みつけられながら説教されています。
「んー」
「んう?」
目を覚ました二人が、くしくしと目元を擦りながら起き上りました。
ぽやーっとした様子で周りを見回し、智美を見つけると同時に笑み崩れます。
「おかーり!」
「おかえりなしゃい!」
手を伸ばし、ぽてぽてよちよちと智美のもとへ駆け寄る二人でしたが、ベットの上という不安定な場所とプリチー族の短い足との相性は最悪……いえ、最高です。
二人とも途中でころんでしまいました。
勢い余ってころりと一回転し、きょとんと目を瞬かせるリーファス。
ぺしゃんと前に倒れ、ぱっと起き上りながら恥ずかしそうに顔を赤らめる愛深。
どちらもかなりの破壊力です。
智美は口元から鼻までを手で被い、しゃがみ込んでしまいました。
今にも噴出しそうなアレコレを必死に耐えています。
そんな智美に両側から抱きつき、おかえりなさいのちゅうをする二人……見事な追い打ちです。
智美は勢いよくベットに飛び込むと、布団を被って丸まってしまいました。
リーファスと愛深は顔を見合わせると、布団の端をちょいちょいと引っ張って隙間を作り、自分たちも中へと潜りこみます。
数分後。
どこからともなく吹き込んできた風がバサリと布団を捲りあげると、抱き合って眠る三人の姿が……
頬を寄せ合い、ぴったりとくっついて眠る三人は、それはそれは幸せそう――いえ、違いますね。
それはそれは、幸せなのです。
お久しぶりです。
ちょろっと追加してみました。
これとは別に、もう一話、間に割り込み追加してあったり。




