最終回
ぶぶぶぶ ぶぶぶぶ
耳障りな振動音に眠りを邪魔され、眉をしかめる。
自分で設定した目覚まし機能とはいえ、心地よい夢の中から引っ張り出されるたびに殺意が芽生えるのは仕方ないと思う。
目を閉じたまま携帯を手にし、手探りで振動を止めてから放り投げた。
二度寝にしけこみたい気持ちをどうにか宥めつつ、ほぼ目を閉じたまま制服に着替え、まだ眠っているリーファスと愛深を抱えて洗面所へ向かった。
移動途中で目を覚ました二人から「おはようのちゅう」を貰い、
最近色気づいてきた弟が朝からシャワーを浴びている音をBGMに三人で顔を洗って、
ちょっとした出来心で弟の下着を隠してから居間へと向かう。
父母と挨拶を交わしてから、二人を専用の椅子(幼児用)へ座らせ、洗面所からの声を無視しつつ声を揃えて「いただきます」。
うむ。
いつもの日常である。
あれから、向うの世界と此方の世界は小さな扉で繋がったままだ。
その事で向うの神々と此方の神々が少々もめかけたが、リーファスと愛実の「お願い」によって此方の神々が折れてくれたらしい。
二人については、神皇産霊さんと高皇産霊さん……主に高皇産霊さんが「居ることに違和感や疑問を持たない」ようにしてくれたので、特に周りに説明する必要もなく、こうして一緒に居ることが出来ている。
別れ際に、神皇産霊さんから「智美ちゃんの浮気者ぉ」と泣きつかれたのは、何だったんだろう?
高皇産霊さんからは気にするなと言われたけど。
さて。
朝ごはんを食べ終わったので、二人を抱えて庭に出る。
日当たりの良い場所に二人をおろし、何歩か離れて「礼拝」を見守った。
「「んー」」
二人同時に、ぎゅぅっとしゃがみこみ……
溜めたものを解放するように、天にむかってぱっと両手を広げた。
「「あいちてるー!」」
ぱぁあっと天から光が降り注ぎ、二人を包み込む。
――あいちてるうううう!――
よく見ると、天からだけでなく地面からも……というか全方向のあらゆる所から光が注がれている。
どうやら、我が娘と旦那様は日本の八百万の神をも虜にしてしまったようだ。
無理もない。
二人の愛らしさは尋常じゃないもの。
ありきたりな表現だけど、天使だもの。
リーファスは言うまでもないが、愛深も中々のものだと思う。
容姿が私にそっくりなのに可愛いとか奇跡だよね!
私の影響で、プリチー族にしては表情が乏しく照れ屋だけど……やはりプリチー族。愛情表現は素直で無邪気だ。
特に、ここぞという時に見せる笑顔! あれはもはや兵器だと思うの。
リーファス譲りの満開笑顔で「まにゃ、かぁたん、ちゅき!」とか……悶え死ぬかと思ったよ!
不意に頭を撫でられた時の、きょとんと目を瞬かせた後のほにゃりととろけるような笑顔なんてもう……!
こう、内面から滲み出てるんだよ愛らしさが!
プリチーパワーって凄い!
礼拝を終えた二人が、やりきった顔で此方を振り向く。
「ダリン!」
「かぁたん!」
私の方へ両手を伸ばし、天使たちがぽてぽてよちよちと……あ、転んだ。
ああもう!
私は堪えきれず自分から駆け寄ると、ぎゅうっと二人を抱きしめた。
きゃーっと嬉しそうに声をあげ、抱きしめ返してくれる天使たち。
緩んだ頬を隠すために、ぽすりと二人の肩に顔を埋めた。
(あいちてるー!)
口では言えない言葉を、
けれど常に思っている事を、
うっかり出そうになって、けれどどうしても抑えてしまうその気持ちを、
心で、叫ぶ。
智美の腕の中で、リーファスと愛深が顔を見合わせ、そっと微笑み合いました。
想いは、伝わるものです。
特に、愛に生きるプリチー族は好意に敏感なのですから。
二人はきゅっと智美の腕を握り、すうっと息を吸い込みました。
「「あいちてるー!」」
<終>
これにて「完結」とさせて頂きます。
ここまで読んでいただいた方、お気に入りしてくれた方、ありがとうございましたあいちてるーーーー!
最後がやや急ぎ足だったものの、書きたい部分は全部書けたので、自分では満足しております。
さて、移動について回答が来ました。
文章を書いているくせに読解力がいまいちなので不安ですが、多分、「二次創作」のタグを付けて、あらすじに「原作者の了解得てるよー」と明示すれば問題ない、と。
とりあえず後ほど移動してみようと思います~。




