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025 ゴブリンウォーリアー

翌日。俺とリサは再び地下5階に潜り、順調にゴブリンを倒しながら奥へと進んでいた。


迷路のような石造りの通路を抜けると、突き当たりに他とは明らかに異質な、重厚な鉄飾りのついた大きな扉が現れた。


「ボス部屋か……」

「どうする、挑戦してみる?」


扉を見上げて、リサが興奮と緊張の混ざった声で聞いてくる。

ネットの情報によれば、この扉の奥にはゴブリンの上位種と、取り巻きのゴブリンが数匹セットで待ち構えているはずだ。


「確か、部屋から逃げることもできるはずだから、挑戦してみるか。……少し試したいことがあるから、最初は俺に任せてくれないか?」

「なに? 奥の手でもあるの?」

「まあ、そんなところだ」




俺は呼吸を整え、重い鉄の扉に手をかけてゆっくりと押し開けた。

ギィィ……と嫌な金属音を立てて扉が開き、広々とした円形のホールが露わになる。


部屋の中央には、通常のゴブリンよりも一回り大きく、錆びた胸当てと大剣を装備した『ゴブリンウォーリアー』。そして、その周囲を固めるように4匹のゴブリンが身構えていた。


『ギギャァァッ!』


侵入者を感知したゴブリンたちが、一斉に殺気を放つ。


「よし、一気にいくぞ……『小火炎波(ミニファイアーウェーブ)』!」


俺は右手を突き出し、裏路地のテントの店で購入した範囲魔法の呪文を唱えた。


一瞬で視界が真っ赤に染まる。

俺の手から放たれた激しい炎の波が、床を舐めるようにして押し寄せ、ゴブリンたちを飲み込んだ。


『ギ、ギギャァァァッ!?』


断末魔の叫びを上げ、4匹のゴブリンは瞬く間に炎に包まれて黒焦げになり、ゴールドを残して光の粒子へと変わった。


「すっご……!」


後ろでリサが息をのむ音が聞こえる。

だが、流石に上位種のゴブリンウォーリアーは炎の波に耐え、煤で汚れた胸当てを揺らしながら大剣を構えてこちらへと突進してきた。


「『炎の矢(フレアアロー)』!」


俺はすぐさま追撃の単体魔法を放つ。

激しく回転する炎の矢が空気を引き裂き、突進してくるゴブリンウォーリアーの眉間に正確に突き刺さった。


ドゴォン!


頭部から炸裂した炎が全身を包み込み、巨体がドサリと崩れ落ちる。そのままゴブリンウォーリアーも光の粒子となって消滅し、床にはゴールドが残された。




「ふぅ……」


討伐完了と同時に、急激な倦怠感が襲いかかってくる。

範囲魔法に炎の矢、MP消費量は伊達じゃない。一気に連発したせいで、MPがかなり削られたようだ。


「ふう、やっぱり中ランクは、今の俺にはまだ少しキツイな。というかオーバーキルだったか?」

「ちょっとおじさん大丈夫!? っていうか何今の、普通の魔法じゃないよね!?」


駆け寄ってきたリサが、目を丸くして俺の顔を覗き込んできた。


「テントの店で買った魔法だよ。ちょっとMP消費が激しかったみたいだ」

「あの、噂の! 本当に売ってるんだ!……あっ! おじさん、宝箱があるよ!」




俺たちは討伐報酬のゴールドを拾い集めながら、ゴブリンウォーリアーが落としただろう宝箱へと近づく。

念の為、神保町で手に入れた『罠発見』スキルを発動。特に危険を告げる反応はない。


宝箱の蓋をパカッと持ち上げると、中には青っぽい液体が入ったガラス瓶がポツンと収められていた。


「ポーションかー」

リサが少し肩を落とす。


「どれどれ」

俺は『鑑定』スキルを意識しながら、ガラス瓶を持ち上げた。


【ポーションⅡ:中程度の傷や体力の低下を回復する】


「これ、ただのポーションじゃなくて『ポーションⅡ』だぞ」

「えっ、本当!? 確か、すっごい高値で取引されてるやつじゃん!」


「どうする? この先、大ケガをした時のために取っておくのも良いと思うが」

「うーーーーん。そうだね取っておこうか。それに、今回はおじさんが一人で倒してくれたんだから、おじさんが持ってて」

「ありがとう。助かるよ」


リサの言葉に甘え、俺はポーションⅡを受け取ってアイテムボックスへ収納した。万が一の保険として、これ以上ないアイテムだ。




「それじゃ、奥の扉に入ってワープの登録をしようか」


ボス部屋の奥にあった別の扉を開けると、そこはこぢんまりとした石造りの小部屋だった。

中央には台座が置かれ、その上で淡い青光を放つ大きな水晶が浮遊している。部屋の最奥には、さらに下へと続く階段が見えた。


水晶へ近づき、そっと手を触れる。

ボオンと心地よい音と共に、目の前にウインドウが開いた。


【転移陣の登録を完了しました】

【行き先:1階】


「これで、1階にある転移部屋から、いつでも一瞬でこの地下5階の奥までワープできるようになったわけだ」


水晶から手を離すと、ウインドウはスッと消えた。


「さて、どうする? このまま地下6階に進んでみるか、それともボス部屋の周回でもしてみるか」


俺が尋ねると、リサは自分の鋼鉄の剣を握り直し、真剣な目つきでこちらを見つめてきた。


「ねえ、おじさん。まだ魔法って使える?」

「ん? まあ、少し休めば大丈夫だが」


「あのさ、さっきのボス戦、私ぜんぜん戦ってないじゃん? だから私もボスと戦ってみたいんだよね! もし良かったら、取り巻きのゴブリンをおじさんの魔法でやっつけてくれない? 私、ボスと一対一で戦ってみたいの!」




ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

もしよろしければ、『ブックマーク』と『★評価』をしていただけると、ものすごく嬉しいです。

これからも頑張って更新しますので、引き続きよろしくお願いいたします!


ストック尽きるまで、7:00・12:00・18:00・20:00に投稿予定。

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