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20/56

020 情報収集

東京から帰宅した翌日。


怠けグセがついてしまったのか、今日はダンジョンに行く気が起きずに、結局一日ゴロゴロと休んでしまった。


明日は必ずダンジョンに行こう。受付嬢に頼まれていた、小洒落た東京土産も渡さないといけないしな。


ベッドに寝転がったままスマホを手に取り、情報収集を始める。現在の主戦場は地下4階だが、そろそろ次の階層への進出も視野に入れておきたい。探索者協会が公開している情報を確認したあと、匿名掲示板を開き、地下5階のスレッドを覗いてみた。




【初心者】ダンジョン地下5階を語るスレ Part45【ゴブリン】


153:名無しの探索者

ようやく地下5階に到達したんだが、ゴブリンきつすぎワロエナイ……。


154:名無しの探索者

強さはイノシシと大して変わらんぞ。落ち着いて対処しろ。


155:名無しの探索者

いや、強さじゃなくてさ。なんていうか……完全に人型じゃん?

ボロボロの武器持って、こっち見て叫びながら向かってくるんだよ。

剣で斬った時の感触とか、リアルに人殺してるみたいでゲロ吐きそうになったわ。


157:名無しの探索者

あー、ゴブリンの洗礼か。飯食えなくなるヤツいるよな。俺は平気だったけど(ドヤ顔)


160:名無しの探索者

ここを割り切れない奴は、地下4階でイノシシハンターになるしかないね。

うちのパーティーの剣士も心折れて、イノシシハンターに転職したわ。




なるほど。地下5階のモンスターはファンタジーの定番、ゴブリンか。


ステータス的な強さはそれほどでもないようだが、人型モンスターに対する『精神的な抵抗感』が最大のネックになっているらしい。ゲームならボタン一つで倒せるが、ダンジョンでは自らの手で刃を突き立て、肉を断つ感触を味わうことになる。


それを克服できずに探索者を辞めたり、地下4階に引きこもり『イノシシハンター』と化す者も多いようだ。




165:名無しの探索者

近接で斬りたくないから、遠距離魔法覚えて魔法だけで倒すようにしたわ。

精神衛生上、これが一番安全。


168:名無しの探索者

> > 165

魔力にステータス振ってたの? 魔法の威力クソ弱くない?


170:名無しの探索者

弱いよ! 謎店で買った『小火球』連発して、MPカツカツになりながらジリ貧で倒してる。マジでコスパ悪い。


173:名無しの探索者

お前ら、騙されたと思ってそのへんの石投げてみ。

筋力極振りの前衛がその辺の石ころ拾って投げつけるだけで、ゴブリンの頭カチ割れるぞ。

魔法よりエコだし、遠距離からノーダメでいける。マジでおすすめ。


175:名無しの探索者

筋力特化の投石ワロタ。原始人かよ。でも確かに理にかなってるな。




思わず画面を見てクスッと笑ってしまった。

魔力がない探索者の遠距離魔法より、筋力特化の原始的な『投石』の方が強いのか。魔法をメインにしていない前衛職の連中も、精神的なダメージを避けるために色々と工夫して戦っているらしい。

さらにスレッドを検索して、ドロップアイテムの情報を集める。




180:名無しの探索者

ゴブリンのドロップ渋すぎん?

『ポーションⅠ』は素直に嬉しいけど、『ゴブリンソード』とか『ゴブリンの腰巻き』とか誰が使うんだよあんなボロくて臭そうなの。


182:名無しの探索者

ゴブリンシリーズの装備は、謎店で小銭にするためのゴミだから……。


185:名無しの探索者

本命はたまに落とす『スキルの書』と『魔導書』だからな。これがあるから回るしかないんだよなぁ。


188:名無しの探索者

昨日『魔導書』落ちた!!

震える手で使ってみたら『花火』覚えたわwww


190:名無しの探索者

花火? なにそれ強いの? 爆発魔法?


193:名無しの探索者

いや、目の前でバチバチ光って大きな音が出るだけ。ダメージは全くない。

でも、ゴブリンの目の前で使うと目眩ましになるから、その隙に殴れる。ギリギリ実用範囲だわ。


195:名無しの探索者

俺は『スキルの書』で『小走り』覚えたぞ。

ほんのちょっとだけ足が速くなる。逃げる時にほんの少しだけ生存率が上がる……気がする。使ったあと息切れるけど。




スキルの書と魔導書。


謎店でゴールドを払って買う以外にも、モンスターのドロップアイテムから直接スキルや魔法を覚える手段があるのか。使うだけで新しい能力を習得できるというのはロマンがある。


とはいえ、ゴブリンが落とすだけあって、ダメージ皆無の目眩ましの『花火』や、ほんのちょっとだけ足が速くなる『小走り』など、微妙だが使い方次第ではギリギリ役立つ絶妙なラインナップのようだ。




「人型への抵抗感、か……」


画面を閉じ、天井を見上げて小さく呟く。

いずれは通らなければならない道だ。幸い、俺には魔法の火力が十分にあるし、神保町で買った『索敵』スキルもある。遠距離から先手を取って一撃で仕留めれば、直接斬りつけるような感触もなく、精神的ダメージも最小限で済むだろう。


明日、試しに地下5階に足を踏み入れてみよう。俺は少しの緊張を胸に眠りについた。




ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

もしよろしければ、『ブックマーク』と『★評価』をしていただけると、ものすごく嬉しいです。

これからも頑張って更新しますので、引き続きよろしくお願いいたします!


ストック尽きるまで、7:00・12:00・18:00・20:00に投稿予定。

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