エマ
「どうしたんだい?エマ君」
「いえ、なんかこの写真に写っている女性、私に似ているなと」
ふむ?確かに似ていると言われれば特徴は似ているな。
「この写真に写っているのは誰なんだい?」
「それは連続事件の被害者の一人だ。何でも実家が金持ちだったらしくてな、被害者の中で唯一顔が分かっているものなんだ」
「そうなんですね、もしかして私の親戚だったりするのかな」
「いや、それは無いだろう」
「あぁ、そうだな」
「?なんでですか?」
しまった…
「ジャック」
「まぁ…そろそろ頃合いだろう」
「そうか。エマ君、少し君の過去の話をしようか」
この話を伝えるのは僕もあまりしたくはないが、いつまでも黙っている訳には行かないしな。
「まずは、エマ君。君は自分の母親の事は知っているかい?」
「いえ、知ってるも何も私は孤児だったんじゃないんですか?」
「君の母親は、15年前の切り裂きジャック事件の被害者の一人だ」
「え?だとしたらなんで私はその事を知らないんですか?」
エマ君も珍しく動揺しているな、仕方ないか
「君が四歳の頃に僕の探偵事務所に連れてこられて以来、僕もジャックも一切その話はしてなかったからね」
「だとしたらなんで私はノアさんの所に?」
「それは俺が話そう」
「いいのかい?」
「あぁ。俺には昔恋人が居たんだ。その恋人はエマちゃんの叔母、エマちゃんの母親の姉だ。君の母親が殺され、まず最初に預けられたのが俺と君の叔母だった」
「だったらなんで私はその叔母の事も知らないんですか?」
「叔母、俺の恋人も13年前に殺されたんだ。顔をボロボロにされてな。それからすぐ犯人は捕まった。だがそいつは犯人じゃない。俺はそう確信していた」
「なんでですか?」
「俺は真犯人の体を一瞬見ていたんだ。だが捕まったやつは俺の見たやつより身長がかなり低かった、確実に別人だった。そして俺は自分で真犯人を捕まえるべく警察に入ったんだ」
「その頃僕とも出会ったんだ」
「あぁ、俺が警察に入った13年前こいつは15歳でありながら既に有名な存在だったんだ。その頃俺一人でエマちゃんを育てられなくなってきてな、他人に預けようとしても恋人の事を思い出して不安になってしまった。だから顔見知りであるノアに預けた」
「だから私は小さい頃からノアさんと一緒だったんですね」
「そういう事だね」
「それなら私の叔母を殺した真犯人はどうなったんですか?」
「残念ながら、未だ手がかりなしさ。まるで元から存在しなかったと言わんばかりに証拠が無くてね」
「仕方ないさ、一度解決した事件の証拠なんて残しておいても邪魔になるだけだ」
「そう、なんですか。すいませんちょっと先に帰りますね」
そう言ってエマ君は病室を出て行った。
「まだ…早かったかな」
「いや、俺もお前もいつまで生きてるか分からないんだ。致し方あるまい」
「そうか…」
その後暫しの沈黙が続いたが、思い出したようにジャックが口を開いた。
「そういえば頼んでた件はどうだった?」
「クロだったよ。それも真っ黒」




