見舞い
「ふあぁ〜」
さて、今日の予定は…
「おや」
珍しく何も無いな。せっかくだし事件の整理でもするか。
その時ノアの寝室のドアが勢いよく開けられた。
ドンッ!
「ノアさん、起きてますか!」
「あぁ、起きてるよ」
あのドアは…買い直しかな
「ところでエマ君がそこまで急いでいるとは珍しいね、どうしたんだい?」
「ジャックさんが犯人に刺されたらしくて、伝えたい事があるから急いで病院に来てくれ、と」
「そうか、ならゆっくり準備をして行こう」
「急がなくていいんですか?」
「ふふ、僕は天邪鬼だからね。急げと言わればのんびり行くし、のんびりしろと言われれば急ぐし、ジャックもそれくらいは分かってるさ」
「それは分かりました…けど、警察の人が迎えに来てますけど」
「あれっ」
僕は渋々玄関へ向かうと、そこにはジャックの部下だと言っていたクロウが待っていた。
「おや、君が迎えに来てくれたのかい」
「ども。じゃ、さっさと行くっす」
う〜ん。僕はクロウ君とは合わなさそうだ。
「おや、エマ君は着いてこないのかい?」
「私は少しやる事があるので、少ししたら向かいます」
「そうかい、気を付けて来るんだよエマ君」
…
話す事が無いデートというのも気まずいものだな。
「ところでノアさん」
「なんだい?クロウ君」
「あなたはもうあの連続事件の犯人が分かってるんですよね、なんで黙ってるんすか?」
「さぁ?なんの事やら。仮に分かっていたとしても証拠を見つけるまでは黙っておくものさ」
「そうっすか。それは何故?」
おやぁ、僕は一体何をしたのかな。
「探偵が犯人だと言えば警察は捕まえる。例えそれが冤罪だとしても探偵が犯人と特定したのなら他のものは信じる」
「なるほど、証拠が無い限り冤罪の可能性があるって事っすか」
「大体そういう事さ」
「っと、ここっす。俺は戻ってやる事があるので後は受付にでもジャックの見舞いに来たとでも言って下さい」
「分かった。クロウ君案内ありがとう」
「…」
無視かぁ、寂しいなぁ。
「すみませんここに入院しているジャックの見舞いに来たノアという者なんですけども」――
――「おぉ、よく来たな。お前の事だから急いで来いってエマちゃんに伝えたからのんびり来ると思ってたぜ」
「クロウ君が迎えに来ていたからね」
「クロウが?っかしいな、あいつにはノアの住所を伝えてないはずなんだが」
「この天才探偵ノアの名はロンドン中に轟いているのさ!いやー有名人は辛いねぇ」
「まぁノアの事なら警察なら大抵知ってるしな、誰かに聞いたのか」
「で、伝えたい事とはなんだい?」
「実はな、俺を刺した犯人が連続事件の犯人として捕まった」
「なんだって?!そんな馬鹿な、証拠はあるのかい?」
「ああ、犯人は空き巣に入ろうとしたところ家の中に遺体があるのを確認した、丁度その頃俺が入ってきて咄嗟に遺体の近くに落ちていたナイフを取って俺を刺して逃げようとしたが一緒に居た仲間が捕まえた」
「それだとそいつは犯人じゃないじゃないか」
「これはその犯人の証言だ。実際あいつの持っていたナイフが被害者を殺害し、顔の皮を剥ぐ時に使われた物だと確定した」
「犯人の言う通り他の人間が殺した可能性は無いのかい?」
「凶器に付いていた指紋は日常的に使っていた被害者のもの、犯人のもの、そして刺された俺のもの、後は古いものだけだった」
「やはりそうか」
「まぁ、少しでも平和になったって事でいいじゃねぇか。お前としては自分が解決出来ず不満だろうが」
コンコンッ
「おう、入っていいぞ」
「こんにちはジャックさん」
「おや、エマちゃんじゃねぇか」
「ジャックさん刺された場所は大丈夫なんですか?」
「おう!」
「長年に溜まって付いた脂肪が防いでくれたのさ」
「そうそう。っておいノア、俺は太ってねぇよ」
「相変わらず仲がいいですね、持ってきた花を置きたいのでそこの机の上の花瓶を使ってもいいですか?」
「おう、なんだったら持って帰ってくれてもいいぞ」
「いや、病院のものならダメだろう」
「あれは俺の部下が押し付けてきたやつだからいいんだ。俺に花は似合わねぇだろ」
「たしかに君には花より団子が似合うな」
「おいおいそりゃどういう意味だよノア」
バサバサッ
「すいませんっ!大切な資料が」
「あぁ、いや。そんな場所に無防備に置いてある方が悪いんだ。気にしないでくれエマちゃん」
「すいません…あら?」
どうしたんだ、エマ君が事件の資料に興味を示すだなんて珍しいな。




