秘密
「どうだ?ノア」
「やはりと言うべきか、今のところ手がかりはないに等しいね」
「いつの間にかあいつらも帰って行ったからな。まぁ警察の俺からしたらそっちの方が楽だが」
「何か悪事をしてもバレないって?」
「そもそも警察が犯罪はしねぇよ」
「それそうだな。ところで…さっきからクロウ君は僕達の事をずっと見て何をしているんだい?」
「さぁな。一応俺の部下だが、なんでもお偉いさんの子供らしくて基本自由に動いてるのさ」
「ジャックはそれでいいのかい?」
「いいのかいも何も、警察の仕事はしてるしな。何より警察組織で上の人間に文句は言えねぇよ」
「どこの世界も大変だねぇ」
「ほんとだよ。俺からしたらノアは自由気ままそうで羨ましいぜ」
「まぁいいことばかりじゃないけどね。見たくもない闇の部分を見たり、ある日突然友人が遺体になったり犯人になる世界だ」
「まぁ、それは俺も似たような経験があるから気持ちは分かるぜ」
「何より友人が犯人だったら、それを一番に見つけて警察へ突き出すのが僕の役目だ。しかも証拠も見つけないといけない」
「どこの世界も大変だな」
「ほんとにね。さてと、クロウ君僕はそろそろ帰るんだが、ジャックと一緒にご飯でも食べて帰るんだ。一緒に来るかい?」
そう僕が聞くとクロウ君は首を横に振ってどこかへ行ってしまった。
全く、最近よく振られるなぁ。
――「ん、この料理うめぇぞ。ノアも食うか?」
「いや、僕はほどほどにしとかないと帰った時エマ君の用意してくれていたご飯を食べれないと怒られちゃうからね」
「かぁー惚気話かよ」
その時、食事を口へと運んでいたジャックの手が止まる
「…あれさえなければ俺も今頃は幸せだったのかもな」
「そうか、あれからもう15年が経つのか。早いな」
「ほんとにな、エマちゃんもいつの間にかもう16だ」
「そうか、もう16か…そろそろ話すべきなのかもな。あの人の事を」
…
「なんてな!いやーしんみりした空気にしちまって悪かったな」
「むしろ今の僕はかなり探偵っぽかったんじゃないか?」
「ガハハッ。そうかもな」
――「んじゃ、お前を送り届けたことだし、俺もこのまま帰るな」
「あぁ、またな」
「あ、そうだ。最後に一つだけいいか?」
「なんだい?」
「あのことをエマちゃんに話すかどうかはノア、お前の判断に任せる。それでどんな結果になろうと俺はお前に文句は言わない」
「そうか、タイミングを見てだな」
「そうだな。よし、じゃあまた今度な」
「ああ、また今度」
さて、流石に体が冷えるな。
「おかえりなさいノアさん」
「ひゅっ…エマ君、びっくりするからドアの裏に立っているのはやめてくれないかい?」
「そうですかすみません。ところで…」
「ところで?」
「あの話ってなんなんですか?」
おやぁ、聞かれてしまっていたか。
「聞きたいかい?エマ君」
「ノアさんに任せますよ」
「そうか、なら今はまだ黙っておこう。ところで今日の夜ご飯はなんだい?」
「今日はポトフを」
「ポトフか、最高じゃないか!流石はエマ君、分かってるな」




