療養
「…さん。…アさん。ノアさん!」
「…おや、エマ君おはよう…ヘックション!」
「おはよう。じゃないですよ。朝来たら部屋は冷えてるし窓は開いてるしティーポットには飲めないくらい濃い紅茶が入ってるし!」
「ごめんよエマ君。いつの間にかヘックション!」
「そりゃ風邪も引きますよ。ほら、早く寝室でしっかり休んで寝て下さい」
「でもお客さんが来るかもしれないだろう?」
「自分で寝るのと意識が無くなるのどっちがいいですか?」
この目のエマ君は本気だ。仕方ない、今回の事は全面的に僕が悪いしな。
「分かった僕は大人しく休む事にするよ」
「そうして下さい」
…さて、布団に来たがどうするかな。寝ていない訳では眠くも無いしな…
道具や服の整理と、ついでに手入れでもしておくか。
「ノーアーさーんー?」
「はーい?」
「私寝てて下さいって言いましたよね」
「言いました」
「なんで寝ずに物を広げてるんですか!」
「寝室で過ごしていれば寝ているようなものなのだよエマ君」
「うわぁ」
「エマ君心の声が漏れてるよ」
「ほら、布団に入ってください」
「おいおいエマ君、強引だなックション!」
「ほら、休まないから」
「分かったよ。大人しく休むよ。だからその振り上げた拳を下ろしてくれエマ君」
スッ
「分かってくれてありがとう」
「この散らかってるものは片付けておきますからね」
「あ、それはそこに…ちょ、待って、待ってくれエマ君。そんなぐちゃぐちゃに…」
スッ
「エマ君片付けをしてくれてありがとう。何も文句はないよ!」
スッ
ホッ
「じゃあ私は外に行きますから、くれぐれも休んでて下さいね」
「分かってるよエマ君」
そう言ってエマはノアの寝室を出ていった。
「…暇だ!」
どうしようか、片付け…はしたらダメだな。
仕方ない。大人しく眠るか。
――寝られない!
なにか推理でもしてみようか…何も思い付かないな。
――ガバッ
「いつの間にか寝てしまっていたのか」
せっかく貴重な時間を使い切ってしまった。
だがまぁ、風邪も治った様だし良しとするか。
今は何時だ…まだ朝か。
その時「コンコンコンッ」と扉が叩かれた。
「なんだい?」
そして僕とエマ君は、そのまま扉越しに会話をした。
「ノアさん。体の調子はどうですか?」
「あぁ、大分治ったよ」
「そうですか。それなら良かったです。朝食を用意してあるので食べられそうなら早めに来てください」
「いつもありがとうエマ君。どうせならもう少しこのまま喋らないかい?」
「…」
もう離れたのか。つれないなぁ、エマ君は。




