幽霊
「まぁいい。で、僕の元へ警察の君が来たってことは?」
「あぁ、俺らじゃ証拠も中々見つからねぇせいで捜査が一向に進まなくてな。そこで探偵ノアに正式に依頼って訳だ」
「分かった、普段は普通に探偵やってていいんだろう?」
「それでいい。何かあった時俺がお前を呼ぶからその時に来てくれ。もちろん犯人が捕まったら礼は弾むぜ」
「ふっ、我が親友ジャックよ。僕が金目当てで探偵をやっているとでも思っているのかい?」
「あぁ」
「実際そうでしょう」
「ジャックはともかくエマ、君はなんでなんだ」
「さてと、若者のイチャイチャにおっさんが紛れ込む訳には行かないからな、俺ァそろそろ帰るぜ」
「分かった。これから吹雪そうだ、気を付けてな」
「今度は天気でも操れるようになったのか?忠告ありがとうよノア」
「…もう誰が犯人か分かったんですか?ノアさん」
「いや、全くだよ?なんでそう思うんだい?」
「何年の付き合いだと思ってるんですか、表情でそれくらい分かりますよ」
「流石は名探偵ノアの助手だエマ君」
「てことはやっぱり」
「なーに、まだ何人か候補が居るってだけさ」
「そうですか」
「しかし今日は冷えるな」
「夜ご飯用にシチューを作ってますので」
「さっすがエマ君。分かってるねぇ」
「ノアさんその言い方は気持ち悪いです」
「えぇ、なんでぇ…」
「すみません〜」
「…」
「どうしたんですかノアさん。お客さんですよ」
「絶対この依頼を受けたら温かいシチューが」
「こちらへどうぞ」
「あ、ちょっ、まっ」
「こんな時間にすみません」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「そしたらノアさんに依頼したい事が」
「ノアは私ではなくてこちらです。私は助手のエマと申します」
「あら、そうだったのごめんなさいねノアさんエマさん」
「…お気になさらず。ところで、どんな依頼内容でしょうか」
「実は最近家で寝ていると、窓の外に黒い何かが立っているんです」
「というと、泥棒でも入ってきてるということでしょうか?」
「いえ、人の形はしているんですけど、黒くてゆらゆらしているだけでほぼ動かないですし、急に消えたり現れたりするので。生きてるものではないと思います」
「そうですか…その窓にはカーテン等はありますか?」
「ええ、よく分かりましたね。」
「外の影が映っているわけでは?」
「私も一度そう思ったのですが、周りには人型になるような物は何も…」
「となると、何か別に原因があるか、或いは幽霊の類かですね。ひとまず少ししたら様子を見に行きますので、住所を教えてもらっても?」
「はい、住所は」――
――「ノアさん…そんなに怖いなら引き受けなければ良かったじゃないですか」
「ふふ、エマ君。これは武者震いさ。なーに幽霊なんている訳がない。世の中に起こっている全てには必ず解があるものさ」
「そうですか。その割には私の彼氏探しは、未だに解が出なさそうですが」
「それはエマ君が面食いすぎるだけさ」
「面食いで悪いですか?」
「いやいやそんな事は無いよ。それもまた人体的特徴、君の魅力さ」
「はいはい。そんな事行ってないで準備が終わったのなら早く行ってくださいね〜」
「…もうちょっとだけ心の準備を、ダメ?」
「ダメです、早く行ってきてください」
――「はぁ全く。仕方ないなエマ君は。っとここだここだ…」
わぁ、見るからに幽霊が出そうな…
「あ、ノアさん。お待ちしてました」
「こんばんは。早速ですが、問題の部屋を見せてもらっても?」
「はい、こちらです」
そう言って通された部屋には聞いていた通り窓とカーテン、ベッドが置いてある。そしてそれ以外には鏡台と服立てが置いてあり、扉には鏡が付けてある。
「なるほど…」
「どうですか?なにか分かりましたか?」
「はい。分かりました」




