謝罪
コンコンコンッ
「こんな時間に誰ですか?」
「どうも探偵をやっているノアと申しますが」
ギィー
「?あれ、ほんとにノアさんだ。こんな時間にどうしたんですか?」
「ちょっとね中に入れてもらってもいいかい?」
「そりゃもちろん、ノアさんは恩人ですから断りませんよ」
「…僕は君の親を助けられなかったんだ。恩人だなんて思わなくていいよ」
「いえ、ノアさんのお陰で遺体とはいえ両親は見つかったんです警察も諦めてたんだから感謝してもしきれません。あ、そこに座ってください。なにか飲みますか?」
「では、ミルクティーのミルク抜きを頼むよ」
「紅茶ですね、分かりました。それに私知ってるんですよ。あの事件の後もお金を置いていったり助けて下さったこと」
「さぁ、なんの事やら」
「ふふっ、そうですね。私の幸せな妄想だと思ってて下さい。どうぞ、熱いので気を付けて」
「ありがとう頂くよ。ところで、押しかけておいてなんだが何故まだ起きていたんだい?」
「今日は星が綺麗なので眺めていたんです」
「そうか、たしかにそうだな」
そうか、今日も星は綺麗だったのか。気付いていなかった。
カチャカチャ
「あれ?なんの音だろ、ちょっと見てきますね」
「いや、悪いが行かなくていい。どこかで隠れていてくれ」
「?分かりました」
カチャカチャ、ガチャッ
「やぁ、ご機嫌いかがかな」
「?!」
「我が親友ジャックよ」
「ノア、お前こんな時間になんでこんな場所に?」
「いやぁ、たまたまさたまたま。君は何故ここに居るんだい?」
「お、俺もたまたまだ」
「そうか、まぁいい。そこに座りなよ。少し話をしようか」
さて、座らせたはいいが、犯罪者の親友として話すか犯罪者を追い詰める探偵として話すべきか…決まっているな。
「な、なぁノ」
「ジャック。そんなに亡き恋人が恋しかったのかい?」
「っ…なるほど、全部お見通しって訳か。いつからだ?」
「そこは企業秘密さ。けど君はヒントをあまりに僕に与えすぎた。それが原因さ」
「そうか、流石は名探偵だな」
「ジャック、君はきっと亡き恋人を作ろうとしていた。体は作れたが顔だけは作れなかった。何も残らなかったから」
「あぁそうだ。体は服から再現出来たが顔だけは、な」
「すまなかった」
「?おいおい、何お前が謝ってるんだよ」
「僕は君の心に空いた穴に気付きながら埋めることが出来なかった。亡き恋人を追い求め、狂ってゆく君を親友として止められなかった事、謝罪するよ」
「そうか、悪いな」
「さて、君はこれからどうしたい?ジャック」
僕がそう聞くと、ジャックはそっと腰に付けていた銃を取り出した。
「その銃で僕を撃ちたいのかい?」
「いや、違う…頼むノア。俺を、殺してくれ」
「何故だい?」
「俺にはもう未練が無いんだ。警察となってからもあいつの仇は見つけられず、お前のお陰で出世もした、部下も沢山出来た、でも俺の心はいつまでも満たされないんだ。いつまでも苦しむ位ならいっそ死にたい。だからお前の手で、頼むよ」
「それは無理な願いだな」
「そうか、そうだよなぁ…」
「…僕は君には生きて罪を償って欲しい、これからを生きる僕やエマの為に」
「なぁ、ノア」
「なんだいジャック?」
「俺の人生はなんだったんだろうなぁ…結局あいつを理由に自分で自分を苦しめるばかりだった。悪かったなノア変な事を頼んで」
「気にするな、親友だろ?」
「なら最後にもう一つだけいいか?」
「なんだい?」
「俺の罪の告白を手伝ってくれないか」
「もちろん…と、言いたいところだが、それはそこにいる趣味の悪い君次第なのかな?コソコソと見てないで出てきたらどうなんだい?」




