第六話 ゴブリン
ついに羽が機能するようになった。
ゴキブリを狩り続けた成果だ。
これで空中が加わって、さらに複雑な動きができるようになった。
ところで俺はもう完全なゴキブリ姿になることができるようになった。
そのせいかはわからないが、ゴキブリを食べても変化が見られなくなってしまった。
上限でも在るのだろう。
ともかく食べてもうまみがなく、レベル的にもしょっぱいゴキブリはもう狩らないことに決めた。
子ゴブリンを狩り続ける。
いつものように苦しませないように、頭を砕こうとした瞬間、≪生存本能≫が鳴り響いた。
狩りたい欲を押し殺してそれに従い横にそれると、目の前に大きなこん棒が映り、地面を打った。
成体か。
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ゴブリン
レベル7
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大きな体躯。岩のような筋肉に太い四肢。加えて丸太のようなこん棒。
いつかこんな時が来ると思っていた。
俺はこれまでかなりの数の子ゴブリンを狩ってきた。
この辺りは俺が生まれるまでは子供たちの良い遊び場だったのだろう。
実際暗がりを進もうとすると≪生存本能≫が反応する。
そんな遊び場に俺が生まれて、遊び場は俺の狩場となった。
だから親が出張ってきたのだろう。
俺を排除するために。
だから何だ。俺は生きる。強くなる。
良い相手だ。
子ゴブリンの傾向からして、ゴブリンは群れる。だが後ろで守っている子供を除けば、あいつは今一人。絶好のチャンス。
生まれたての時とは違って俺は武器を持っている。
ムカデの顎に腕のこん棒、そしてゴキブリの機動力。
大きくなったとはいえ、ゴブリンの事はよく知ってる。
しかし油断はしない。速さも力も反応速度も、これまでの認識を覆してくるだろう。
あいつを倒して俺はまた、上へと上がる。




