新たなる教師
主人公視点ではありません。
騎士学園に通う者たちはみな天才だ。中には秀才もいるかもしれないが周りと比べれば秀才と言うだけで世間的に見れば天才である。主席ともなれば小国なら五十年に一度出るかどうかの逸材だろう。そんなエリートである彼らが目指すのが帝国騎士、帝国の力と知の結晶である。
主席でもほとんどの者がなれない。なれる実力はあっても運がない者もいるしそもそもの話実力が足りない者もいる。なれるのは十年に一人くらいだろう。それでも帝国中そ子供たちが集まってくる。憧れの帝国騎士団へ入る一番の近道だからだ。
全帝国民の憧れ、それが帝国騎士団だ。
入学式には皇帝陛下と一緒に帝国騎士団がやってくる。そう、全員だ。そうギール・ランツェ公爵家令息は自室で心を躍らせていた。
長く続いた皇国戦線が終わった。帝国騎士団第十席セイの活躍によってだ。帝国騎士団第十席セイ、赤ん坊の頃に皇国戦線で戦っていた前線の兵士によって拾われ前線で育てられた三歳の頃には野戦病院で働いておりその甲斐もあり八歳で軍に入隊した時には特例で兵長からスタートとなった。
そして、リマブルトビア遊撃戦での玉砕覚悟の突撃の指揮、ヲーポリツ防衛線で食料が全くない中で三か月間戦い抜いた通称餓えた不死鳥防衛戦線。これらはあまり知られていないが一部のマニアには有名な話だ。そしてやはり彼を語るうえで欠かせないのがやはりアルトミニア会戦だろう。
彼が少佐だった時に起こった戦闘で彼が帝国騎士団へ入る決め手となった戦いだ。その三日間の戦いで敵将九名、兵士三千六十八名を倒した功績で帝国騎士団に入った。ちょうどこの戦いの後当時の帝国騎士団第八席が死亡したからだ。
この戦いでの彼の活躍はとんでもない。まず、敵将九名。そもそも敵将を打ち取れること自体が珍しいのだがそれを九名だ。もの凄い。彼の個人魔法は感覚探知だ。あぁ、知らない人のために説明しておくと個人魔法というのはその人にしか使えない魔法さ。彼の個人魔法は何がどこにあるかをわかるという単純な物さ。しかし、それを戦場で磨き上げられた技術で活用した。この世で強くあるには強い個人魔法が必要という常識を圧倒的な才能だけで打ち破った典型例だ。
そして、彼は帝国最強の魔導士と呼ばれている。そんな彼につけられた二つ名は暗雄だ。彼の代名詞である基礎攻撃魔法。威力も精度も発動速度も桁違いのそれは正しく暗殺者のように命を刈り取る。
かっこいい。
素直にそう思う。常に皇国戦線で戦っており、帝国騎士団の任命式も略式、一部の者だけでやりすぐにまた前線に帰ったので殆どの者は顔を知らない。ただ姿かたちだけは風のうわさで聞こえてくる。例えば僕と同じ十四歳とか体格は非常に小柄で身長は百二十cm前後、見た目は白髪赤目のお人形さんみたいな容姿。
みたいと言うのは式典にも出ていないのではっきりとその姿かたちが分からないのだ。しかし、それも今日までで終わりだ。今日、セイ第十席の第六席への昇格が行われたのだ。そこで僕が見たのは黒い軍服に軍帽を身にまとった白い肌に白い髪、赤い目のお人形のような少年だった。ずっと前線にいたのでろくに手入れされてなかったらしい髪の毛は少々癖があるようにも見受けられるが綺麗に輝いていた。
しかし、小さい。肩で風を切って歩いているので少し大きく見えるがそれでも小さい。あれで同い年である。身長は百二十㎝ほどだろう。抱き上げて撫でまわしたい。
あっ、失敬失敬。
ともかくもの凄くかわいかった。
そして、明日は騎士学園の入学式だ。また会えるだろう。今日は眠れなさそうだと思っていたが案外眠れた。
そして、やはり入学式は最高だった。最後の皇帝陛下の周りに並ぶ帝国騎士団員は圧巻だった。この時間が永遠に続いてほしかったが時間は過ぎるものだ。皇帝陛下と共に行ってしまった。
「ギール、入学式の首席としてのスピーチよかったぞ。」
「えぇ、とても凛々しかったわ。」
「お父様!お母さま!来てくださっていたんですね!」
きているとは知らなかった自分の父親と母親に嬉しさのあまり走って駆け寄る。
「はは、今日は休みを取ってな。家に帰ったときにパーティーをしなければいけないな。」
「えぇ、そうですわね。せっかくだし第二皇子殿下もお呼びしましょうか。」
「それはありがたいですね。是非、呼んでください。」
ふと、扉の方から明るい声が聞こえてくる。
「これはこれは第二皇子殿下ご機嫌麗しゅう。」
「お久しぶりでございます。」
「あぁ、久しぶりですね。ランツェ公爵。そして伯母上、敬語はやめてください。むず痒いです。」
「ふふふ、しばらく見ないうちにすっかり大きくなっちゃって。」
「お母様、無礼ですよ。」
むすっとした顔でギールは母親を見据える。
「いいじゃないいいじゃない、誰も聞いてないわよ。」
「大丈夫だよ、ギール。いつも通り喋ろうよ。」
その言葉に顔を明るくし、言う。
「改めて合格おめでとう、ライツ。」
「ああ、ギールこそな。」
顔を見合わせて笑いあう。
「あらあらあら、私たちは先に帰ってパーティーの準備してようかしら。」
「ああ、そうだね。最近会ってなかったし積もる話もあるだろうからね。」
隅っこでこそこそとお母様とお父様が話しているのが聞こえる。
「お父様!お母様!」
「おっと、私たちはどうやら邪魔なようだね。」
「そうね、さっさと消えちゃいましょう。」
「「それじゃあ、二人で楽しんでね☆」」
「えぇ。」
両親は本当に帰って行ってしまった
「いいじゃないか、他のいそうなご両親で。自慢の両親何だろ?」
「うん、勿論。ところでライツは皇帝陛下来てくれた?」
「ん?こなかったさ。母上は来てくれたがね。」
「あ、皇后陛下は来てくれたんだ。」
「あぁ。昔よりは関係が改善されたからな。」
大講堂から教室に向かいながら会話を重ねる。
「ねえ、先生って誰かな。」
「さあ?」
「第六卿もいるかな?」
「多分いないんじゃないか?だって入学式の生徒の中にいなかったし。」
「あぁ、そうだね。まあ、誰でもいっか。」
そして、教室に入ってきた先生をみて僕は驚きに包まれた。
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