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ひとみ先生の眼科診察室  作者: らな


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13/21

第13話 杉原さん

「杉原かれんさーん。おはようございます。」

診療助手の陽子が患者さんを呼び入れた。


杉原かれん、28歳。

初診の患者さんだ。

入ってきた杉原さんは、華やかな感じの綺麗な女性だった。

ひとみは素早くカルテをめくり保険証を見た。

大手航空会社だ。


キャビンアテンダントかな?


雰囲気からそんな気がした。


「今日はどうされました?」

「2日前から左目が充血して痛いんです。」

「なるほど。目やには出ますか?」

「少しだけ。そんな多くはないです。」

「わかりました。では、ここにお顔を乗せてください。」


杉原さんの目を診ると左目の角膜に白い濁りが生じていた。

角膜とは黒目の部分だ。

白目の充血も強い。


「黒目にばい菌が付いて感染を起こしてますね。抗生物質の目薬を出しておきます。」

「先生。コンタクトレンズは入れれますか?」

「コンタクトは絶対しないで下さい。感染の悪化の原因になります。今日処方する抗生剤はわりと色々な菌に効くタイプですが、効かないタイプの菌だと急激に悪化することもあります。感染が治っても黒目に濁りが残り視力が一生低下することもあるので明日絶対診せて下さい。」

「治るのにどれくらいかかりますか?コンタクト、なるべく早く入れたいんですけど。」

「薬が良く効けば5日から1週間。効かなければもっとかかる可能性もあります。」

杉原さんは抗生剤の目薬をもらって帰っていった。


翌日受診した杉原さんの目は、点眼がよく合ったのか白濁が小さくなり充血もかなり改善していた。

「ずいぶん良くなってますね。でもまだ完治ではないので、目薬は続けてくださいね。」

「先生、コンタクトはまだ駄目ですよね?」

杉原さんが尋ねてきた。

「そうですね。黒目の濁りがもっと薄くなって充血が取れるまで無理です。」

「でしたら診断書書いてもらえますか?私、キャビンアテンダントなんですけど、コンタクト付けれなかったら仕事に出れないんです。」


眼鏡でやればいいんじゃないかと思ったが、会社の規則ということなので言われるがまま診断書を作成した。


「感染が治まるまでコンタクトレンズの装用を禁止する、という内容でとりあえず5日間にしておきますね。治りが良かったらもっと早く復帰できますし、長引くようならまた診断書を書いて延長するかもしれません。2、3日後に再診して下さい。」

「あ、受診は無理です。私、明日から2泊で沖縄に行くんです。」


「えっ?」

「仕事行けないんで、急遽入れたんです。あ、海とか入らないから大丈夫です。コンタクトもつけません。」

あっけらかんと杉原さんは言った。

「感染症は突然悪化することもあるので、痛みが出たり調子が悪ければ沖縄ですぐに眼科に行ってくださいね・・・。」

「はーい。」

明日からのバカンスに浮かれているのか杉原さんは機嫌よく帰っていった。


なんだか診断書詐欺の片棒をかつがされた気分ね・・・。


ため息をついてひとみはカルテを陽子に渡したのだった。



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