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運命の経済学 Economics of Fate  作者: キズナ
終章<エピローグ>経験を得て・・・
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4 道

これにて完結です。お決まりで申しわけない!!とだけ言っておきます。

 体育館に静寂が広がる。私の前にはやや照れ顔の会長、髙山日華夏がそこにいる。私は胸の鼓動が早まるのを感じつつも一歩前に出た。


 「会長、私は・・・。」

 「橘君。まぁ、落ち着きたまえ。」

 「すみません。」


 私はいつも何か落ち着きをなくしていたようだ。


 「では、改めまして・・・。私は2年生になって会長、いや先輩に色々教えてもらって感謝しています。本来ならその都度言うべきではありますが、このタイミングまで言えず申し訳ありません。だからこそこのような場所をいただいて先生方へも感謝しています。」


 私は予定通りの言葉を述べた。

 「橘君、君が私に感謝しているのは十分に分かっているよ。でもここまで準備してくれたって事は、まだ何かあるんだろう?」

 会長が真剣な顔でこちらを見ている。


 私は更に胸の鼓動が高鳴るのを感じた。


 「え?何か・・・ですか?」

 「もしかしてこれで終わりと言うわけではあるまい?いや、ならば私から話をしようか。」


 先輩がそう言うと一歩前に出た。

 「私は、今年1年間君の行動をよく見ていた。よくよく出来た後輩だったよ。そして頼もしかった。教えれば教えるだけちゃんと学んで活かしてくれたわけだ。私の方こそありがとう。私についてきてくれて。」


 先輩は何かを思い出しているのだろう。涙を浮かべている。その涙を見ていると私の中でも何かが切れるような音がした。


 「私は君の成長を見ていてどこか思い出したんだ。2年生の春に君に出会ったことを―――。」



◇2年前

 

 ゲインズ学園校門前

 

 「今日は新学期だな!今日から新入生も入ってくるし、どんな子達が入学してくるかここで観察しよう!」

 「かげちゃん!辞めようよ~。」

 「ひろちゃん。そうは行かないさ!何せ新入生だからな!」

 「いや、かげちゃん。それ理由になってないよ。はぁ・・・。本当にかげちゃんって頭良いのか分からないよ。」

 「何を言っているんだ。学年1位の私こそ頭がいいと言えるだろう?」

 「やれやれ・・・。そんなこと言ってると彼氏の一人も出来ないぞぉ?」

 「べ、べつにいらないもん!」

 

 2人がじゃれ合う中新入生が登校してきた。中学生から高校生になったばかりで不安半分期待半分と様々な顔が見えた。1人を除いて。


 見た目は他の生徒と変わらないが、他の新入生とは違う雰囲気が分かる。むしろ私よりも年上かと思ってしまうほどの風格がある下級生。


 「君!名前は?」

 「え?私ですか?橘です。」

 「橘君か。下の名前はなんて言うんだい?」

 「大和です・・・。あのぉ、どちら様ですか?」

 「あぁ、ごめんね。私は髙山日華夏。2年生だよ。君1年生でしょ?」

 突然話しかけて名前を催促する私にやや引いてしまったのか、学生服の袖を手で握っている。


 「そうです。じゃあ先輩なんですね。それで私に何か用でしょうか?」

 橘君が要件を聞いてきてくれているが、特に何も考えていなかったため何も答えれない。


 「もう!かげちゃん!いきなり行かないでよ!ってあら。」

 「橘大和君だ。こちらは髙山裕美。ひろちゃんだ。」

 「下級生の前で恥ずかしいよぉ。」

 「それで髙山先輩と高橋先輩が私に何か用ですか?」

 「ごめんね、引き留めて。別に用があるわけじゃないの。新入生の中で君だけ雰囲気が違ったからね。」

 「あぁ。それはまぁ間違ってないと思います。友達居ませんので。じゃあ私はこれで。」


 あぁ・・・行ってしまった。なんだこの鼓動の高まりは・・・。


 「ひろちゃん!この胸の高鳴りは何だろうか!」

 「え・・・?本当?・・・いやぁ・・・。さすがにねぇ・・・。」

 ひろちゃんはかなり渋い顔をしていた。ひろちゃん的には微妙な子だったって事だろうか。でも私にはびびっと来たし、これが恋だと信じたい。



 それから私は彼をマークするように色々観察してきた。

 生徒会、学園祭、体育祭と様々な行事で観察し確信を得たのだ。彼は私にとって運命の人だと。




 私は過去の出来事を思い出していた。



 「そうだ。一つ聞いて良いかい?」

 「なんでしょうか?」

 「私が橘君に初めて話しかけたあの日。どんな印象だった?」

 「あー・・・。あの時は入学初日でいきなり上級生から話しかけられて緊張していましたね。それに先輩達のような綺麗な方々が私に話しかけてきたので、周りから変に注目されて慌てましたよ。耐えられなくなって逃げるようにその場を後にしましたが。」

 

 私はあの時先輩に話しかけられてドキッとしたことを思い出した。

 私はあの時、あの瞬間にきっと先輩に恋していたんだ。――そう確信した。



 「はは、なんだ緊張していただけか。」

 「先輩。時間も少ないので、単刀直入に私の気持ちを伝えたいんですが良いですか?」

 「いきなりだな。でもそうだね。私も是非聞きたいな君の気持ちを。」


 この瞬間って本当に嫌いだ。相手の気持ちが分からない状況で自分の気持ちを伝えるなんてなんてリスクしかないんだって。でもそんなリスクどうでもいいって思えたから伝えるんだ。



 「さっき登校初日に先輩に話しかけられた話で、ふとあの時の本当の気持ちに気がついたんです。いや、分かってたはずなんですけど、確信したんです。先輩の事が好きって。」

 ついに言ってしまった・・・。これは私が先輩との関係を壊したくない思いで押し殺した感情だろう。


 「でも今日は先輩の新たな門出な訳で、引き留めるなんて事はしないです。私は先輩のおかげで進むべき道が分かりました。先輩とは同じ道にならないけどいつか先輩を追っかけます。それまで待ってくれませんか?」

 思ったことを全部言ってやった・・・。



 「君の気持ちはよく分かったよ。うん。私も君が好きだ。それに君の道を邪魔する気はない。でもなんとなくわかるんだ。きっと私たちは時間が経ってもまた出会うだろうって。君が追いかけてくれるのはうれしいが、待つ気はないよ。いや、君なら私の行く先に先回りして立ちはだかっているかもしれないな。・・・ありがとう。」


 うおおおおおお!!!!あの髙山を泣かせるなんて凄いやつだぞ!

 髙山さんおめでとう!私たち応援するよ!


 先輩は顔を真っ赤にして泣いていた。私はそんな先輩を抱き寄せ、頭を撫でた。

 「先輩。また会いましょう。」



 これが私と先輩の高校生活最後の言葉・・・。




◇7年後



 私はゲインズ学園にいた。

 「えー、今日から君たちの担任になりました。橘大和です。新任ですがよろしくお願いします。」

 そう。私は今日から母校の教師として新たなスタートをしたのだ。



 「橘先生。初日はどんな感じですか?」

 「せんぱ・・・、髙山先生。これからよろしくお願いします。」

 なんと髙山先輩と同じ職場で働くことになった。



 「髙山先輩。覚えてますか?私、追いつきましたよ。」

 「そうだね。やっと追いついてくれた。」

 「今でも先輩の事が好きです。受け止めてくれますか?」

 「ええ。もちろん。」


 こうして私の新しい道は先輩と一緒の道になった。

 おそらくこれからも先輩と同じ道を歩むだろう。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

投稿を初めて約1ヶ月半。長かったと言えばそう感じるかもしれませんが、実に短い時間でした。


次回は全く別のお話を考えようかと思います。

気が向きましたらこのお話のおまけ話を作ろうかと思ってます。


つたない文章で表現力・語彙力も乏しかったかと思いますが、読んでいただき本当に感謝しています。

ありがとうございました!

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