2 思惑
段々終わりに近づいてきました。
◇1ヶ月後・・・
春の陽気が卒業生を照らす。ついに会長達は卒業する――。私は何か先輩のために恩返しできただろうか。ここで先輩達との縁が終わっても良いのだろうか・・・。そんなことばかり考えて眠れなかった。
在校生代表の立場を利用してと言えば言い方が悪いかもしれないが、私は会長へ思いを伝える時間を手に入れた。これは私が先輩達に何か出来るチャンスなんだ。
◇卒業式1ヶ月前・・・
私はどうしても卒業式の時に会長に伝えたいことがある。これは他でもない私のわがままだ。でも先生なら手伝ってくれるかも・・・。そう思って一度出た職員室へとまた入っていった。
「先生、すみません。」
「あら?さっき出て行ったばかりなのにまた戻ってきてどうしたの?」
「いや、実は・・・。卒業式の際に私に時間をいただけませんか?5分、いや3分でもいいので。」
「え?どういうこと?それに卒業式は1ヶ月後よ?そんな事出来ないと思うけど・・・。」
「そこをなんとかお願いします。普段の流れで何かを伝えてもおそらく会長には響かない。でも、卒業式って大きな舞台ならどうにかなる気がするんです!私の思いを伝えたいんです。」
「んー・・・でも私にはそんな権限も何もないし、担当の先生に言っても何も変わらないと思うけど。」
「じゃあその担当の先生を教えてください!私が直にお願いしますので!! 」
私の思いを先生にぶつけてみた。
「――わかったわ。私から担当の先生へ話をしてみます。だからあなたは今日は帰りなさい。」
「わかりました。ではお願いします!!」
思いが通じたのか先生が協力してくれることになった。
私はそのまま再び教室を出た。
◇職員室内
「教頭先生・・・少しお話よろしいでしょうか?」
「おや?萩原先生。なんでしょうか?」
「ここでは何ですので・・・。」
「わかりました。ではあちらへ行きましょう。」
教頭先生は応接室へと歩いて行った。
「で、話と言うのは何でしょうか?」
「はい・・・。私のクラスの橘大和はご存じでしょうか?」
「橘君ですね。生徒会副会長の。」
「えぇ。彼から先ほど来月の卒業式で先輩の髙山さんに伝えたい事があるから卒業式の時間を3分でいいから調整できないかと相談を受けまして・・・。」
「ほう。それで、萩原先生はどう対応されたんですか?」
「はい。無理と伝えたことは伝えたのですが、それでもなんとかならないかと彼に言われて、話すだけ話してみると。」
「それで私へ相談に来たのですね。」
「はい。申し訳ありません。教頭先生のお手間を増やすばかりで誠に申し訳ありません。」
「いえいえ。そういった事を処理していくのも私の仕事ですから。」
私は教頭先生のニコニコした顔が怖くて下を向くばかりだ。
「ところで、彼、橘君は卒業式の時間じゃないとダメなんですか?」
「え?と、と、いいますと?」
「いえ、過去にもそういった生徒はいましたので。彼らには卒業式が終わった後にしてもらったわけです。」
「なるほど・・・。私が感じた限りですが、おそらく式中の話かと思います。卒業式という場が髙山さんに一番伝えやすいんだと言ってましたから。」
「なるほど。ではこうするのはどうでしょうか?逆に在校生や父兄の方に退出してもらうというのは。」
「そんな、一人の生徒のわがままでそんなこと出来るんですか?」
「通常は無理ですね。でも今回は少し訳ありなのですよ。」
きな臭い話にならなければ良いけど・・・。
「実は、髙山さんのお父様より『娘が何か相談に来たら断らずに相談に乗ってあげてくれ』と言われてまして・・・。」
「髙山さんのお父様ですか・・・。」
「はい。それでつい先日髙山さんのお友達から担任の先生経由で私の方へ同じような相談があったんですよ。」
「同じような相談ですか。高橋さんから相談でしょうか?」
「確かそういう名前の生徒だったと思います。それで同じようにお断りをしたんですが、後日生徒が直に私の所へやってきまして、私からの相談は無理かもしれないけど本人から直に相談があったらちゃんと考えてくださいって言われたんですよ。」
「じゃあ来るかもしれないって事ですか?」
「おそらく。なのでパターンを2つ今検討中なのです。萩原先生には橘君へ検討中だと連絡して置いてください。もしかすると本当にそうなる可能性もありますので・・・。」
「わかりました。」
教頭先生の足取りは重かった。もちろん私の足取りも同じく重い。でも生徒の前でこんな顔してたら教師失格よね。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回更新は11月27日(火)午後6時頃を予定しています。
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最後はやっぱりこうなると思います。次回あたりが最後かも!?




