10 学園祭1日目 終了まで
今回は学園祭1日目終了までです。
「・・・それで会長はなぜここにいらしゃるのですか?」
「何って、そんなの決まっているだろう?響がメイド服を着ているんだ。見ないわけにはいかないだろう?姉として。」
「そんなもんっすかね?」
「姉心とはそんなものだ。橘君だって絵美君が来年入学してきた時には同じ気持ちになるはずさ。」
「――私は・・・ならないと思いますけどね。あいつの心配なんて。」
「えー、お兄ちゃんはそんなに私の事嫌いなのね。・・・しくしく。」
背筋がぞわっとし後ろを見ると、そこには制服姿の絵美がいた。
「―――お前なんでここにいるんだ。」
「なんでって言われても、会長さんにご招待されたからかな?」
「橘君、我が学園は一般公開している学園祭だ。来年ここの生徒になる予定の絵美君であれば当然といえると思うが?」
「いえ、今日は平日ですよ?一般公開しているとは言え、本来であれば学校がある時間帯の絵美がここに居ることが問題なんですよ。」
「あぁ、そんなことか。それなら問題ないぞ?君達のお母様には承諾を得ているからな。」
「え!?」
絵美の方を向くとピースサインをする姿が見えた。
「なんでも、この間の全国模試で総合得点が全国10位に入ったとかで、担任の先生からはどこの学校も余裕で受かると言われたらしい。」
我が妹ながら何という学力。私ですら最高順位が40位だったのに・・・。
「でも安心して、お兄ちゃん。私は会長と一緒に巡るから、お兄ちゃんは裕二兄ちゃんと一緒にどうぞ♪」
「やけに楽しそうだな。」
「だって、中学には学園祭なんてものないもの。楽しみで仕方ないよ!」
珍しくはしゃいでいる妹の姿を見て少し安心した。このところ余り会話を出来ていなかったし・・・。
「お、お待たせしましたご主人様~。」
「響ちゃん待ってました!」
「うむ実に早い対応だ。さすがだぞ、響。」
響さんが持ってきたメイドのおすすめは定番のオムライスだった。勿論オムライスにはケチャップでハートが描かれている。オムライスの器にはご主人様へ愛を込めてとも書いてあった。
「クオリティ高いですね。」
「うむ。実に素晴らしい!では早速・・・。」
会長がオムライスをスプーンで1口パクリと食べた。
「絶妙な甘さだ。ケチャップライスかと思ったら中はバターライスとチキンライスのハーフ&ハーフ。そしてふわふわ卵に絡みつく甘酸っぱいケチャップ。おい響、この料理を作ったのは誰だ?」
「え?作ったの?私だけど・・・。」
「響が作ったのか・・・。私の妹は天才か!?」
響さんが作ったことには驚きだけど、それよりも会長がここまで人を褒めている姿は珍しい。
「俺たちも食べてみようぜ。」
裕二はそう言うと1口、また1口と口へ運んでいく。私もオムライスを口へ運ぶ。会長が言ったとおり、絶妙な味加減だ。これはプロのシェフ顔負けなんじゃないか?
「ぷはー!食った食った。」
「お前早いな。」
「いやぁ・・・。ここまでおいしいオムライスは初めて食べたぜ。」
裕二はものの数分でペロリと平らげてしまった。そして私もそれに続いて食べ終わった。
会長はまだ食べているようだ。私たち2人はこれ以上関わらないようにささっと4組を後にすることに決めた。
「響ちゃんおいしかったよ!最高だった。」
「おいしかった。」
「先輩方、ありがとうございます!!」
私たちは響さんに感想を述べ、勘定を終わらせ退出した。
「裕二はこれからどこへ行くんだ?」
「俺か?そうだな・・・近いし栞の所へ寄ってみるよ!お前はさっき行ったんだもんな。じゃあどうする?」
「私は、高橋先輩のところへ行ってみるよ。裕二も栞の所終わったら来てみたらどうだ?」
「そうだな!そうする。」
◇3年3組
私は高橋先輩の教室、3年3組の前に来ている。
そして、中からは常に奇声が聞こえ、出てきた生徒のほとんどは大泣きしている。
「一体どんなお化け屋敷なの・・・。」
私は不安でしかなかった。なにせ発案者はあの会長だ。どんな仕掛けをしているかわからない。
少し入るのを躊躇っていると、教室のドアが開いた。
「あ、橘君。かげちゃん見なかった?」
「高橋先輩、会長は今響さんの教室に居ましたよ。」
「もう!そんなところに行って!こっちは人手が足りてないのに――!」
高橋先輩はそう言って走って行ってしまった。
私はチャンスだと思いその場を立ち去った。
◇第2第3連絡橋
「勢いでここまで逃げてきたけど、これからどうするかな。」
私はマップを確認して面白そうな場所を探した。
「もう昼になるな・・・ちょっと生徒会室へ寄ってからもう帰ろうかな・・・。」
私は生徒会室へ寄ることにした。
◇生徒会室
生徒会室は誰も居ない静寂な空間に包まれていた。私はいつも座っている椅子に座って外を眺めていた。
夏に白紙の進路希望票を出しだがために始まったBE部――。
会長が説明する話は、わからない事が多かったり、ためになる話だったり・・・。本当この数ヶ月、充実している。このままこの時間が続けばとも思うことがある。
・・・・・・
「大和君!起きて!」
栞の声が聞こえる。
「おい、大和!何寝てるんだ!風邪引くぞ!?」
どうやら私は寝ているようだ。栞も大和も私のために生徒会室へやってきたんだろうか。
2人に悪いからそろそろ起きるか。
「ふぁぁぁ・・・・・・。栞、裕二、居たのか――。」
私はわざとらしくそう答えた。
「いつからここに居たんだよ?俺結構お前に電話して探してたんだぞ?」
「いつからだろうな・・・。昼ぐらいからかな。」
「呆れた。4時間も寝てたってことね。」
「え?もうそんな時間?」
栞の言うように私は4時間ほど眠っていたようだ。生徒会室の時計の針は4時を指していた。
「じゃあそろそろ帰るか?」
「そうだな。栞はどうする?」
「・・・・・・帰る。」
私たちは一緒に帰ることにした。
次回はこの章のラスト!
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
次回更新は11月15日(木)午後6時予定となってます。
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