6 コミットメントの条件
今回は多田紫のダイエット話です。栞の意外な一面が見えます。
◇生徒会室
「さて、どうしたものか。」
「何がです?多田先輩のダイエットに協力するんですよね?」
「そうだが?正直私は今までダイエットをしたことがないんだ。」
「え?そ、そうなんですか!?」
先輩はダイエットもせずにその体型ってなんなんですか・・・。
髙山先輩は才色兼備、スポーツ万能、人望もある。そのナイスボディは努力あってのものだと思ってたけど自然体がそれなんてズルイ!
「南條君もダイエットなんてしたことないだろ?」
「私は日々気にしてますよ!食べ過ぎるとお腹に肉がついちゃうし、かといって胸にはついてくれないし・・・。」
「栞はダイエットとか気にしなくても十分痩せてると思うぜ?」
「裕二君にはわかんないよ。」
「す、すまん。」
ついカッとなってしまって裕二君に当たってしまった。
「じゃあ多田の問題は南條君を中心に対応しよう。」
「わ、私ですか!?」
「だってそうだろ?君しかダイエットをしたことがないっていうんだから。」
「わ、わかりました。じゃあ多田先輩、よろしくお願いしますね。」
私は多田先輩にお辞儀をした。
「えっと、南條さんでいいのかな?よろしくね。」
なんだろうか、多田先輩のニコっとハニカム顔を見ると少しほっこりした。
◇上月公園
私はベタにジョギングをすることにした。多田先輩には朝9時に公園集合と連絡している。
「多田先輩、まずはジョギングから始めましょう。」
「はい。がんばります。」
「じゃあ上月公園から縦縞神社まで自分のペースでいいのでジョギングをしましょう。」
「え?縦縞神社ってここから5キロぐらいあるんだけど・・・。」
「5キロならジョギングで40分ぐらいあればいけると思うんですよ。」
私は1ヶ月で体重を落とすため、スパルタメニューを考えた。
1時間後・・・
「ハァハァ・・・、ハァハァ・・・。」
「先輩5分休憩です。そしたら縦縞神社を上りますよ。」
「え”っ!?」
どこから声が出たのかわからないけど、かなり驚いている。
「この階段が大体150段あるので3往復しましょう。これはゆっくり歩いて良いです。」
「え!?150段!?・・・・・・わかりました。」
どうやら私の思いが通じたようだ。
ゆっくり階段を登っていく先輩。足取りは重く3往復する頃には1時間以上掛かっていた。
「先輩、今日はここまでにしましょう。」
「本当!?やったぁ。」
「あ、でも食事管理はしてもらいますよ?」
「・・・・・・具体的には?」
「そうですね。炭水化物は最低限になります。後は野菜やタンパク質を中心にします。」
「かなり本格的なんだね・・・。もっとやさしくならない?」
「先輩本当に痩せる気あるんですか?身長高いんですからちゃんと痩せれば綺麗になりますよ?それともこのまま合田先輩に愛想尽かされるの待ちますか?」
「南條さんって、かなりスパルタなんだね。ここまで厳しくされたの初めてかも。」
「髙山先輩が言ってたじゃないですか、多田先輩は自己抑制が出来てないんだって。だから自己抑制出来る人が管理すればいいと思って。」
「私のためにありがとう。」
先輩は目に涙を浮かばせこちらを見ている。
私は1ヶ月間みっちり先輩のサポートを行った。
◇生徒会室
「先輩、やりましたよ!」
「南條君、どうしたんだ?最近なかなか顔を出していなかったが。」
「多田先輩の依頼ですよ!まさか、忘れてたとかないですよね!?」
「そ、そんなことはないさ。それで、やったと言うことはダイエットは成功したと言うことだな?」
「えぇ。明日の学園祭で初お披露目ですよ!」
「えらく気合いが入っているな。」
「それはかなり苦労したので・・・。」
「どんなところに苦労したんだい?」
私は先輩の前に座った。
「多田先輩は普段の生活からかなり緩い生活をしていたんですよ。あの体型はなるべくしてなったと言っても過言ではないです。」
「ほう、じゃあ食生活を変えるのは苦労しただろう?」
「えぇ、多田先輩のお母さんに協力してもらって普段の食事は改善したんですが、なかなか体重が落ちなくておかしいなって思ってたら、先輩の鞄からお菓子の袋が出てきたんです。」
「つまり、間食があったから痩せてなかったと。」
「そうなんですよ!陰で食べてたんですよ!もう信じられなくて!取り上げましたよ。」
「でもやめられなかったんだろう?」
「え?何でわかるんですか!?そうなんです。取り上げても取り上げても出てくるんですよ、お菓子が。」
「それは、双極割引というのが結果として作用しているんだよ。」
「双極割引ですか?なんか割引って言うと買い物みたいですけど。」
「面白いね、それ。双極割引っていうのは立てた未来計画が時間が経つにつれ最適ではなくなるって事から言われる言葉で・・・。」
先輩の話が難しくなってきた。
「先輩、結局どういうことなんですか?」
「ん?そうだな、簡単に言えば人は我慢が出来ないって事だよ。特に常習化していた行動はね。」
「つまり、多田先輩はいつも間食をしていたから我慢ができなくなっていたと。」
「簡単に言えばそうだ。」
確かにやめさせるにはかなりの苦労があった。でもそれを無事乗り越えられたんだから多田先輩は胸を張ってもいいと思う。
「南條君、君は多田のダイエットをコミットメントするためにどういう条件をつけたんだい?」
「コミットメントってなんですか?」
「状況が変わっても予定を変更することなく達成する(守る)ことをコミットメントと言うんだよ。それでどんな風に脅したんだい?」
「単純ですよ。恋する乙女を縛るには『このままだと振られますよ』って言えばOKですよ。」
「そ、そうなのか。」
「そんなものです。」
たわいのない会話を先輩としていると大和君と裕二君が入ってきた。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
次回更新は11月9日(金)午後8時予定です。
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