7 その先の未来
第3章はこれで終わりです。
少し予定時間より遅れましてすみません!
「そうですね。私があの時抵抗すればこんな事にはならなかったかもしれません。」
「そうかもしれないが、少し疑問がある。」
「なんでしょうか?」
「なぜ誰も唐沢の事を強く言わない?」
「『唐沢純一』私と同じ高校2年生。現市長の3男坊になります。何か厄介事になっても彼のお父さん、現市長の側近の人がもみ消してしまうの。」
「それって…私たちに話してもいいんですか?」
「それは分からないです。でも私はもう学校をやめた人間ですからそこまで問題視はされない筈です。」
深刻な顔をして卓を囲む私たち。
「まぁ三橋君には迷惑を掛けないようにするよ。我々を信用してくれればいい。」
「わかりました。でも私の事はそんなに気にしなくてもいいです。私の家はこの商店街の理事長もしていますし、市長と言えど強く言えないでしょう。」
私たちに真相を明かしてくれた三橋さんは清々しい顔をしており、家に入った時の顔とは違いさっぱりとしている。
「それじゃあ私たちはそろそろお暇しようか。」
会長は私にアイコンタクトし送り席を立つ。
「それじゃあ三橋君。よく話してくれたね。感謝しているよ。」
「いえ、会長こそお気をつけ下さいね。唐沢はかなり根に持つ人間ですから何をされるかわかりません。」
「忠告ありがとう。でも…そう気構える必要はないさ。」
私は会長の最後の台詞の意味を知っていた。
そう、彼女の父親は県知事。唐沢の父親とは1つ以上格が違う。おそらく唐沢は会長の父親が知事だということを知らない。知っていれば会長に向かってあんな横柄な態度は取らないと思う。
私達は三橋さんの家を後にし、商店街を学校方面へと歩いていた。
「会長はどうお考えなのですか?」
「どうって?それは唐沢が本丸だって事はこれで分かったのだから良いではないか?」
「良いっていうのは…唐沢をここから問い詰めると言う事ですか?」
「いや、そんな事はしないさ。」
「じゃあ…。」
「文字通りこれで終わりだよ。活動報告として記録作成は任せたぞ。橘君。」
「えっ!会長!?」
会長は唐沢を問い詰めるわけでもなくこれ以上何もしないというのだった。これだとやっとの思いで真実を語ってくれた三橋さんに申し訳が立たない。
「会長、じゃあこの話はこれでいいとしても相談カードの話はどうするんですか?」
「もちろん考えている。部費の話だったな。でもその前にやることがあるんだ。…橘君は今からもう少し付き合ってくれるか?」
「えぇ。もちろんです。」
「なら行こうか。」
「どこへですか?」
「ゲーム制作部だよ。」
会長はゲーム制作部へ行くという。でもゲーム制作部には赤木しかいないんじゃないか?
◇ゲーム制作部
コンコン
会長と私はゲーム制作部の部室扉をノックした。
「開いてるぞ。」
中から聞こえた声は野太く、赤木の声ではない。
扉を開け、私達は部室へと入っていく。
「お前が呼ぶから来てやったが、本当に真実を話してくれるんだろうな。」
「もちろんだ。そうメールには書いてあっただろう?三石。」
「確かに書いてあったが、未だに半信半疑だよ。お前が持っている情報ってのがデマなんじゃないかってな。」
「何を言っている。私は生徒会長だぞ?嘘はつかないさ。」
「じゃあ話してもらおうか・・・。真実とやらをな。」
「わかった。だが、もう一度確認しておくぞ。」
「いや、俺たちも高3だ。それぐらいわかってる。これは終わった事で真実を知るだけだから、結果がどうだろうと文句は言わない。だろ?」
そんな約束していたのか。
「じゃあ橘君、真相を彼らに話してあげたまえ。」
「また私ですか!?」
「それが生徒会副会長の役目・・・だろ?」
会長はにやりと笑い私に説明するよう促した。仕方ないので三橋さんから聞いた内容を説明した。
「あの1年め、やってくれたな。」
「三石、俺らも確認しなかったんだ。仕方ないさ。」
「別に怒っているわけじゃないさ、広瀬。」
「そうだよな。」
なぜか二人の顔からは憎しみのような感情が見当たらない。
「あの・・・先輩方は自分たちのゲームがパソコン研究会に取られた形になった事に腹立たしさはなかったんですか?」
「あったさ。でも、俺たちのゲームが賞を取ったって言う事実がわかったんだ。だから俺たちは今度は俺たちで必ずあの舞台に立とうって話したんだよ。」
すごい前向きな2人だ。
話を聞いていると、4月に入った頃長船先輩が三石先輩と広瀬先輩を訪ねて事件の真実を話していたようだ。先輩方もなかなか心の整理が出来ず、気づいたら7月になってたらしい。赤木はそれをまだ知らない。
「そうだ、この事を赤木に話してやらなくちゃな。」
三石先輩はスマホを取り出し電話をかけた。
三石先輩は電話中何度も『泣くな』と語りかけていた。そして先輩は学園祭に向け新作ゲームを作るぞと話をしていた。
「新作ゲームを作るなら部費が必要だな。どれぐらい必要か出してくれればいくらか私たちの方で交渉しておくぞ。」
「そうか、それはありがたい。じゃあ明日にでも生徒会室へ持って行くよ。」
両先輩は会長と話し部室を後にした。
「さて・・・あんまりしたくはないが仕方ないな。」
先輩はスマホでどこかへ連絡をかけている。
翌朝、先輩が何をしたのかわかった。パソコン研究会の唐沢が生徒会室へやってきて、2月の件をゲーム制作部へ謝罪したと報告しにきたのだ。あの唐沢の悔しそうな顔・・・本当に会長って凄い。
◇生徒会室
「相談カードについては以上話した通り解決した。皆協力ありがとう。」
「そんな、私たち何もしてないわよ。」
「いや、そんなことはないさ。」
お互いにお互いを褒める言い合いが始まりかけた時、
「おっと忘れていた。多分今日あたりゲーム制作部が相談に来ると思うぞ。」
「え?また何かあったんですか?」
「いや・・・。」
会長は扉に目をやった。
コンコン
「おい、助けてくれ!」
入ってきたのはゲーム制作部の面々だった。
「一体どうしたんですか?」
会長が話した通り本当にゲーム制作部が訪ねてきた。
「ゲーム内容で悩んでいることがあってな。」
広瀬先輩が困ったようにパソコンを机へ置いた。
「前作を超えるために模索して詰まっているんだろう?」
「なんでわかるんだ!?」
会長は鼻で笑うように三石先輩に話しかけた。
「人は今ある現状以上のものを求める性質があるんだ。またその逆でリスクや後悔を選択したくないがために現状を選択する場合もある。これはいわゆる現状バイアスに依存するんだ。」
「バ・・・、バイアス?」
「三石たちは前回以上のものを作り上げるために頑張っている。つまり現状以上のものを求めているわけだよ。」
「なんだよ、向上させるのは制作者としては当たり前じゃないか!な?知恵を貸してくれよ。」
三石先輩も広瀬先輩も困ってしまっているようだ。
「先輩、私でよければお手伝いしますよ。」
私は先輩方へ手伝う意思表示を見せた。
「私もやってみたいです!」
「俺も!」
会長以外はどうやら手伝う事になった。
「会長はいいんですかぁ?」
私はやや煽るように会長へ話しかける。
「あぁーわかったわかった。私も手伝うさ。手伝えばいいんだろう?」
「恩に着るぜ!」
二人は笑顔でノートパソコンの電源を入れた。
私たちはその後、一日中ゲーム制作部へゲーム内容をどうするか検討し合いその日を終えた。
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2日に用事があり更新できません。すみません。
次回更新は11月2日もしくは3日予定です。




