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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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どんな感じなのか楽しみだ



 六王祭二日目の朝、のんびりと体を伸ばしながら塔の外へ向かう。
 いや、しかし、ずいぶん寝てたみたいだ。いや、なんか恐ろしい出来事があった気もするが、よく覚えてない。
 まぁ、それはそれとして、なんと今日はアイシスさんが俺のためにお弁当を作ってくれた。というのも、今日俺はリリウッドさんと祭りを回ることになっており、リリウッドさんは食事をしないため、アイシスさんが気をきかせてくれた。
 本当にアイシスさんという素敵な彼女を持てて、俺は幸せ者だと思う。

 そんなことを考えながら塔の外に出ると、そこは文字通り昨日とはまったく違う景色になっていた。
 一夜にして、会場である都市はまるで森の中に入り込んだかのように植物に溢れており、大きな木や美しい花があちこちに生えている。
 それどころか、建物までログハウスを模した形状に変化しており、どこかリグフォレシアの街並みに似た都市へと変貌していた。

 い、一日ごとに丸ごと変えるとは聞いていたけど、こうして実際に目にすると、本当に六王の力ってのはとんでもないと実感する。
 けど、この緑あふれる景色は結構好きだ。なんとなく落ち着く気がする。専門的なのは分からないけど、森林浴って言葉もあるぐらいだから、リラックス効果でもあるのかもしれない。

 微かな風に揺れる花を眺めつつ、リリウッドさんの姿を探して視線を動かすと……すぐに見つかった。というか、リリウッドさん……木と一体化したバージョンか、目立つな。

「おはようございます、リリウッドさん……すみません、お待たせしましたか?」
『おはようございます、カイトさん。いえ、私も丁度眷族へ運営を引き継ぎ終わったところです』

 初日は開催式も兼ねて、メギドさんが口頭で祭りの概要を説明していたが、二日目以降は宿泊施設、或いは都市の入り口で案内を受け取る。
 今日のテーマは、自然との触れ合いというリリウッドさんらしいものらしい。尤も、詳細は見てのお楽しみといった感じで案内には概要だけ書かれていたので、詳細が気になるところだ。
 アリスから買ったガイドブックによると、観葉植物の販売なんかもやっているらしい。

「それにしても凄いですね。景色も綺麗だし、どんなお祭りになるのか気になります」
『ふふふ、そうですね。いろいろとありますが……今回は特に、希少で中々出回らない植物の販売も行っていますよ』
「そうなんですか?」
『ええ、例えば、昨日カイトさんの体を洗う際に使用したメドゥヴァーナという植物も、魔界の一部の地域にしか生息しないので、それなりに高価です』

 おっと、リリウッドさん。昨日のことを掘り返すのは止めよう。出来れば常に前を、未来を見据えていたい……というか思い出して意識しちゃうから、勘弁してください。

「そ、それで思い出しましたが……き、記念品で世界樹の苗をいただけるって書いてありましたが、だ、大丈夫なんですかね? サイズとか……」

 かなり強引な話題逸らしではあったが、実際気になっていたことだ。世界樹というと、リリウッドさんの本体である天を突くほど巨大な木……あれ、縦の長さだとマグナウェルさんより大きい。もちろん俺には、そんな巨大な木を育てるスペースなんてない。
 どのぐらいの期間で成長するのかなどを知りたいと思って尋ねると、リリウッドさんは穏やかな表情で説明してくれた。

『ああ、安心してください。カイトさんに渡す苗は調整してありますので、鉢植えで育てられますよ』
「そ、そうなんですか、安心しました」
『世界樹は治癒の魔力の塊とも言われています。葉を煎じれば万病に効き、身を食べればあらゆる傷を癒せると……まぁ、それは少し誇張されていますが、常に微量ですが治癒の魔力を纏っているのでリラックス効果もありますよ』

 自分の本体にも言える説明をするのは恥ずかしいのか、リリウッドさんは微かに頬を染めつつ説明をしてくれる。
 鉢植えサイズってことは、盆栽とか観葉植物くらいをイメージすればいいのかな? それぐらいの大きさなら、安心といえる。

『尤も、調整した弊害もありまして……実はせいぜい、1年にひとつくらいしか生らないでしょう』

 いえ、十分です。大事なことなのでもう一度言いますが、十分です。
 というか、生るんだ……世界樹の果実。世界的に希少な果実がそんな簡単に……まぁ、世界樹の果実をエナジードリンク代わりに使っていた俺が言えることではないか……。

「なるほど、分かりました。大事に育てます」
『はい。そうしていただけると、私も嬉しいです』

 植物を育てる経験なんて、小学校の頃にヘチマを育てて以来だが……ものがものだけに、絶対に枯らしたりするわけにはいかない。本とか買ってしっかり勉強することにしよう。

『さて、それではそろそろ行きましょうか』
「あ、はい。改めて、今日はよろしくお願いします」
『こちらこそ、カイトさんと一緒に回れて嬉しく思います』
「……」

 この方は、そういうことをサラッと笑顔で言うので性質が悪い。なんか昨日のこともあって、変に意識しちゃう気がする。
 と、ともあれ、せっかくリリウッドさんに案内してもらえるんだし、しっかり楽しむことにしよう。

 拝啓、母さん、父さん――六王祭の二日目が始まり、リリウッドさんの案内で見て回ることになった。どんな祭りか、まだ詳細には分かっていないけど、だからこそ――どんな感じなのか楽しみだ。



シリアス先輩「鉢植えサイズの世界樹……小さい世界樹……精霊……ロリっ娘……うっ……頭が……」
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