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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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好意的なものであるということだろう



 自然との触れ合いをテーマにした二日目の祭り、咲き誇った色とりどりの花が並び道のようになっている場所をリリウッドさんと歩く。
 道端に一輪だけ咲く花も素敵だと思うが、こうして花の絨毯みたいに並ぶ光景も素晴らしい。

『思い出しますね。カイトさんが初めて魔界に訪れた時、案内したのは私でした』
「ああ……そんなに前のことじゃないのに、なんだか懐かしいですね」

 いまでこそ転移魔法の魔法具のお陰で、魔界にでも一人で来ることができる。しかし、アイシスさんの居城に初めて遊びに行った時は、リリウッドさんに護衛兼案内を務めてもらった。
 その時に魔界でベヒモスと遭遇し、マグナウェルさんと出会った。う~ん、マグナウェルさんの大きさでインパクトは薄れたけど、あのベヒモスだって怪獣みたいに大きかった。
 ベルも将来あんなサイズになるんだろうか? できれば今の可愛いサイズで居て欲しいけど……。

『ええ、まさかあの時は、カイトさんがここまでの存在になるとは思っていませんでした』
「ここまで、と言われても……俺自身は、あまり変わった気はしてないんですけどね」

 それにしても、前にリリウッドさんに魔界を案内してもらってから、この数ヶ月にはいろいろなことがあったもんだ。六王との出会い、クロの深奥への挑戦、アイシスさんへの告白、ジークさんの里帰り、リリアさんと過去の事件の清算、ハイドラ王国での再会、エデンさんとの出会い、アリスの過去、フィーア先生との対決……神界にも遊びに行ったなぁ。ちょっと、俺の数ヶ月間濃すぎない?

『ふふふ、貴方は私程度では測れない存在。いろいろと予想外で奇天烈な方です』
「……それ、褒めてます?」
『ええ、もちろん。絶賛していますよ。ですが、なかなか難しいです。私が貴方に抱く感情はなんでしょうね? 信頼、友情、好意、畏敬、親愛、興味、尊敬、恋慕、感謝……上手く表現する言葉が見つかりません』

 リリウッドさんはゆっくりと歩きながら、視線を少しだけ上に向けて呟く。

『……けれど、貴方に抱く気持ちが悪いものでないことは確かです。出来れば、これからも親しい関係でいることができればと、そう思いますよ』
「……はい。それは俺も同じ気持ちです」
『……ふふ、少し変な空気になってしまいましたね。気を取り直して順に回っていきましょう』
「はい」

 確かに少しくすぐったいような、不思議な空気にはなった。けど、それを嫌だとは感じない。
 ただ、不思議と少しだけ、先程までよりリリウッドさんと親密になれたような気がした。

 拝啓、母さん、父さん――リリウッドさんと同じく、俺もなんて表現すればいいのか上手く言葉に出来ないけど……ひとつだけ間違いないのは、俺がリリウッドさんに抱く感情が――好意的なものであるということだろう。








「……さ、流石リリウッド様。強く押してるわけじゃないのに、いい雰囲気……羨ましい」
「……なに、してるんですか? 『フィーア』……」

 一本の大きな木に隠れながら、そっと快人とリリウッドの様子を見つめているフィーアに、後ろからノインが呆れた表情で声をかける。

「いや、ほら、お祭りって気分が高揚するよね?」
「は、はぁ、それは確かに……」
「高揚ってのは恋愛においてとても重要なファクターだね。つまり、私がミヤマくんにアタックする上で、この六王祭は外せないイベントってわけなんだよ!」
「……それで、わざわざ診療所を休みにしてまで、なにをやってるんですか?」

 グッと拳を握りながら熱く語るフィーアの言葉を聞き、ノインは遠い目をしながら聞き返す。

「うん、それなんだけど……私、長いことお祭りって参加してなかったから、どうすればいいのか勉強する必要があるでしょ?」
「……いえ、別にないのでは?」
「うんうん、やっぱり予習も無しじゃ、上手くアタック出来ないよね。だからこうやって、勉強してるんだよ」
「……世間一般的には、尾行しているというのでは?」
「大丈夫、リリウッド様には許可取ってるから!」
「なんですかその行動力は!?」

 フィーアは基本的に猪突猛進であり、行動力は凄まじい。というより彼女は、思い立ったら即行動する。その結果として、ノインが巻き込まれているわけだが……。

「大体、私のことより……ヒカリの方こそなにしてるの?」
「へ? わ、私、ですか?」
「そうだよ! せっかく七日間もあるんだから、ミヤマくんをデートに誘えばいいのに!」
「で、でで、デート!? し、しし、しかし、わ、わわ、私とか、快人さんは、こ、恋人というわけでも、あ、ありませんし……」
「だからこそ、だよ!!」
「ひぃっ!?」

 フィーアの剣幕に押され、ノインは怯えたような表情を浮かべる。しかし、フィーアはまったく気にせず、ノインの肩を掴みながら言葉を続けた。

「いい? 恋人になってないからこそ、積極的に攻めていかなくちゃ……せっかくクロム様も応援してくれてるんだから、恥ずかしがってばかりじゃ駄目だよ。それこそ、一緒にお風呂に入って背中を流すぐらいの気概がなくちゃ!」
「なぁっ!? い、いい、一緒に湯浴み!? だ、だだ、駄目です。そ、そんなの、私は恥ずかしくて死んでしまいます」
「う~ん。ヒカリは相変わらずだね……よし、じゃあ、私が手伝ってあげるよ!」
「え? いや、いいです。嫌な予感しかしないので……」
「私はもちろん自分もミヤマくんといい関係になりたいけど、ヒカリのことも応援してるから……私から、クロム様に協力してもらえるように頼んでくるよ!」
「聞いてください! お願いだから、少しは私の意見に耳を……あっ、ちょっ、フィーア!? 走り出し……って、足元!? 木の根が……」
「え? ――ふぎゃっ!?」

 勢いよく駆け出したフィーアは、例によって例の如く足元の根っこに躓いて、顔面から地面にダイブした。



快人「ベルは今のままのサイズ(4m)が可愛い」
どこかの創造神「……ふむ」

そして、イノシシ系ドジっ子参戦の予感
+注意+
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