表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
336/2412

バレンタイン番外編~ハッピーバレンタインVerジーク~

本日十七話目です。



 木の月14日目。今日はバレンタインである。

 まぁ、とは言っても、特に俺の行動がなにか変化するわけでもなく、日課のベルのブラッシングを行ってから、のんびりとベルにもたれかかって空を眺めていた。

 すると、微かな足音が聞こえてきて、空に向けていた視線を動かすと……こちらに向かって歩いて来ているジークさんが見えた。


「こんにちは、カイトさん」

「こんにちは」

「今日はいい天気ですね」

「ええ、雲一つなくて綺麗ですね~」


 穏やかに微笑むジークさんと、他愛のない言葉を交わしながら、自然と俺も微笑む。

 雰囲気というのか、こうして話しているとホッと落ち着くのがジークさんの魅力だよなぁ……。

 

 そんなことを考えていると、ジークさんは自然な動きで俺の隣に座り、マジックボックスからなにかを取り出す。


「カイトさん、今日はバレンタインなので、私もチョコレートを用意してきました。お口に合うといいのですが……」

「ありがとうございます。凄く嬉しいです……あれ? 温かい?」


 バレンタインのチョコレートを手渡してくれるジークさんに、心からのお礼を伝えて小さめの箱を受け取ると……その箱は何故か温かかった。

 個人的にチョコレートは冷蔵庫で冷やして完成させるみたいなイメージがあったが……温かいチョコ……うん? もしかして……。


 ふとあるものが思い浮かんだ俺は、ジークさんに断りを入れてから箱を開く。

 すると中には俺の予想どうり、カップケーキに似たチョコレートが入っていた。


「中身は、フォンダンショコラです」

「うわっ、俺これ好きなんですよ。ありがとうございます!」


 なにを隠そう、俺はチョコレートの中では、ザッハトルテとフォンダンショコラがツートップで好きだ。

 なんだろうケーキっぽい食感の方が好きなのかもしれない。ともかく、フォンダンショコラはあまり食べる機会が無かったが、とても好きでまた食べたいと思っていたし、これは本当に嬉しい。


「味は……たぶん、美味しいと思います」

「ジークさんの腕は信頼してますから……さっそく食べてみてもいいですか?」

「ええ、そう言うと思って……スプーンも持ってきています」

「流石、ジークさん……いただきます」


 スプーンをフォンダンショコラに刺すと、トロリとチョコレートが零れ、それを生地に馴染ませつつ口に入れる。

 温かく柔らかな生地、熱すぎず丁度いい温度のチョコレート……ふわりと口の中に広がっていくような甘さ。

 さすがジークさんというべきか……本当に、凄く、美味しい。


 フォンダンショコラは以前にも何度か食べたことがあるが、今まで食べたどれよりもおいしく感じるのは、なによりもジークさんが俺のために作ってくれたからだろう。

 体だけじゃなくて心まで温めてくれるような、そんな味をしっかりと味わいつつ、ジークさんに微笑む。


「すごく美味しいです。本当に、手が止まらないです」

「ふふふ、慌てなくても、無くなったりしませんよ」


 夢中でスプーンを動かす俺を見ながら、ジークさんは優しく微笑む。

 その笑顔のおかげで一層味も美味しく感じ、あぁ、幸せだなぁ……と、そんな風に感じた。


 するとそのタイミングで、ジークさんがなにかに気付いたように少し目を開く。


「……おや? カイトさん、慌てて食べ過ぎですよ。チョコレートが付いてしまってますよ」

「え? ど、どこ?」

「あっ、そこじゃないです……えっと」

「……え?」

「……ここ……です」


 チョコレートが口の周りに付いていると教えられ、軽く手で拭ってみたが、ジークさんはそこではないと言って、なぜか俺の肩に手を置き顔を近づけてきた。

 そして……蕩けるような甘い声で囁いた後、俺の唇の横をペロッと一舐め……えぇぇぇ!?


「はい。とれましたよ」

「な、なな、じ、ジークさん? いきなり、なにを……」


 まさか、いつも穏やかで半歩後ろを歩くというか……そっと寄り添ってくれるタイプのジークさんが、こんな積極的なことをしたのはすごく意外で、自分でも分かりやすいほど動揺してしまう。

 顔はどんどん熱くなるし、なんだかジークさんがいつも以上に綺麗で色っぽく見える。


 そんな真っ赤な顔で慌てている俺を見て、ジークさんはくすっと小さく妖艶に微笑み、もう一度顔を近づけてくる。

 今度は俺の唇の横にチョコは無い……つまりそれは、ジークさんの方から……


「……カイトさん」

「じ、ジークさん?」

「……バレンタインのプレゼントに……一つ……おまけです」

「んっ!?」


 優しく囁くような言葉を紡いだ、小さく艶のある唇が……静かに俺に重ねられ、ジークさんの体温をダイレクトに伝えてきた。

 そしてそのまま、ジークさんは数秒俺に唇を重ねてから、ゆっくりと離れ……またいつものような穏やかな笑顔を浮かべる。


「……ふふ、私だって、たまには……積極的になることも……あるんですよ?」


 そう言って俺の目の前で首を少し傾けるジークさんは、天使かと思うほど美しく……自然と俺の体は、いま離れたばかりのジークさんの体に引き寄せられる、

 頭に熱が集まり、欲望に忠実に動きながら近付く俺を……ジークさんはなにも言わず、両手を広げて迎え入れてくれた。





追加の甘いジークさんです。

とりあえず今日はここまでで……明日辺りに、リリアとアリス、明後日から本編再開で……。


か、感想返信はもうちょっと待って下さい……かなり溜ってますが、休日とか使って必ず全部返信するので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 迎え入れた…つまりそうゆう事ですね?( ≖͈́ ·̫̮ ≖͈̀ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ