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ライフさんは凄く妖艶だ

本日は二話更新です。これは二話目なのでご注意を。

 フェイトさんと話をしながらしばらく飲んだ後、フェイトさんと入れ替わりでライフさんが俺の隣に移動してきた。

 湯を押しのける圧倒的な存在感を誇るライフさんの胸は、この状況でも凄まじく、酔い潰れないとはいえ、ほろ酔いにはなっている事もあり、やけに鮮明に映った。


「思えば……こうしてミヤマさんと、ゆっくり話すのは初めてですね」

「あ、はい、そそ、そうですね」


 穏やかな口調でそう告げながら、ライフさんは自然な動作で酒を注いでくれる。

 大人の女性という表現がしっくりくるライフさんは、温泉に入っているという状況も相まって包み込むような包容力を感じる。


「そう言えば、ミヤマさんは……あの『死神』と恋人同士とか……」

「……死神?」


 ややトゲを感じる口調で告げられた死神という単語に、すぐには誰の事を指しているのか思い浮かばなかった。


「死王の事ですよ」

「アイシスさん……ですか?」


 そう言えば、クロノアさんから以前少しだけだが聞いた事がある。ライフさんとアイシスさんは仲が悪いと……

 その考えを肯定するように、ライフさんはそのままトゲを含んだ口調で言葉を続ける。


「ミヤマさんも大変ですね。彼女のような我が強く、聞き分けの悪い、己のことしか考えていないような愚か者に好かれて、さぞ苦労されているでしょうね……同情します」

「……」

「そもそも、彼女は昔から……」

「……ライフさん」

「はい?」


 なんだろう、コレは……頭に先程までとは違う熱が集まっている。そう、凄く……腹が立つ。

 アイシスさんは凄く優しい方だ。だからこそ、ずっと他者に恐怖を与える死の魔力に苦しみ、孤独に嘆いてきた。

 自分の事より、他人の事を気遣う事の方がずっと多い……そんな優しくて、素敵な女性……そんなアイシスさんの事を、俺は心から好きだと言える。


「……ライフさんが、アイシスさんの事をどう思っているか……それは個人の考えでしょうし、なにも言いません。ですが……俺の前では言わないで頂けますか?」

「……なぜでしょうか?」

「……俺は、アイシスさんを悪く言う貴女を……許せないから……例え貴女がどれ程の力を持っているとしても、過去にアイシスさんとの間になにがあったとしても……俺の大好きなアイシスさんを悪く言うのであれば、俺は貴女と敵対します」

「……」


 最高神……この世界でも屈指の地位に居る相手に対し、無礼な物言いかもしれない。だけど、これだけは譲れなかった。

 アイシスさんを……俺の大切な恋人を悪く言う相手は、許せない。

 確かな怒りを込めて、俺はライフさんを睨みつけるように見つめると……ライフさんは何故か穏やかに笑っていた。

 そして、その笑顔を見た瞬間……俺の頭には確信に近い考えが浮かんでくる。


「……ライフさん」

「なんでしょうか?」

「もしかして、今、俺の事……試しました?」

「……さて? どうでしょうね?」


 俺の言葉を聞いたライフさんは、どこか楽しげに微笑んだ後、ゆっくりと俺に向かって頭を下げた。


「ですが、私が貴方の恋人を悪く言ったのは事実です……申し訳ありません」

「……あの、もしかして、ライフさんって……実はアイシスさんと仲良かったりします?」

「ふふふ、さあ、どうでしょうか? ですが……『アイシスから貰った手紙』には、貴方と恋人になれた事が、それはそれは幸せそうに書かれていましたよ」

「……」


 これは、やられた……完全に掌の上で踊らされた気分だ。

 アイシスさんとライフさんの仲が良い……その前提で考えてみると、間違いなく先程のやり取りは、俺がアイシスさんを任せるに相応しい相手かどうか試したって事だろう。


 そんな風に考えて頭をかくと、ライフさんは俺から視線を外し、静かな声で語る。


「……私は生命を司る神、アイシスは死を纏う王……あまり仲良くしていては、私の部下に対し少々示しがつかないのですよ。中々面倒な事ではあります」

「……じゃあ、やっぱり……」

「最高神という立場もあり、私は寂しがり屋の彼女の元を、そうそう訪れる事も出来ませんでしたからね……ミヤマさんには、感謝しています」

「あ、いえ……」


 つまり、体面的なもので仲悪いように振舞ってはいるが、実際は手紙のやり取りをするぐらい仲が良いらしい。

 完全に騙された……というかライフさんの演技が上手い。さっきのトゲのある口調とか、全然疑いすらしなかった。


「ですが、ミヤマさんには無礼を働いてしまいましたね。お詫びを……」

「お詫び? って、ライフさん……なんで手を?」


 妖艶にすら感じられる微笑みを浮かべた後、ライフさんは湯の中で俺の手を掴み、そしてそれを引っ張って自分の胸に触れさせた――えっ!? ちょっ!?


「なっ!? ななな、なにを!?」

「先程から、興味があるみたいでしたので……どうぞ、ご自由に」

「なっなな……」


 手が丸ごと埋まってしまいそうな程に大きく、それでいて驚くほど柔らかい双丘……触れた指は吸い込まれるように沈み、同時に確かな弾力がそれを押し返してくる。

 ていうか、やっぱり胸見てたのバレてた!? いや、だって、仕方ないじゃないか……あんな大きいと、どうしても視線はそっちに……てか、柔らか……


「……ごくっ……」

「どうしました? 好きに弄んでいただいて構いませんよ?」


 やばい、ヤバい、これは本気でやばい!?

 あまりにも突然だった事で精神的な準備が出来て無かった上、全く未知と言えるサイズの胸……脳が瞬く間に蕩けるように痺れ、己の意思とは関係なく指が動きそうになる。

 必死に押し当てられた体勢のまま耐えてはいるが、俺の理性はもはや風前の灯……ここで一揉みでもしてしまえば、完全にタガが外れてしまう気がする。

 耐えろと叫ぶ思いは徐々に薄れ、もうよく頑張った、楽になって良いだろうという考えが強くなる。


 それこそ、あと数秒で理性は粉々に砕ける……しかし神は俺を見捨てなかった。


「一体何をしておるのだ! 生命神!! このような場で、恥を知れ!!」

「ッ!?」


 鋭い声と共に、俺の手がライフさんの胸から引き剥がされ、クロノアさんが俺とライフさんの間に割って入る。

 た、助かったような……残念なような……


「どうしたんですか、時空神?」

「どうしたもこうしたもあるかっ! 貴様は一体何をしておる!!」

「親睦を深めているところですか?」

「ふざけるなあぁぁぁ!! む、むむ、胸を触らせるなど……」

「私はミヤマさんが相手であるなら、構いませんが?」

「やかましい! 時と場を考えろ!!」


 この場における唯一の良心と言っていいクロノアさんは、ライフさんに猛然と抗議をしてくれる。

 そしてなんとかライフさんを納得させ、元の位置に戻っていく。

 流石クロノアさん、マジで救世主である……だから、茹でダコみたいに真っ赤だった顔が可愛らしいとか、そんな事を考えてはいけない。


「……飲み直しましょうか」

「え? あ、はい」


 ライフさんはそう言って再び俺に酒を注いでくれ、その後で俺に囁くような声で耳打ちしてきた。


「……先に申し上げた通り、私はシャローヴァナル様の加護下にある貴方を、己より上の存在と認識しております」

「……え?」

「なので、当然、貴方には私の体を自由にする権利もあります……続きを御希望なら、いつでも、私の神殿に来て下さい」

「~~!?!?」


 天使のように甘い声で、悪魔のような誘惑……こ、この方、妖艶というかなんというか……クリスさんと並んで、トップクラスに恐ろしい方かもしれない。


 拝啓、母さん、父さん――フェイトさんの次はライフさんを話をしたよ。あまり話した事のないライフさんだったけど、かなり予想外というか、クリスさんに近い性格をしている気がする。つまり、なんていうか――ライフさんは凄く妖艶だ。





シリアス先輩「でかけりゃ良いってもんじゃないんだよ!! 過ぎたるは及ばざるがごとしって言葉を知らないの!!」


【大は小を兼ねる(注:シリアス先輩は貧乳)】


シリアス先輩「うっさい!! てか、あれ本当に最高神? 色欲の悪魔とかじゃなくて!?」


次回、絶壁の婦人のターン。

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― 新着の感想 ―
[一言] いや、貴賎はないけど、デカイならデカいで良いのよ|’ω’)
[一言] 大は小を兼ねるというが、それなら身長はどうなのさ 小さい には 小さいなりの良さがあるんだぞ!
[一言] 布陣と婦人をかけるのなんかいいな
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