カーニゼーション 4
<ドシュ!> という音と衝撃音で目を覚ます俺!
「クエエエエ~」 <バタリ> と、クジラは動きを止めた・・
「やったぞ!家に帰れる」「ワイワイ」男達の声がしたので、漁師なのだろう・・
「筏に乗せるぞ」「へーい」「そっちだ」「いいぞ」色々な掛け声が止むころには、器用に大型のクジラは筏に乗せられて、船が進み始めたのだった。
「エンジンは無いらしいな・・そもそも銛での捕鯨は行われていないし・・」俺は、ここが異世界のままである事を理解した。
そして・・「なんだか船が遅くないか?」「気のせいだろうよ」・・いや気のせいでは無い・・
重さ90キロの【フジツボ】にカーニゼーション(擬態)した俺が船の底に寄生しているからだ!
+++それからどうした+++
夕方になり、船が港に着いたので・・
「排出!服とバッグ」・・俺が気を失っていた間に、身に着けていた衣類とバッグは【アイテムボックス】にオートで収納されていたらしい。
さすがに衣類やバッグは海水で濡れていたので、俺は川を見つけて橋の下で【ヒューマン】の姿に戻り、素っ裸で服を洗濯したのだった。
「ブルブル~寒い!」当然ながら・・服が乾くまでは【カニ】の姿で水の中で時間を潰す。
<ブクブク>・・「人間の姿に戻れるのはありがたい・・地球に帰還しても、蟹の姿では食用にされてしまうからな!」
夜が明けて、海岸沿いが賑やかになった頃には服も乾いており【不審者】には見えないはずだ。
俺はバッグを開けて見ると・・
〇金貨・銀貨・銅貨が入った皮袋
〇ガラスに入った液体
〇皮ケースに入ったナイフ
〇火打石?
〇謎の干し肉
〇荒いロープ
等の必需品が入っていたので・・「海の中に落とすつもりだったら、こんな物はくれないはずだなあ・・」と、神官や魔導師への恨みは消えたのだった。
<コツコツ>と、人の流れに乗って歩いていると・・「お前は見ない顔だな!」と、衛兵に捕まってしまった。
「入街証はどうした?見える場所に付けておけと言われたはずだ」と言うので、俺は「すいません。無くしてしまいました」と答える。
「見たところ・・ヒゲを生やしてはいるが、20代くらいだろう。今回は再発行してやるが、次からは【牢屋】行きだからな!と言われ【銀貨1枚】を払い、新しい入街証を購入した。
別の衛兵から・・「ところで、お前もダンジョン目当てなんだろう?冒険者ギルドには登録したのか?と聞かれたが・・ラノベを読まない俺は何の事か分からなかった」
<ヒソヒソ>と、さっきの衛兵が耳打ちし・・<ゴホン>「君は、これまで辛い思いもして来たのだと思う。しかし、村を出たからには一人前として暮らして行かねばならん!」と、お説教が始まった・・俺は「ハア」と相づちを打つ。
「いいか。冒険者ギルドで登録して、まっとうな暮らしを手に入れなさい!中には盗賊に身を落とす者も多いが、気持ち次第だ!」・・約1時間くらい衛兵さんのお説教は続いたのだった。




