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Contractor†Goddess  作者: 月詠 桔梗鑾
1章:出会い編
8/8

Sランク者

新年最初の更新

大変お待たせいたしました


それでは、どうぞ

大地が割れる程の轟音が響き渡る



土煙が舞うその奥で、私は最悪な結果を予想した

しかしその事態はある者によって免れることとなる



「へぇ、精霊王か…そのランクでよく呼び出したね。大丈夫かい?」



その声はやけに平野に響き、そして優しかった



次第に視野が晴れる

土煙の向こうには、精霊王と対峙するリンと、リンに手を差し伸べつつリンを護るかのように立つ金髪の男がいた



金髪の男が見えた瞬間耳を劈く様な声が響いた


「「「「キャー――」」」」




≪なんと、これは凶器ですね≫


呆気にとられる精霊王が妙にかわいく見えたのは致しかたない。確かにこの声には私も驚いたし、それ以上にいつの間にあの場に居たのかが気になる



私の視線は、金髪の男に向けられた

これは騒がれるだけある....ラクアに少し似ているだろうか?


金髪にとろける様な琥珀色の瞳

その男は、常に笑みを絶やさず精霊王を見つめていた



「精霊王は、この子との契約を破棄するってことかい?」



金髪の男はそう言ってにこやかに笑う



≪ついほんの数秒前までは、そう考えていましたが…あなたが現れなければ、危うく判断を間違い殺してしまうところだった。礼を言うよ≫



「それは、お役にたててよかった。じゃあ僕の出番はここまでという事だね」



そう言うと金髪の男は転移魔法で消えてしまった

一瞬の事、去り際に見たネクタイの刺繍は――――Sだった



(あれが、この魔法学園の最強クラスの力)



ふと精霊王と目が合う

これは、気づかれたのかな…



ニコリと笑いかけられた、だから負けじと笑い返してやったら驚いたような顔をした



≪リン…と言ったか、怖い思いをさせてしまったね≫


精霊王はリンに向かって手を差し出した、先程のように傅いてはいないけれど少し腰をかがめて様子を窺うようなそんな感じ。物腰の柔らかい、本来の精霊王



リンも少し怯えながらその手を取る


≪今の貴女の力では、私には釣り合わない。しかし突発的な力であれ、貴女は一時的に私を召喚することができた…だから猶予を与えましょう。かつての力を成長させるまで暫し私の眷属を貴女の御傍に…≫



精霊王がもう片方の手を空に翳すと、雲が割れ光がさした。そして静かに何かが舞い降りてきた



(あれは…天族の、水の精霊かな)



青空から降り注ぐ透明で、光のようにきらめく雫と同じように2枚対になった羽をその背に広げる精霊



≪貴女ときっと相性もいいはず、暫しこの精霊を使役してください≫



――――――貴女が私に相応しい魔法使いになるまで、私は見守っていますよ



そう言うと、精霊王は風にとけるように消えていった



魔法陣の上には、リンと精霊王から新たに使わされた水の精霊。水の精霊はリンをみてニコリと微笑み右手を差し出した


≪どうぞ私を貴方の御傍に、命に代えても護って見せましょう。名はルルベル、水と癒しを司る精霊に御座います≫



4枚の羽根がフワリと風に乗る

羽は常に少し濡れている状態で、ほんの少し青みがかっている



「わ、私はリン・メイビス。これから宜しく、ルルベル!」



精霊王から見限られている、とまでではないけれどそれなりに相応しくないと言われてもこうして他の精霊と仲良くなろうとする素直な立ち姿は素晴らしい。彼女の純粋な気持ちが伝わったのかルルベルという水の精霊もリンの差し出した手を優しく両手で握っていた



(リンは、もしかして…)



二人のやり取りを見ていてふと、昔のことを思い出す

それはまだ私が幼くて、大好きだった人たちがたくさんいて…リベールの街が活気にあふれていた時のこと



ある一人の女性が聖霊王と契約を果たしていた。聖霊王とは天体に数多存在する聖なる霊を統べる王、今回リンが呼び出したのは地上に数多存在する精霊の王であって別物だが、同じ白の系統だ。その女性の前世は聖女と呼ばれる神の声が聞こえる存在だったらしい



聖霊王も、精霊王も心の清らかなものを選ぶと言う

その時その女性から聞いた話では双方の王共に契約を結ぶのは聖女か神官らしい



(メイビス家は善良な貴族だけれど、先祖にそういった人間が居たのかもしれない)



精霊に愛されているもう一つの要因が今分かった気がした



―――――リンという少女は、生まれながらにして聖女の血を引く人間なのだと



「ミシェル!やりましたわ!とても可愛らしい精霊です!一時はいろいろとあって驚いてしまいましたが、終わりよければすべてよしですわ!さ、ミシェルも頑張って!」



いつの間に魔法陣から、こちらにきていたのかな。目の前には興奮状態のリンと、御淑やかに笑う水の精霊



「驚いたで済むところがリンらしいね、私なんてリンが死んじゃうかと思ったわ!よかったね、きちんとパートナーを得ることができて!私も頑張ってくるね」



「死ぬって、そんな怖いこと考えていたのミシェル。そ、そうね!私も応援しているわ」



何で私はリンから若干引かれたような目で見られるのだろうか…チラリと水の精霊と目が合ったがハスネ先生からの呼び出しで私も魔法陣へと向かった



水の精霊、ルルベルとすれ違う瞬間




≪我が君が後日貴女様お礼を申し上げたいと言付かっております。先程の契約時、貴女様の御声が無ければ我が君は得体のしれぬ男ごと、その御力で殺していたやもしれませぬ。聖女様をお守りくださった事私からもお礼申し上げます≫


『―――別に、私は独り言を呟いたまでよ』


≪クスッ、では…そう云う事にしておきましょう。有難う御座います、キャンベラの御子≫


『ふんっ』



――――――――――――

――――――



紫薔薇の陣の上に立つ

正直、ラクアの言った意味がいまいちよく理解できていないから不安はぬぐえない



(いったいどんな奴が現れるのか)



多分方法としては、先程のリン同様ラクアの眷属を召喚させるつもりなのだろうけど、なるべく仲の良い知り合いを召喚したい



「始めて下さい」



ハスネ先生の視線が痛い

きっと、私がAランクであることに何か思うところがあるのだろう


出来そこないが、とでも言いたげな軽蔑をその瞳に移していた。これだから政府の犬、国家の人間は嫌いだと心底思いながら私は詠唱を始めた



「古の契約により絆を結びし我が僕…声に応え姿を現せ!」



魔法陣が紫薔薇から、白銀の獣のような形をした魔法陣へと姿を変える

実際、魔法陣は輝きの方が強いため何が描かれているかそうそう人が認知することは出来ない、私の場合はこの呪われた瞳のせいで見えるだけだ



≪ミシェル、俺のご主人様―――とっておきのを送っておくよ≫



召喚する際、念話でラクアのあの悪戯っぽい声が頭の中で響いた

一体何をしでかすつもりだ!そう思った途端



轟々と風が唸るように私を中心に渦を巻き始めた

次いで、晴天の空に天使の輪のように輝く光が輪を作り出した



(ほ、本当に大丈夫なの!?)



生徒たちも、何事だと私と上空を交互に見る

ハスネ先生に至っては何をしでかす気だと己の使い魔を出す準備を始めた




ゴォォオオ

既に地面を抉るほどの強風を風が起こす



(もう何でもいいから早く終われ!!)



私がそう強く念じた瞬間

空の輝く光の輪から何かが降ってきた



それも…超高速で



「ちょ、まじで」



私のそんな声も虚しくその物体は急降下し、風の渦を巻きながら一直線に私の頭上めがけて落ちてきた



そして…



ズドッ!!

まるで隕石が落ちてきたが如く、声にならない痛みが私の頭を襲った



(くそったれが…)



風が止み、辺りは拡散とする

魔法陣の上には頭を抱えうずくまる私と、同じように頭を抱え悶える





――――――――小さな竜が、居た




≪へへ、今のミーの能力に相応なホワイトドラゴンだよ。別名愛玩竜、力は無いけど癒されるでしょ?強いやつを召喚させて契約してしまったら俺のいる意味がなくなるからね、強いのが一人いれば後はもういらないから…かわいいでしょ?でもコイツまだ知性ないから言う事きかないけどね!≫



『…腹黒いな、ホント』



ラクアの嫉妬深い一面が、見れたとか…見れなかったとか




かくして私に新しいペットができました




ホワイトドラゴン、別名愛玩竜

今後の私の胃の調子を整えてくれる大切なパートナーのようです








新年一発目、どうでしたか?



少しでも楽しんで頂ければ幸いです

ここまで読んでくださってありがとうございました

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