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所詮その程度の愛情だったのですね  作者: Kouei


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第2話 この出会いは至福か絶望か

「―――――?」



 その違和感を覚えたのは、買い物をするため、街に出かけた時の事。


 お店を回っていた私は、妙な空気に囚(とら)われた。

 

「…何だろう…」


 胸が騒めき、誰かに呼ばれたような、何かを求めているような…

 そんな感覚―――――…


 胸を押さえようとして、手にしていた荷物に気づく。


 「いけないっ 早く帰らなきゃ」


 遅くなったら、また叱られる。

 慌てて、屋敷へ向かおうとしたその時、


「待ってくれ!」


「え?」


 いきなり右手を掴まれた。

 振り向くとそこには輝くばかりの美しい青年が立っていた。


 流水のように銀髪を靡(なび)かせ、瑠璃(るり)色の瞳が私を見つめる。


 その瞬間、ドクリと胸が鳴った。


 彼の呼吸が…鼓動が…私と重なる。

 彼と共鳴しているような…不思議な感覚。

 

 これは……何?


 まるで探していた半身と出会えたかのような喜びに、身体が震えた。


「あ…の…?」


 初めて感じる経験に、私の心は戸惑うばかり。

 そして目の前に銀髪の青年が立ちはだかった。

 彼は喜びを隠しきれない様子で、私にこう言った。


「出会えることができた…俺の番(つがい)…!」


「つ、がい…?」


「そうだ。君は俺の番(つがい)だ。君に出会える事を心から待ち望んでいた」


「私…が…あなたの…?」


「ああ、我が家では四半世紀ぶりの番(つがい)だ」


「私が…」


 その言葉に衝撃を受けた。

 まさか私が誰かに望まれる存在になるなんて…


 母が亡くなってから、私を気遣う人はいなくなった。

 父には疎ましがられ、義母や義母妹には悪しざまに扱われた。


 誰かに求められる事も愛される事もないと諦めていた人生。


 番(つがい)という存在にはあこがれていたけれど、決して出会う事はないと思っていた。


 けど…


 今…目の前にいるこの方が、私の番(つがい)…

 身形(みなり)からして、どこから見ても高位貴族のご令息だわ。


「俺はジルニオン。ドラグール侯爵家の嫡男だ。君の名を教えてくれ」


「こ、侯爵令息様…っ わ、たしは…ルティーザ。グラント子爵家の長女です」


「ルティーザ…美しい名だ」


 彼は私の両手を取り、愛おし気に名を口にした。

 このぬくもりが夢ではない事を物語っている。


「ジルニオン…様…」


 私は奇跡の出会いに、心から神に感謝した。



 後に…



 この出会いが、絶望への始まりになるとも知らずに―――――


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