第42話 凪の選択
村に戻ると、ミラ、淡、凪が、安全な場所――村長の家の一室で、俺の帰りを待っていた。
「ロウさん、どうでしたか」
ミラが、心配そうに尋ねた。俺は、ガレンとの会話を、できるだけ正確に伝えた。
「貴族連合……」淡が、静かに呟いた。「我たちを、道具として、利用しようとしている、ということか」
「その可能性が高い、とガレンさんも言っていました」
凪が、不安そうな表情で、淡に寄り添った。
「我たちは、また、誰かに、狙われる存在なのか……」
「心配しなくていい」俺は、はっきりと言った。「ギルドが、保護を提案している。安全な場所で、護衛をつけて過ごす、という選択肢もある」
淡が、少し考え込むように、沈黙した。
「保護下に置かれる、ということは……自由に、動けなくなる、ということか」
「そうかもしれません」セレンが、正直に答えた。「ただ、安全は、確保される」
凪が、淡を見上げながら、尋ねた。
「淡は、どう思う?」
淡が、しばらく考えて、答えた。
「我は……ロウやミラと、一緒にいたい。保護されることが、必ずしも、悪いことだとは思わないが、自由を失うことには、抵抗がある」
ミラが、優しく言った。
「淡さんと凪さんの気持ちを、一番大切にしたいです。私たちが、勝手に決めることじゃないと思います」
俺も、頷いた。
「そうですね。淡さん、凪さん、お二人の選択を、尊重したいです」
凪が、少し戸惑った様子で、口を開いた。
「我は……まだ、自分のことが、よく分からない。だが、淡が、そなたたちと一緒にいたいと言うなら、我も、同じ気持ちだ」
淡が、凪の頭を、優しく撫でた。
「我たちは、これからも、ロウとミラと、一緒にいたい。それが、我たちの選択だ」
その言葉に、胸が、温かくなった。
「分かりました。ガレンさんに、その意向を伝えます」
セレンが、少し心配そうに言った。
「だが、もし、貴族連合が、本当に強硬手段に出るなら……君たちだけで、対応するのは、危険かもしれない」
「それなら」俺は、考えながら答えた。「ギルドの護衛を、お願いするのは、どうでしょうか。常に保護下に置かれるわけではなく、必要な時に、サポートしてもらう、という形で」
「それは、良い妥協案だと思う」セレンが、頷いた。「ガレン殿に、相談してみよう」
淡が、改めて、俺とミラを見つめた。
「ロウ、ミラ。そなたたちが、我たちを、ここまで大切にしてくれることに、感謝している」
「我も、同じだ」凪が、小さく頷いた。
ミラが、笑顔で答えた。
「私たちも、淡さんと凪さんが、仲間でいてくれることが、本当に嬉しいです」
その夜、村の一室で、五人は、改めて、これからのことについて、話し合った。貴族連合という新たな脅威に、どう向き合っていくか――まだ、明確な答えは出ていない。だが、少なくとも、五人が、共に進んでいくという意志は、確かに、固まっていた。
「これから、どうなるか分からないけど」ミラが、静かに言った。「みんなで、一緒に、乗り越えていきましょう」
「そうですね」俺は、改めて、決意を固めた。「俺たちの仲間を、誰にも、奪わせない」
淡と凪が、互いに、安心したような表情を見せた。窓の外、夜空に、静かな星が広がっていた。新たな脅威に向けて、五人の絆が、確かに、深まっていく夜だった。
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